10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第3回は、昨シーズンB1最下位に終わった三遠ネオフェニックスのブラニスラフ・ヴィチェンティッチヘッドコーチ。東欧を中心にキャリアを積んだ経験豊富な新指揮官は、三遠をどのように立て直すのか。
インタビュー・文=吉川哲彦
取材日=2020年8月26日
――まずは、就任された理由をお聞かせください。
ヴィチェンティッチ 今回オファーをいただいた時に、アルバルク東京のルカ・パヴィチェヴィッチHC、昨シーズン途中に三遠のアドバイザーになったウラジミール・ヨヴァノヴィッチ氏から、Bリーグがどういうリーグか、三遠がどういうクラブかを聞かせてもらいました。その上で昨シーズンの試合を5、6試合観て、選手の特徴やチームのスタイルも確認し、自分がキャリアを歩む上で一番良いと判断しました。
――日本のバスケットにはどういうイメージをお持ちでしたか?
ヴィチェンティッチ 私にとってはルカさんの存在が大きくて、彼が日本でコーチをしているので毎年何試合かはBリーグの試合をチェックしていました。Bリーグはガードが速く、ハンドラーとしても優れていて、数秒でプレーを作る能力がある。ウィングの選手はシュート力があり、プルアップで得点を取れるという印象です。
――外国籍選手に関しては、HCと同じセルビア出身の選手が2人いますが、彼らはHCがリクエストされたんですか?
ヴィチェンティッチ 私がクラブにお願いしました。ネナド・ミリェノヴィッチ選手は、2年前に私と同じチームにいて、とても高いポテンシャルを感じました。彼が何ができるか、三遠に何をもたらすかということは私もよく理解しています。ステヴァン・イェロヴァツ選手は代表経験もあり、ヨーロッパでも屈指のビッグマン。スマートですし、何より練習に取り組む態度を三遠の選手にも見てもらいたかった。どうしても欲しかった選手です。
――彼らをどう日本人選手にフィットさせようと考えていますか?
ヴィチェンティッチ それについてはあまり心配していません。私は日本人選手を軸にしようと考えていますが、日本人選手はこれまでにも様々な外国籍選手とプレーしていますし、今回契約した外国籍選手もカイル・ハント選手を含め、いろいろな国でプレーしてきた選手です。サーディ・ラベナ選手も若いのですぐにアジャストできるのではないかと思います。
チームとしても個人としても、昨シーズンより良くなれたと感じることが目標
――コーチのフィロソフィーはどういうものですか?
ヴィチェンティッチ セルビアのコーチはオフェンスとディフェンスのどちらかに特化したコーチが多いのですが、私はその中間です。オフェンスは速くプレーすることと、スペースを十分に取ってプレーすること。ディフェンスはタフに、常にプレッシャーをかけること。そして、コートの5人全員がセルフィッシュにならずにチームプレーを組み立てるというのが私のスタイルです。
――昨シーズン、三遠は残念ながらB1最下位でした。どう立て直したいと考えていますか?
ヴィチェンティッチ 選手やスタッフが頑張っていても、そういう結果になるのは勝負の世界では起こり得ることなので、昨シーズンのことは言いたくありません。大事なのはハードに練習すること。1日や数日で劇的に良くなることはないので、とにかく日々の積み重ねです。チーム練習が始まってからの短い間でも、選手たちがハードに練習していてだんだん良くなってきているのが分かります。
――それでは、今シーズンの目標を教えてください。
ヴィチェンティッチ どうプレーするか、どれだけハードにできるかで、最終的にどこまでいけるかが決まります。今は全チームが同じスタートラインに立った状態で、どのチームがトップを獲れるかは分かりません。シーズンが終わった時に、全員がチームとしても個人としても昨シーズンより良くなれたと感じることが目標です。
――最後にブースターへメッセージをお願いします。
ヴィチェンティッチ 毎試合ベストを尽くして戦うつもりです。我々が戦っている姿を見て、バスケットボールを楽しんでもらえればと思います。試合が終わった時に一緒に喜べるように頑張ります。