【 #B飛躍の5年目へ 】横浜ビー・コルセアーズ、カイル・ミリングHC「横浜の名を轟かすためにもCSを目指す」

フランスで長年指揮を執ってきたHCは横浜にどのような変化をもたらすのか[写真]=Getty Images

 10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。

 第6回は、新たに横浜ビー・コルセアーズを率いることが決まったカイル・ミリングヘッドコーチ。バスケ強豪国フランスで指導者としてのキャリアを積んだ新指揮官は、どのようなチームを築き、下位脱出を図るのか。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎
取材日=2020年9月2日

――フランスで長く指導者として活動されていましたが、新天地としてBリーグを選んだ理由を教えてください。
ミリング 私は約20年前に日立本社ライジングサン(現サンロッカーズ渋谷)というチームに所属し、選手として日本でプレーしていました。日本での生活は楽しかったです。文化や食べものも好きですし、人々がすごく良くしてくれたりと、とても良い思い出があります。コーチを始めてもう何年か経ちますが、一つのゴールとして日本に戻りたいという思いがありました。そして今回その機会をいただいたので、日本に戻ろうと決めました。就任にあたっては、横浜でコーチをしていたレジー・ゲーリーと交流があったので、彼にさまざまなことを質問しましたね。

――横浜ビー・コルセアーズの印象はいかがですか?
ミリング 私はこれまで若い選手が多いチームを指揮する機会が多かったのですが、横浜も若い選手が多いなという印象を受けました。若い選手が多いということだけで色眼鏡を持って見る人たちもいますが、横浜は彼らの考えが間違っているということを証明できるチームだと思います。ハングリー精神があり、もっと上に上がれるチームという印象を受けました。

――若い選手が多いチームを指揮する上で大切にしていることは?
ミリング バスケットボールで大切なことは、自分に自信をつけることです。特に若い選手中心となると、とにかく後押しをして彼らに100パーセントのパフォーマンスをさせることがコーチの役割だと思います。自分たちがやっていることは正しいことだと、信じさせることが大切です。

――チームには新たな外国籍選手、パトリック・アウダ選手も加わりました。
ミリング チェコ代表やフランスリーグで活躍した選手で、私も指導したことがあります。バスケットだけではなく、オフコートでもいろいろな環境に適応できるので、日本にもフィットできると思っています。まさに“ファイター”と呼べる選手で、とにかくハードにプレーします。どんな形でも得点を取ろうとさまざまなことができるので、得点量産型ではありませんが、そうした面がいい選手です。

――シーズンを通して、どのようなチームを作り上げたいと思っていますか?
ミリング ディフェンスを1番に考えるチームにしたいと思っています。圧倒的なタレントが少ないので、私たちは頑張らなければいけません。ですので、選手たちにはディフェンスファーストというメンタルを持ってもらいたい。ディフェンスは誰でも学べるので、そこをハングリーに取り組んで、頑張るチームを作り上げていきたいです。

応援していて誇りに思えるチームにしていきたい

――現在(9月2日取材)はアメリカに滞在されているそうですが、どのような形でチームに関わっているのですか?
ミリング アシスタントGM兼アシスタントコーチである山田謙治さんをはじめ、チームスタッフとはメールや電話で毎日連絡を取っています。毎日の練習の映像を送ってもらい、それに対するフィードバックも行っていますし、良いコミュニケーションが取れていると思います。

――選手ともコミュニケーションを取っていますか?
ミリング ZOOMを使ったミーティングで顔を合わせていますし、英語を話せる選手とは直接話してコミュニケーションを取っています。日本で直接会うのが本当に待ち遠しいですね。

――遠隔での指導には難しさも感じられていると思います。
ミリング 大変か、大変ではないかと言われたら、大変です。このような状況は、指導者になってから初めてのことでもあるので。ただ、過去にいろいろなチームを教えてきて、私自身もさまざまなことを経験してきました。その経験から、状況に合わせて柔軟に対応できているのかなと感じています。

――開幕が迫っておりますが、今シーズンの目標を教えてください。
ミリング できるだけ多くの試合に勝つこと、そして、シーズン終盤になっても悔いの残らない試合をすることをゴールとして見ています。これまで横浜はなかなかチャンピオンシップに進出できていなかったので、あらためて“横浜ビー・コルセアーズ”の名を轟かすためにも、チャンピオンシップ進出を目指して頑張ります。横浜には、チームにアップダウンがある中でもサポートしてくれるすばらしいファンがいると聞いているので、彼ら彼女らが応援していて誇りに思えるチームにしていきたいと思います。

選手として日本でのプレー経験があるミリングHC。その手腕に期待がかかる[写真提供]=©横浜ビー・コルセアーズ

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