22歳の誕生日である9月17日にアディダスとの正式契約を発表したのが宇都宮ブレックスのテーブス海だ。昨シーズンの途中、宇都宮ブレックス入りした注目の若手に今回インタビューする機会を得た。本格的なBリーグの開幕を前に今シーズンにかける思いに加え、契約の経緯やアディダスのイメージなども聞くことができた。
取材・文=入江美紀雄
取材協力=アディダス ジャパン株式会社
「アディダスバッシュのローカットで軽いところが気に入っています」
――早速ですが、アディダスのイメージを教えてください。
テーブス シューズのデザインは子供の頃から好きです。今回正式に契約させてもらいましたが、アディダスとの縁は昔からあったので、それが正式になったという感じです。もちろんしっかりサポートいただいていますし、担当の方とも良いコミュニケーションが取れているのも大きいですね。
――着用するバッシュのモデルは決まっていますか?
テーブス 基本はNBAで活躍する3選手のシグニチャーモデルです。ダミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)の『DAME 6』、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)の『HARDEN VOL. 4』、そしてドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)の『D.O.N. ISSUE #2』を予定していますが、いろいろなカラーのバリエーションをユニフォームの色やそのときの気分に合わせて選んで着用していきます。
――気に入っているポイントは?
テーブス 3モデルとも軽いところが気に入っています。自分のポジションであるガードにはスピードが必要なので、軽さは昔から重視しています。ハイカットよりはローカットが好みなので、履き心地もいいです。
――デザインはどうですか?
テーブス デザインは3つともかっこいいですね。また、カラーバリエーションの多さも気に入っている点です。それぞれの選手に合ったデザインテーマだったり、デザイナーコラボとかもあるので、必ず、そのときに合うものを見つけられるんです。
――アディダスは昔からNBAの足元を支えてきました。
テーブス アディダスというブランド自体、多くの人に認知されていて、成功していると思います。バスケットに関しては昔トレイシー・マグレディ(元ヒューストン・ロケッツほか)などの選手が履いていましたが、ここ最近はデリック・ローズ(デトロイト・ピストンズ)をはじめNBAを代表する4選手(リラード、ハーデン、ミッチェル)を中心にかなり多くの選手が着用しています。機能はもちろん、デザインもかっこいいですし、世界トップであるバスケット選手が選ぶブランドの1つになったということだと思います。
――マグレディのシューズは覚えています?
テーブス はい。昔から好きだったのでマグレディのシューズを履いていました。それに中学時代はコービー(ブライアント:元レイカーズ)のシグネチャーモデルだった『クレイジー8』も。コービーの名前の由来が僕の出身の神戸と関係があったので、いろいろな意味で応援していましたね。
――好きなNBA選手は誰ですか?
テーブス 今ではリラードやハーデンも好きなんですけど、昔から参考にしていて好きだったのはスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)とアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)です。ナッシュは父の出身のカナダ人というのもあって一番最初に父に勧められました。身体能力の高い選手がそろうリーグの中で身長もそれほど高くないのにシーズンMVPを2年連続で獲得できたのでは彼の巧さじゃないかなと思います。誰でも真似できる部分は魅力的でした。アイバーソンはメンタリティやバスケットへのアプローチがかっこいいなと思ってました。
――具体的には?
テーブス 彼がよく言っていた「毎試合キャリア最後の試合だと思ってプレーする」という言葉が印象的でした。自分が高校からアメリカに渡ったころ、練習して疲れたり落ち込むこともあったんですけど、そういう時にアイバーソンの言葉を思い出して、毎練習、毎試合を人生最後だと思って臨むと違うモチベーションが出ると思いますし、プレーも伸びていくと実感しました。
「攻防で泥臭くチームに貢献したい」
――シーズン途中に参加したBリーグが振り返ってください。
テーブス 僕にとっては短い期間でしたが、Bリーグに入って自分の良いところを出せたと思います。しかし、チームに所属している以上、チームとしての攻防などのルールにフィットすることが大切です。特に宇都宮ブレックスは優勝を狙っているチームなので、チームで戦うことの大切さを感じました。チームにフィットしながら自分の良いところをどのように出していくのかを考えさせられた期間でもありました。
――安齋竜三ヘッドコーチからアドバイスされたことはありますか?
テーブス オフェンスに関しては入団した時から、あまり周りを気にせずプレーしてほしいと言われました。セットプレーももちろん覚えないとダメですが、自分の持ち味はドライブからのプレーをクリエイトすることなので、そこは忘れてほしくないととも言われていました。なので、自由にやらせてもらったのでオフェンス面は自信につながる12試合でした。でもその反面、チームのディフェンスを短い期間で全てを理解するのは難しいなと安齋さんも一緒にビデオを見てアドバイスをしてくれました。
――安齋コーチはチームのルールの中でファイティングスピリッツを大事にします。
テーブス それは結局気持ちなのかなと思います。やるかやらないかだと思うので、今シーズンはそういうところでも活躍したいなと思います。
――今シーズンの個人的な目標はありますか?
テーブス 新人王です。今シーズンは開幕からプレーができてフルでやっていく以上、新人王を狙っていきたいです。
――チームの優勝に向けてしなければいけないことは何だと思いますか?
テーブス ブレックスは僕が入る前から元々強いチームなので、正直、僕が絶対に必要ではないかもしれません。だからこそ自分が出ている時は試合のレベルを上げる気持ちでやっています。攻防で泥臭くチームに貢献できたらなと思います。
――ブレックスにはいろいろタイプの違うガードがそろっていますね。
テーブス 相手チームからしたら嫌かもしれないですが、僕からすれば毎日レベルが高くタイプの違うポイントガード(以下PG)とマッチアップできるのは最高ですし、それぞれ皆さんからから学べるものも違います。ナベ(渡邉裕規)さんはシュート力、ピックからの得点とる能力、セイジ(鵤誠司)さんは体の強さやチームのディフェンスのポジショニングだったりを参考にしています。田臥(勇太)さんは優れたバスケットIQやベテランとしての意識と学べるものが多いので、練習からどんどん吸収したいなと思います。
――東京オリンピックを意識しますか? 代表入りするのに大切なことは?
テーブス もちろん意識はしています。自分が日本ではサイズのあるPGである以上はディフェンスが大事で、海外の選手とマッチアップする時、相手のガードをどれだけ止められるかが重要です。ですから、そのようなところが求められてるのかなと思います。PGとしての安定感、ターンオーバーをしないなど派手なプレーは求められてないと思うので、ディフェンスの部分とPGとしてチームにとって良い流れを作ることが大事なのではないでしょうか。
――ところで最近ハマっていることはありますか?
テーブス Netflix(ネットフリックス)ですね。新型コロナウイルスの影響で外出自粛中の時にはネットフリックスの全部を見たくらいです。『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』にもめちゃくちゃハマって4回くらい見返しました。僕らの世代はジョーダンを生で見てたわけじゃないので、それを現代に見られるのはうれしいですし、ジョーダンのことがより理解できたと思います。特に彼の病的とも言える競争心には普通の人では共感できない熱さが伝わってきました。いい意味でクレイジーで、あれくらい競争心がないと世界のトップには立てないんだと感じました。
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
テーブス 新型コロナの影響で世界中で不便な生活をされている方が多いと思いますが、今年もBリーグが開幕できることになりました。引き続き応援よろしくお願いします。