2020.11.06
アメリカ仕込みの21歳・テーブス海が魅せた。東洋大学京北高校2年次にアメリカへ渡り、ノースカロライナ大学ウィルミントン校時代にはNCAAディビジョン1で全体2位となる平均7.7アシストを記録したテーブスは、言わば“攻撃型ポイントガード”だ。
しかし、9月5日に行われた群馬クレインサンダースとのプレシーズンゲーム、テーブスは宇都宮ブレックスの象徴でもある相手にしつこく密着し続けるディフェンスを披露。この日ファンの前で見せたディフェンスは、昨シーズンよりも遥かに進化しており、まさに『ブレックスメンタリティ』が注入された、と思わせるような姿だった。
「僕はアメリカから帰ってきてBリーグに合わせるために、体を完全に改善しなきゃいけませんでした。アメリカでやっていた時は自分よりも大きな選手とマッチアップすることが多く、今より大分体重が重かったんですけど、今年ブレックスで激しいディフェンスを毎試合やるとなったら体重も落として、脂肪も筋肉も少し減らすことが一番大事だと思いました。なのでオフシーズン、(新型)コロナウイルスの影響で自粛していた期間は、食事やトレーニングで体を変えようと。チームディフェンスの部分はいろいろなルールを理解するために映像を見て理解できるよう取り組んでいました」
中止を余儀なくされ、計12試合の出場にとどまった昨季のBリーグを経験した中で、テーブスは自身の改善点を見出したようだ。
指揮を執る安齋竜三ヘッドコーチも「ディフェンスの成長はかなりしていますね」と、現状では高い評価を与えており、今後のさらなる成長を促している。「あれだけ脚力があるので、1人で守れる範囲がすごく広いですし、海の意識の中でもディフェンスの部分をもっと大きくしていくとプレーの幅や質が上がるんじゃないかなと。そこはかなり評価しています」。
「積極的にピックを使ってリングにアタックできたと思います」と振り返ったように、ピックアンドロールから緩急をつけたドリブルで相手をいなし、ペイント内で囲まれようとも落ちついてフィニッシュまで持っていくプレーを随所に見せた。この鮮やかな個人技には、ゲームを楽しみに駆けつけたファン・ブースターが思わず「オー!」と驚きの声をあげてしまうほどだった。
まだたった2試合だが、明らかな進化をファン、そして相手チームに見せつけた。テーブスが見据える先には、もちろん東京オリンピック出場という目標も含まれている。
「日本代表に入るためには、ポイントガードとしてチームの流れを良くすることが大事です。自分がアタックして流れを良くできるのであればそうしますし、ボールを回したりディフェンスからチームの流れを作ることも大事になるかもしれない。そこは流れを見て、今、何が必要なのかを考えながら勝利に貢献できたらいいなと思います」
今シーズン、テーブス海はどんな選手へと変貌を遂げるのか。
文・写真=小沼克年
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