10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第10回は、ここ2年間低迷が続いているシーホース三河の鈴木貴美一ヘッドコーチ。幾度となく三河を頂点へと導いた名将は、今シーズンどのようにチームを立て直し、優勝争いへと導くのか。
インタビュー・文=山田智子
取材日=2020年9月1日
――まずは昨シーズンの戦いを振り返ってください。
鈴木 序盤は苦しい展開だったのですが、年末頃からだんだんかみ合ってチームになってきました。ガード陣がリーグで一番若い中で、彼らが頑張って非常に成長して、後半の残り試合は勝ち星が多くなると予想していたので、(リーグが中止になって)非常に残念な思いがあります。シーズンの終盤は練習も充実していましたし、引退した選手もいますので、今シーズンは早くから強度を高めて、しっかりとチームを作っている状況です。
――大黒柱の桜木ジェイアールさんが引退したことで、チームは大きく変わらざるを得ないと思います。今シーズンはどのようなチームを目指しますか。
鈴木 ジェイアールはチームのスタイルや大事な場面で何をしなければいけないかを熟知している選手です。彼が現役を引退したことを受け、スペースを広く取って、ボールを動かして、人が動くバスケットに変えていきたいと考えています。
――昨シーズンの後半は「人とボールが動くバスケット」が見え始めていました。
鈴木 そのとおりですね。後半戦はボールを動かして、ボールスクリーンのプレーが多くなりました。今シーズンはその延長というか、スペースを広く使ったバスケットに取り組んでいます。また、ディフェンスを頑張る選手が入ってきたので、チームディフェンスを強化してイニシアチブを取れるチームを目指したいです。オフェンスでもアップテンポな展開もできるので、ここ4、5年でやってきたものとは全く違うバスケットになると思います。
目標設定は、あくまでも「優勝」
――今シーズンの補強のポイントを聞かせてください。
鈴木 柏木真介選手に関しては、お互いに良い思い出があるというか、我々のチームを優勝に導いたNo.1ガードという実績もありますし、勝つためのセオリーを知っている選手です。彼の経験値が我々の若いガードのさらなる成長に必要だと考えました。チームが勝つためにはこういうコミュニケーションが必要だとか、コートの内外でアドバイスをしてくれると思うので、非常に頼もしいですね。コンディションについても、3年前に退団した時よりも身体が動いていて驚いています。
高橋耕陽選手は、ディフェンス面でも非常にアグレッシブな選手。おとなしい選手が多い中で、アグレッシブにディフェンスから走る選手がどうしても欲しかった。まだ若く、伸び代があるので期待しています。
シェーファーアヴィ幸樹選手に関しては、バスケットの経験値は少ないですが、ディフェンスやリバウンドに対しての意識が高い。今までのチームではあまり3ポイントシュートを打っていないですが、外国籍選手とプレーしながら成長して、アウトサイドもできる選手になってほしいです。我々のチームでも日本代表でも活躍してほしいですし、最も期待されているインサイドの選手だと思うので責任を感じています。
――外国籍選手については、ここ数年間はシーズン途中での入れ替わりがあり、苦労している印象があります。
鈴木 日本人選手とダバンテ・ガードナー選手に関しては、バランス良く選手がそろったと感じています。だから、今シーズンのキーになるのは新しい外国籍選手がどれだけチームに馴染んで、我々の目指すバスケットに順応するかというところですね。外国籍選手を変えずにシーズンを終えられるのが理想です。
――あらためて、今シーズンの目標をお聞かせください。
鈴木 この2年間非常に苦しんだ中でおこがましいのですが、やはり我々は常勝を義務づけられているチームだと思います。目標設定は、あくまでも優勝というところに置きたいと思います。
――そのためにはスタートダッシュが重要になると思います。チームの仕上がり具合はいかがでしょうか。
鈴木 この2年はみんなが迷いながらスタートしたので、今シーズンはそうならないよう、練習初日から5対5をやったりしてかなり飛ばして、「ついてこられなかったらまずいよ」という雰囲気をあえて作りました。例年にないくらいチームが早くできあがっていますし、選手同士のコミュニケーションもここ数年で一番取れているので、新しい外国籍選手が合流してしっかりとマッチすれば、昨年、一昨年みたいな出だしにはならないとを信じています。僕自身もモチベーションが上がっていて、練習するのが楽しみで、毎日ハッスルして練習メニューを考えています。
――最後にファン・ブースターの皆さんへメッセージをお願いします。
鈴木 今までとは違うチームに仕上がっていますので、楽しみにしていただきたいです。コロナの影響で観客の数が制限されるなど難しい状況にありますが、ぜひ会場に来て応援していただきたいと思います。皆さんの期待に応えられるよう全力で頑張ります。