【 #B飛躍の5年目へ 】サンロッカーズ渋谷・伊佐勉HC「CS出場は最低限、ファイナルで勝つことが最終目標」

昨季はSR渋谷を天皇杯制覇に導いた伊佐勉HC[写真]=B.LEAGUE

 10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。

 第16回は、昨季27勝14敗で東地区4位の成績を残したサンロッカーズ渋谷の伊佐勉ヘッドコーチ。天皇杯も制覇し、さらなる飛躍に期待が懸かるチームをどのように指揮するのか。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎
取材日=2020年8月14日

――昨シーズンは27勝14敗と好成績を収めましたが、どのような1年だったと捉えていますか?
伊佐 選手を大幅に入れ替えて、やるバスケットも大幅に変えた“チャレンジのシーズン”でした。結果も伴って、やりたいことがある程度できた良いシーズンだったと思います。

――新たに採り入れた機動力を生かしたバスケットは、もともと伊佐HCが好むものだったのでしょうか?
伊佐 そうですね。やはり速い展開のバスケットを好みます。それに、我々が所属している東地区はフィジカル面が相当強いカンファレンスなので、ディフェンスをしっかりやらないと上には行けません。相当体力を消耗するバスケットになるので、タイムシェアもしながら全員バスケで取り組みました。

――大幅な変更にはリスクもあったと思いますが、うまくいった要因は何だと思いますか?
伊佐 最初からブレずに、やるべきことを徹底できたことが一番の要因かと思います。選手たちが私を信じてくれて、常に100パーセントでこのバスケットを遂行してくれました。チーム一丸となって戦えるメンバーがそろっていたのかなと思います。

――ディフェンスの強化を進めつつも、昨シーズンは1試合平均得点85.4得点でリーグトップでした。
伊佐 正直なところ、昨年はオフェンスの練習をほとんどやっておらず、9割方がディフェンスの練習でした。スティールからのスコアや、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスは意識的に取り組んでいたところなので、そこでポジティブな数字が出ていたことが、平均得点でリーグトップになれた大きな要因だと思います。

――昨シーズンはベンドラメ礼生選手が新キャプテンとしてチームをけん引しました。
伊佐 キャプテンになったことで、責任感がその行動からも見て取れました。多くは語らないながらも、行動やプレーでチーム全体を引っ張るという意識はあったと思います。副キャプテンを経験のある石井講祐に託したことも良い方向に働いたと感じます。

――手ごたえを感じたシーズンだったかと思いますが、課題としてはどのようなものがありましたか?
伊佐 ディフェンスファーストのバスケットを掲げていながらも、失点が少なかったかというと、全くそうではありませんでした。特にペイントエリア内で相手に得点を許すことが多かったので、そこは大きな課題でした。

今シーズンはよりアグレッシブなバスケットを展開したい

――そうした課題を踏まえて、夏の移籍市場ではどのような狙いを持っていたのですか?
伊佐 昨シーズンが途中で終わってしまったので、今シーズンも同じメンバーでやっていきたいと思っていました。とはいえプロの世界ですので、もう少し選手が抜けてしまうだろうとも思っていたのですが、幸いにもほとんどメンバーが残ってくれました。これまで積み上げてきたものに新加入のジェームズ・マカドゥが新しい風を吹かしつつ、うまくフィットしてくれるのではないかと思います。

――そのジェームズ・マカドゥ選手には、どのような働きを期待していますか?
伊佐 アクティブに動き続けられるという意味では、セバスチャン・サイズと同じタイプの選手だと思っています。それに加えて経験豊富なので、チームに落ち着きをもたらしてくれるかなと。また、先ほど課題として挙げたペイントエリア内のディフェンスにも期待しています。チームコンセプトに合う、素晴らしい選手が加入してくれました。

――過去2シーズン特別指定選手として活躍した盛實海翔選手も、ついに正式加入を果たしました。
伊佐 周りのチームも彼の実力はわかっていると思います。プロ1年目という扱いではなく、最初から相当なプレッシャーをかけられると思うので、それを打破してほしいです。1年目ですけど間違いなくローテーションには入ってきますし、彼の持っているポテンシャルを最大限生かせるように、チームとして彼を育てていきたいと思います。相当期待しています。

――現時点でのチーム作りの狙いは?
伊佐 しっかりと体づくりをして、昨シーズンと同じかそれ以上のディフェンスを見せたいと思います。それに加えて、昨シーズンはほとんどオフェンスの練習をしていないと話しましたが、今年はもうちょっと走っていきたいなと。そのための足を開幕に向けて作っています。

――今シーズンは外国籍選手起用に関するレギュレーションも変わり、コート上のマネジメントも変わると思います。
伊佐 SR渋谷はタイムシェアをしなければいけない戦術ではあるものの、外国籍選手についてはほとんどそれができていませんでした。今シーズンはベンチに外国選手3人が入れて、日本人ビッグマンの野口もいます。インサイドに関してもしっかりとローテーションをして、よりアグレッシブなバスケットを展開したいと思っています。

――では最後に2020-21シーズンの目標を教えてください。
伊佐 激戦区の東地区でしっかりと勝ち星を挙げて、チャンピオンシップに出場することが最低限の目標です。そしてリーグ最後の試合、ファイナルを戦って、勝ちたい。やはりそれが最終目標になります。

 昨シーズンが途中で終わってしまったので、私の中で今シーズンは「昨シーズンの続き」と捉えています。選手やスタッフはもちろん、ファンの皆さんにも選手を盛り上げていただいて、最後まで一緒に戦い抜いてほしいと思います。

チーム一丸となるバスケットで悲願のリーグ優勝を目指す[写真]=B.LEAGUE

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