2020.10.03
10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第8回は、今シーズン大型補強に成功した名古屋ダイヤモンドドルフィンズの梶山信吾ヘッドコーチ。新戦力と既存の選手たちをどのように融合させ、どのようなバスケットを展開するのか。
インタビュー・文=山田智子
取材日=2020年8月26日
――最初に、17勝24敗で西地区5位と悔しい結果に終わった昨シーズンの総括をお願いします。
梶山 残念ながら、当初描いていたイメージとは大きくかけ離れたシーズンとなり、ファンの皆さまの期待に応えることができませんでした。最も大きな課題はターンオーバーの数です。リーグワーストの560本で、1位の宇都宮ブレックス(410本)とは150本の差がありました。このことをチーム全員で真摯に受け止め、共通認識を持って練習に取り組んでいます。
また、スペーシングとスリーポイントシュートの確率が悪かったことも課題です。スリーポイントのアテンプト数はBリーグでも上位ですし、オープンで打てている場面も多いので、シューターだけでなく全員が決めきる力をつけることが大きなテーマだと思います。
――今オフは大型補強を敢行しました。補強のポイントと新加入選手に期待することを聞かせてください。
梶山 齋藤拓実選手には、明治大学在籍中から注目していました。ウチのチームが目指すトランジションバスケットに、彼が持つリーグ屈指のスピードは完全にフィットします。正直来てもらえるとは思っていなかったので、うれしい誤算という感じですね。彼が加わったことでさらにトランジションバスケットに磨きがかけられますし、本当にワクワクしています。
狩野祐介選手に関しては、まずはうちの課題でもあるスリーポイントシュートが素晴らしいこと。それから彼の持つリーダーシップは今までのうちにはなかったもので、練習から声出しを率先するなどチームに貢献してくれています。プロ意識も高く、練習の2時間前に来て準備をしている姿は若い選手の見本になっています。
外国籍選手に関しては、昨シーズンの反省を踏まえ、スリーポイントシュートを打てる選手を第一に考えていました。レオ・ライオンズ選手は、昨シーズンも平均で約37分出場しているにもかかわらず怪我が少ないタフな選手で、昨シーズンはキャッチ&スリーポイントシュートが37パーセント。まさにうちが求めている選手でした。
ジェフ・エアーズ選手は昨シーズンのリバウンドが14.3本で、試合数が規定に達していればリーグトップの数字でした。リバウンドもうちのウィークネスにひとつですし、彼のリバウンドひとつで会場の雰囲気がガラッと変わるくらいの情熱とエナジーを備えた選手です。うちの選手は感情を表に出す選手が多くないので、彼のパッションがチームに大きなエナジーをもたらしてくれることを期待しています。
――昨シーズンの課題を見事に補ったすばらしい補強で、楽しみなメンバーがそろいましたね。
梶山 ファンの方たちはすごく喜んでくれていると思うのですが、僕にはプレッシャーでしかないですね(笑)。昨シーズンの渋谷さんがツープラトン(コート上の5人全員を同時に入れ替えること)をやっていましたが、今年私たちも2チーム作れるメンバーがそろっていますし、選手起用に対しては本当に頭を悩ませています。楽しい悩みですね。
――ドナルド・ベック氏がアドバイザーとして加わりました。どのような役割を果たされているのでしょうか。
梶山 僕たちスタッフ陣の勉強という部分が一番です。ベックさんはコーチ歴も長いですし、優勝経験もありますので、そうした経験を教えてくださいとお願いしています。
――充実の布陣で、今シーズンはどのようなチームを目指しますか?
梶山 バスケットの魅力はやはり展開の速さだと思うので、これまでどおりドルフィンズらしいトランジションバスケット、Bリーグで一番速いバスケットを目指したいと思います。それが選手それぞれの良さを引き出すことにつながると信念を持って続けています。
――先日練習を拝見しましたが、かなり走っていて、ハードそうでした。
梶山 走りまくっていますよ。僕がヘッドコーチになってから一番練習がキツいと思います。それでもやらされている様子では全くないですし、選手、スタッフがびっくりするほど同じ方向を向いているので、本当に良い練習ができていると手応えを感じています。
――それでは、今シーズンの目標をお願いします。
梶山 昨シーズンは勝ち星を挙げる回数が少なく、選手もスタッフも危機感を感じています。まずは毎日の練習を100パーセントでやること、目の前の試合を一戦一戦大事に戦うことを目標にしています。そしてファンの方たちの喜ぶ顔がたくさん見たい。それだけですね。
――最後にファン・ブースターの皆さんに向けてメッセージをお願いします。
梶山 新型コロナウイルスという大きな壁は、僕たちだけでは乗り越えることができません。ファンの皆さんと一緒になってその大きな壁を乗り越えて、純粋にバスケットボールを楽しんでもらえるように、僕たちはコートで表現したいと思います。
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