2020.10.01
10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第19回は、31勝9敗と圧倒的な成績で中地区を独走した川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次ヘッドコーチ。今シーズン、ロースターにほぼ変化を加えずに臨む中で、どのような変化をチームに加えようとしているのか。
インタビュー・文=吉川哲彦
取材日=2020年8月19日
――はじめに、HC就任1年目となった昨シーズンを振り返ってください。
佐藤 「どういうバスケットをしたいか」ということをチームで共有して、作りたいと思っていたチームを作れたと感じていますし、選手一人ひとりがコートでしっかり表現できた試合が多かったと思います。ただ、優勝するチャンスがあったのにチャレンジできなかったことは残念で、その分も今シーズンは頑張りたいと思います。
――ケガで長期離脱する選手もいた中で、逆境を乗り越えられた要因は?
佐藤 チーム作りを始めた時から言い続けていたのは、「全員がリーダーシップを持ってくれ」ということでした。誰が抜けても、何があってもチームが変わらない、誰がコートに立ってもその選手の強みが発揮できてチーム力が落ちない、そういうチームを目指しました。特に、天皇杯は辻(直人)がポイントガードをやって、違う色が出て強みも発揮できて、良い試合ができたと思います。
――目の前の勝利ではなく、先を見据えて取り組んだところもありましたか?
佐藤 HCという職業は1年1年が勝負なのは間違いないのですが、1年目の中でできる土台作りはできました。今シーズンは、その土台の質を上げられるかどうか。昨シーズンはターンオーバーが多かったですし、一つひとつのポゼッションをパーフェクトにできていたかというと、まだまだです。1つのスクリーンや1つのパス、細かい部分の質を上げるのが目標です。ただ、ベースは何も変わらないですし、チーム作りで困っていることも特になく、順調にきていると思います。
――昨シーズンとロスターがほぼ変わらない中、パブロ・アギラール選手は新加入に近い選手だと思います。彼には何を期待されていますか?
佐藤 昨シーズンの時点で練習は結構一緒にできていて、彼の良さもよく分かっています。その中でも一番は、バスケットIQの高さ。今シーズン一番考える必要があるのは、外国籍選手が3人ベンチ入りできる点ですが、他チームもいろんな編成をしている中で、我々はパブロもマティアス(カルファニ)も3番ポジションができるので、いろいろな場面で活躍してくれると思っています。
――チーム作りという点で佐藤HCが大切にしていることは何ですか?
佐藤 1つは、全員でチームを作るということです。魔法のような戦術を持ったHCがいるわけでもなく、打てば全部決めてくれるシューターがいるわけでもない。一人ひとりの力が結集して、優勝を勝ち取れるものだと思います。全員がリーダーシップを持って、全員の力でチームを作る。これは選手もスタッフも一緒です。
「BE READY」、「BE TOUGH」、「COMMUNICATION」、「COMPETITION」、「DICTATE(自分から仕向ける)」「DISRUPT(先に仕掛けて相手を混乱させる)」「KEEP RUNNING」この7つのキーワード全てが昨シーズンから選手に強調して求めているものであり、我々の文化でもあります。今シーズンはメンバーが変わらず、この7つが既にベースとして備わっているところからスタートする分、それぞれの質を高めることにチャレンジできる。とことん質を高めたその先にあるもの、今シーズンみんなで目指すもの、追求するものが「WORLD STANDARD」です。とことん質を高めて世界基準のチームを目指そうというのが今シーズンのテーマであり、これを追求する姿勢、その過程、我々の日常が良い意味で来年の東京オリンピックにもつながればと思っています。
――それでは、今シーズンの目標を教えてください。
佐藤 もちろん優勝です。天皇杯の結果も求めながらレギュラーシーズンで地区優勝、そしてチャンピオンシップでリーグ優勝。3つの優勝を掲げています。
――最後に、ファンへメッセージをお願いします。
佐藤 こういう大変な状況の中、バスケットボールをとおして何を伝えられるか、バスケットボールに何ができるかを考え、試合を通じてバスケットボールが持つ力を感じてもらえるようなシーズンにしたいと思っています。我々がバスケットボールをできるのも、応援してくれる方々の支えのおかげ。恩返しの思いを込めて、素晴らしいチームを作りたいと思います。ぜひBリーグを盛り上げて、楽しんでもらえればと思っています。
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