10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。
第18回は、昨シーズン31勝9敗と好成績を記録した宇都宮ブレックスの安齋竜三HC。選手時代から長らく所属する安齋HCは、Bリーグ初年度以来となる優勝を果たすためにどのようなバスケットを展開するのか。
インタビュー・文=吉川哲彦
取材日=2020年8月19日
――まずは昨シーズンを振り返ってください。
安齋 開幕節(vs川崎ブレイブサンダース)の連敗で出鼻をくじかれたことで挑戦者としての意識がもう1段階高まって、そこからチームをうまく作っていけたかなとは思います。天皇杯の時期も新しい選手が入ったことで少しバランスが崩れたんですが、そこからそれまで以上に良くなっていったので、このままいけばという楽しみはありました。
――ここ数年は主力メンバーが大きく変わっていませんし、今シーズンもこれまでの戦い方を継続して上積みしようというお考えですか?
安齋 そうですね。特にディフェンスは何も変わりませんし、選手も何年もやってきているのであまり細かく言う必要がなく、自分たちがやろうとしていることを理解していて、コーチとしてやりやすさはあります。
――そんな中で外国籍選手が新たに2人加わりました。彼らを獲得した意図を教えてください。
安齋 過去2シーズンはそれなりの成績を残しましたが、もう一歩抜け出すためには何かが必要です。部分部分でもう少し補強したいところもあって、その1つがビッグマン。ライアン(ロシター)を筆頭にビッグマンは我々のスタイルにはかなり合っていますが、ディフェンス面では負担が大きい。ジョシュ・スコットはそこで強さを出せて、我々があまり採り入れていないポストアップからの攻めも彼がいれば要所でそれを出せる。L・J・ピークに関しては、リーグ全体でウィングがサイズアップしている中で、そこに対抗できるサイズの選手ということで獲得しました。彼はドライブで切っていけるので、オフェンスでは彼も含めて今シーズンは個人の良いところをもっと出していくことを考えています。
――昨シーズン途中に入団したテーブス海選手については何を期待されていますか?
安齋 スピードや視野の広さは日本の中でもかなり高いレベルです。ガード陣が少しベテランになってきていて、彼らから吸収しながらも考えすぎずに自分の良いところをいかに出すかということをやってほしいと思っています。あまりシステムに染まらないように育てていきたいですね。
選手に役割を持たせてそれを発揮できる場所を与えることが重要
――ところで、安齋HCがチーム作りで大事にしていることは何でしょうか?
安齋 こうしてバスケットができるのは、応援してくれるファンの方々や支えてくれるスポンサーさんがいて成り立つので、まずそこに対する責任を持ちながら取り組むことが一番で、そういう気持ちがない選手はこのチームでは難しいというのが大前提としてあります。あとは、チームとしてまとまっていく上で、試合に出ていても出ていなくてもこのチームに関わっているということを一人ひとりがしっかり認識できるか、コーチとして認識させることができているか。役割を持たせてそれを発揮できる場所を与えることが重要だと思っています。
――それでは今シーズンの目標をお願いします。
安齋 最終目標は優勝しかありません。そして、そこまでどういうプロセスを踏むかということも大事にしながら、我々はファンやスポンサー、行政などとの関わりがあってのチームなので、その人たちに喜んでもらうこと、何かを感じてもらうこと。そういうチームになっていけば自ずと結果もついてくると思います。ただ、良い選手がたくさんいるので勝つ責任もある。自分も含めてしっかりと自負を持って取り組んでいきたいと思います。
――最後にファンへメッセージをお願いします。
安齋 何年このチームにいても、あの満員の会場で「レッツゴー栃木」のコールを聞くと鳥肌が立ちます。どういう形でシーズンが進むかはわかりませんが、我々はしっかり準備をして、今難しい状況になっている方の支えになることをバスケットボールで体現していきたいと思っています。今シーズンも一緒に戦っていただいて、最後に笑い合えれば最高だなと思います。