2020.09.26

【 #B飛躍の5年目へ 】琉球ゴールデンキングス・藤田弘輝HC「リーグで一番ハードワークして、組織として戦えるチームを目指す」

琉球ゴールデンキングスを率いる藤田弘輝HC[写真]=B.LEAGUE
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 10月2日から開幕するBリーグB1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。

 第15回は、3シーズン連続で西地区1位に輝いた琉球ゴールデンキングス藤田弘輝ヘッドコーチ。「常勝」が求められるチームにおいて、藤田HCはどのようなバスケットを展開しようと考えているのか。

インタビュー・文=岡本 亮
取材日=2020年8月14日

――昨シーズン、アシスタントコーチとしてチームに加わり、シーズン途中にヘッドコーチへ昇格しました。いろいろなことが起きたシーズンでしたが、振り返ってみるとどんなシーズンでしたか?
藤田 その前のシーズンからメンバーが大幅に変わりましたし、いろいろな怪我や逆境がありましたが、最終的にはチーム一丸となってファイトできたシーズンだったのかなと思います。

――昨年12月に正式にヘッドコーチへ昇格してから、チームにどのような変化を加えましたか?
藤田 守備の戦術はほとんど変えませんでした。前任の佐々(宜央、現宇都宮ブレックスアシスタントコーチ)さんのやっていたバスケットは質もレベルも高かったので、僕のニュアンスを少し入れたくらいです。オフェンス面では、状況判断をしなければいけないシチュエーションで選手がどう動くのかなど、僕のニュアンスをほんのちょっと入れただけです。

――前任の佐々さんが指揮していた時は13勝7敗、藤田HCが指揮した試合は14勝7敗とHCが変わったにもかかわらずチームとして大崩れしませんでした。その要因はどこにあると感じていますか?
藤田  HCが変わっても選手がそれぞれの良さを発揮してくれましたし、チームでバスケットをしようという姿勢がそういったことにつながったと思います。

――今シーズン、日本人選手は船生誠也選手と今村佳太選手が新たに加わりました。彼らに期待することは?
藤田  2人ともサイズもアスレチックさも、手の長さもフィジカルも違う身体能力を持っているので、まずそこを全面的にディフェンスで出してほしいのと、それぞれ持っているオフェンスの強みを出してほしいと思っています。船生選手だったらパスやドライブの能力、今村選手だったらドライブにプラス、シューターというくくりでチームに貢献してほしいです。攻守ともにキングスを引き上げてくれる選手だと思うので、期待しています。

――昨シーズン、牧隼利選手が特別指定選手として途中加入したにもかかわらず多く起用されましたが、彼の良さはどこにありますか?
藤田  ハートです。気持ちが強いし、ものすごいリーダーシップを発揮できる可能性を持っています。バスケットに対して真面目で、キャラクター、心がすごく良いです。

自分たちのベストなバスケットをすることに集中

――今シーズンから外国籍選手が3人ベンチ入りできるようになりました。このルール変更についてどのように感じていますか?
藤田  昨年までのルールはとても難しかったので……。2人しか出られないけど、チームに3人いたほうがいい。昨シーズン途中加入したユージーン・フェルプス選手はすごく良い選手で、技術的にも精神的にもすごく良かったですが、40分という試合で見た時になかなかチームにフィットできなかったとも言えます。3人で回すのなら出場機会はもっと増えましたが、デモン・ブルックス選手とジャック・クーリー選手が出るほうが試合に勝つ可能性が高いと判断しました。そういう意味では、今年からのルールはいろいろなラインアップを組めるので、やりやすいと思います。

――今シーズン、どんな戦いをしようと考えていますか?
藤田  現時点でいろいろと考えていますが、新型コロナウイルスの影響でどうなるか分からないので。外国籍選手が何人いるか分からないし、試合によっては相手チームのほうが圧倒的にサイズが大きいこともあるかもしれません。なので、僕たちがフォーカスしているのは過程を大事にして、どんな時でもベストなバスケットができるようにすること。リーグで一番ハードワークして、組織として戦えるチームを目指しています。

――チーム作りを進める上で大切にしていることは何ですか?
藤田  コーチがプレーするわけではないので、チームに大切なことを選手にはっきりと伝え、選手がコート上で主体性を持ってやれるように枠組みを作るのがコーチの仕事だと思っています。

――琉球のファンは、画面越しでも伝わるほどすごい熱量があります。そのブースターの前で戦える喜びは新型コロナウイルスの影響もあり、より一層感じていますか?
藤田  間違いないです。僕は心の底から沖縄のバスケットカルチャーが大好きですし、街を歩いていて、外のコートで子どもたちがピックアップゲームをしているのを見るのも大好きです。それくらいバスケットに情熱を注いでいる皆さんの声援がもしかしたら半分、無観客になってしまうと思うと、僕らのシックスマンを失う感覚になります。今シーズンの終盤に新アリーナが完成する予定ですが、そこで試合をする時にはコロナが収束して、満員になるくらい人がきて、一番上にいるファンにまで僕たちのバスケットが届くようにチームを作っていけたらと思います。

――では、今シーズンの目標を教えてください。
藤田 自分たちのベストなバスケットをすることに集中して、ついて来る結果が西地区優勝、そして最終的には優勝できるように戦っていきたいと思っています。

――最後にファンへメッセージをお願いします。
藤田 新型コロナウイルスの感染者が増えて緊急事態宣言が発令され、沖縄県の皆さんは不安な日々を過ごされていると思います。僕たちとしてはシーズンが開幕した時に、「キングスの試合を観て元気をもらえた」と言われるようなチームを目指していきたいと思っています。今シーズンも日本一のファンとして、僕たちのシックスマンとして応援をお願いします!

「選手がコート上で主体性を持ってやれるように枠組みを作るのがコーチの仕事」と語る藤田HC[写真]=B.LEAGUE

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