サンロッカーズ渋谷はホーム連敗…それでもベンドラメ礼生は5年目の開幕に感謝「この瞬間を心待ちにしていた」

開幕2連敗を喫するも、ベンドラメは一定の手ごたえをつかんでいる[写真]=B.LEAGUE

2日連続で接戦をモノにできず連敗スタート

 サンロッカーズ渋谷は、2020−21シーズンのホーム開幕節を2連敗で終えた。

 10月3日のシーホース三河との開幕戦は最終スコア78-82、続く第2戦も87-89という僅差での試合。伊佐勉ヘッドコーチは4日の試合後、「昨日と同様にクロスゲームになりましたけど、勝たないと意味がないです。2連敗という結果は私の責任だと感じています」と力のない声で話した。

 その一方で、キャプテンのベンドラメ礼生は、悔しい連敗にも試合を終えて一息ついた頃にはすでに前を見据えていた。「言い訳ですけど、まだシーズンは始まったばかり。そこを気にしていたら何も始まらないですし、次に切り替えていきたいと思います」。

 第1戦では約20分の出場で放ったシュートは7本、得点は第1クォーター序盤に挙げた2得点のみに終わったベンドラメ。2点を追う第4クォーターの最終盤には自らのアタックで同点を狙いにいったが、相手ディフェンスに阻まれ、そのまま敗れた。

「昨日はシュート数が少なくて、なかなか波に乗れなかったです。今日は積極的にドライブもアウトサイドも狙っていこうと思っていました」。初戦の反省を生かし、第2戦では最終クォーターで11得点など、積極的な姿勢を見せて計23得点。本来のプレースタイルを取り戻したベンドラメは、「空いていたらジャンプシュートを打つ、対応してくればドライブするというバランスが良かったです」と、個人の出来には一定の手応えを掴んだ。

 伊佐HCが「今シーズンは昨シーズンの続き」と捉えるように、SR渋谷は今季も激しいプレッシャーディフェンスから勝利を呼び込むスタイルを継続させる方針だ。だが、同じことの繰り返しでは相手に対策をされ、この先も苦しむ可能性が大いにある。

「昨シーズンの負けた試合は、前からプレッシャーをかけるんですけど、今日みたいに縦に割られるシチュエーションが多かった。プレッシャーがかけづらくなって、気づいたらただ正面にいるだけのディフェンスになっています」

 では、昨シーズンからどう進化すれば、チームはレベルアップできるのか。ベンドラメは言う。

「今日は持ち味であるプレッシャーをかけにいきましたけど、相手に縦に割られてしまいました。でも、今日のディフェンスが僕たちのスタンダードだと思います。周りのヘルプの仕方や位置取りをうまくできるよう、もっとチーム全体でコミュニケーションをとってやっていきたいです。それが次のステップへ向けて必要なことだと思います」

 チームは次節もホームで戦うことができるが、その相手は千葉ジェッツと引き続き難敵を迎えての2連戦となる。一週間後の試合に向け、チームはどこまで課題を克服できるか注目だ。

「バランス良く攻められた」と自身の出来を振り返った[写真]=B.LEAGUE

「この瞬間を選手もファンも心待ちにしていた」

 コロナ禍の中で開幕した今シーズンは、会場での応援は声出しが禁止され、入場数も50パーセントに制限するなど、これまでとは違う雰囲気の中で5年目を迎えた。

 SR渋谷のホーム開幕節は、両日ともに約1200名のファンが来場。昨シーズンは1試合平均2906名(昨季第22節終了時点)がホームゲームに訪れており、会場の熱気が元に戻るのはまだまだ時間がかかるだろう。そんな状況の中でも、チームはファンから録音した応援コールを集めて会場で音声として流したり、応援ボードやスマートフォンを活用したリモート応援システムを導入したりと、選手へ向け変わらない声援を届けようと試行錯誤を続けている。

 このことについては「そんなに今までとの違和感はないというか、思っていたよりもお客さんが入っている印象がありました」と、実際にプレーしてみての素直な感想を述べたベンドラメ。「それは皆さんの手拍子や盛り上がりがそうしてくれたかなと感じています」と感謝し、無事に開幕を迎えられたことへの喜びを噛み締めた。

「無事試合が開催できたのは嬉しいです。この瞬間を選手もファンの方々も心待ちにしていたと思いますし、こうやってファンの前でしっかりゲームができてすごくうれしかったです。負けはしましたけど、悔しい気持ちもシュートを決めたときの心の高鳴りも、『懐かしいな』と言う気持ちになりました。これから試合が続きますけど、チームとしてもまた新たな気持ちで一歩一歩成長していきたいという気持ちが生まれた試合でした」

文=小沼克年

青山学院記念館での開幕戦には両日約1200人の観客がかけつけた[写真]=B.LEAGUE

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