本拠地デビュー戦は、日本代表の竹内公輔と対峙
「最初にコートに出た時、ブースターの歓声がすごくて、うれしかったことを覚えています」
10月18日に行われた宇都宮ブレックス戦にて、千葉ジェッツのルーキー・赤穂雷太が本拠地デビューを果たした。
青山学院大学のバスケット部を退部し、今年の5月末に千葉と特別指定選手契約を結んだ22歳は、1月には横浜ビー・コルセアーズでも9試合プレーしている。千葉加入後は敵地での開幕節2試合に出場したが、高校3年間を過ごした“準地元”でのデビュー戦は節目の一日となった。
しかし、試合は第1戦のリベンジに燃えた宇都宮に68−85で惨敗。シューティングガードやスモールフォワードを主戦場とし、ポイントガードとしてもプレーできる赤穂も、ケガ人を抱えているチーム事情からこの日はパワーフォワードでの出場となった。
指揮官の大野篤史ヘッドコーチは「できれば上のポジションでプレーさせてあげたかった」と前置きしつつ、「竹内(公輔)選手に当ててみよう」と、試合前から起用法を考えていたという。実際の試合でも、竹内がコートインしたと同時に赤穂を出してマッチアップさせた。
インサイドでプレーするとなれば、196センチという高身長が魅力の赤穂でも、身長やフィジカル面での不利が生じてしまう。それでも赤穂は、不慣れなポジションかつ日本代表でもある206センチの竹内を相手に守備で奮闘。約5分間の出場で得点は奪えなかったものの、竹内に得点を与えなかった。
この出来には大野HCも「ディフェンスでは体をしっかり張っていいボックスアウトをしていましたし、リバウンドもトラブルにならなかったので良かったと思います」と及第点を与えた。自らプロ入りを決断した赤穂も、「今は出られるポジションで信頼を勝ち取っていかないとプレータイムはもらえないです。練習中から4番(パワーフォワード)を経験できて成長につながっているという実感もあるので、今は楽しい気持ちの方が大きいです」と、ポジティブに捉えている。
「何でもできる」がゆえの悩み、雷太を救った言葉
千葉に入団以降は、指揮官から「『“自分の色”というのをしっかりと見つけて、それを描いていくこと』とよく言われています」と赤穂。「“自分の色”は何か」と問うと、「高身長で外も中もできるのが自分の色」と返ってきた。しかし、「ここ(千葉)に来てからは、全部できるけど飛び抜けたものがないなと感じていた」と続ける。
そんな最初のプロの壁に悩んでいた時、両親からもらった言葉が赤穂を救ったという。「『確かにそうかもしれないけれど、逆にそれができる選手の方が少ないんだから』と言ってもらえてからは吹っ切れました。今まで家族とはほとんどバスケットの話をしてこなかったのですが、自信をなくしかけていた時にその言葉をもらって、自分にしかできない外も中もできるプレースタイルをしっかり確立していきたいと思いました」
赤穂の父は、元日本代表の真さんであり、2人の姉・さくらとひまわり(ひまわりは双子の姉)も女子日本代表に名を連ねる選手である。バスケ一家の長男・雷太が目指すのは無論、“千葉を代表する”ではなく、“日本を代表する”ユーティリティープレーヤーだ。
文=小沼克年