17連敗から抜け出した広島ドラゴンフライズ…堀田HC「結果が出ない中で勝ち切れたのは自信になる」

広島の朝山は勝利したものの「すっきりして勝った気持ちはない」とコメント[写真]=B.LEAGUE

 広島ドラゴンフライズが、長く暗いトンネルからようやく抜け出した。今日行われたBリーグ第19節横浜ビー・コルセアーズ戦で73-70と勝利し、昨年11月11日の京都ハンナリーズ戦以来となる白星を手に入れた。

 チームスタッフ、選手たちが一丸となってもぎとった18試合ぶりの勝利。勝利への道は決して平坦な道のりではなかった。

 第1クォーター、アイザイア・マーフィーグレゴリー・エチェニケらの得点でリードを奪うと、キャプテンの朝山正悟も速攻で続き、22-18で終える。いい流れで試合に入ったが、横浜に第2クォーター序盤に連続得点を決められてしまい、逆転を許してしまう。それでも特別指定選手の佐土原遼のバスケットカウントで悪い流れを断ち切ると、朝山の3ポイントシュートで再逆転。45-36で試合を折り返す。

 第2クォーター終盤の勢いそのままに、第3クォーターでも着実に得点を重ねると、オフェンスでのいい流れがディフェンスにも影響し、相手のターンオーバーを誘ってこのクォーター10点に抑え、15点リードで勝負の最終クォーターへ。このまま勝利へと突き進みたいところだったが、第4クォーターに流れを相手に引き渡してしまい、速攻やスティールから得点を奪われてしまう。このクォーターだけで24失点を喫したが、エチェニケのフリースローなどで粘りを見せ、横浜のラストプレーを守り切って73-70で勝利。17連敗を止めた広島の選手たちは一様に笑顔を浮かべ、歓喜の輪が広がった。

 最後は追いすがる相手から逃げ切るような形で勝利を収めたわけだが、第4クォーターで横浜が見せた猛追に、1月23日の三遠ネオフェニックス戦を重ねた広島ブースターも多かっただろう。三遠戦では試合残り1分11秒で追いつかれると、その後広島のシュートが入らず、残り9秒でフリースローから逆転を許してしまう。田渡凌が放ったシュートはリングに嫌われ、敗戦を喫した。

課題だったディフェンスに一定の手ごたえを得た

ディフェンスでリズムをつかめば、エチェニケ(中央)らの攻撃に勢いが増す[写真]=B.LEAGUE


 堀田剛司ヘッドコーチは試合後、「選手たちが苦しみながらなかなか結果が出ない状況だったが、勝ちきれたところは今後、自信になると思う」と安堵の表情を浮かべたが、「自分たちの課題は試合の締め括りかた。終盤にミスが出たり、相手にオフェンスリバウンドを取られたり、速い攻撃展開に持ち込まれてしまった」とやはり猛追を許したことには反省の色を浮かべていた。

 それは朝山も同様に感じており、「今日も試合の締め括り方がよくない状況だったので正直、すっきりして勝った気持ちはない」とコメントしたが、「何とか数か月間勝てていなかった状況から1勝できたことはチームにとってはプラスになり、やってきたことを自信に変えられるタイミングでもあると思う」と一定の自信を得られた試合だったようだ。

 広島の課題は明白だった。昨年B2では圧倒的な攻撃力を示して昇格を果たしたが、今シーズン、B1ではリーグワーストとなる1試合平均87.4失点。守備でリズムをつかめないことが攻撃へ悪影響を及ぼしているように見受けられたが、今日の試合では積極的なディフェンスでスティールを誘い、第3クォーター終了時点で46失点に抑えられた。選手たちもディフェンスに手ごたえを感じているようで、アイザイア・マーフィーが「今日の試合は一言でいうと、守備が良かった。守備のローテーションや、相手の戦術にも順応できていた。声を出してローテーションできていたのがとても良かったと思う」と話したほか、佐土原も「今日はこれまでに比べて守備のローテーションが良く、簡単に点数を与えなかったことが結果につながった」と語った。

 トーマス・ケネディが帰化を果たし、B1の中でも強力なon3をそろえられる広島ドラゴンフライズ。一度勢いに乗れば止められないその攻撃力に目がいきがちだったが、チームに安定をもたらすのはやはり「ディフェンス」。今日の第3クォーターまでのようなディフェンスを披露できれば、勝ち星を積み重ねられるに違いない。今後の広島の戦いに期待したい。

 

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