12年ぶりの冬舞台となった県立盛岡南高校(岩手県)は東海大学付属札幌高校(北海道)を71-55で下し、2回戦へと駒を進めた。
終始リードを奪ってはいたものの、常に付かず離れずの展開。エース澁田怜音のシュートが「3年間で初めてかも」(斉藤資コーチ)というほど入らず、思うようなオフェンスができなかった。後半に入り東海大札幌も徐々に点差を詰めてくる。傾きそうになった流れを食い止めたのが、チームが最も大切にしているディフェンスだった。
斉藤コーチは振り返る。「サブコートの独特の雰囲気もあって、シュートが入らないことは予想していました。じゃあ何をがんばるかというとディフェンス、リバウンド、ルーズボール。そこから流れを渡さないようにと意識していました」
特に、ハーフタイムに再確認したルーズボールと、そこからの速攻はチームを勢いづけた。低いボールはもちろんのこと、上のボールも精いっぱい手を伸ばして弾き、そこから何人もの選手が絡んで得点までつなげる。「ああいう練習も採り入れているので、練習の成果が少しは出たのかなと思います」(斉藤コーチ)
第4ピリオド開始3分弱。ルーズボールで勢いをつかみ、点差を9点としたところで東海大札幌がタイムアウトを取ると、斉藤コーチはさらに選手たちを引き締めた。
「俺は19点差をひっくり返されたことがあるんだ。全部ルーズからでしょ。下手なんだから、誰もががんばれることをがんばろう!」
斉藤コーチが同校の選手として出場した2000年のウインターカップ。ベスト4となった府立東住吉工業高校(大阪府)と対戦した2回戦で、大逆転負けを喫した。「僕は36点取ったんですが、それでも勝利には結びつきませんでした」。最後に頼るべきは個人の得点でなくチームのルーズボールでありディフェンス。斉藤コーチが身をもって実感した教訓だ。
試合後、ディフェンスの殊勲賞としてコーチが名前を挙げた坂本佳太に話を聞いていると、他の部員たちが近くでそれを見守っていた。「今日のディフェンスはどうでしたか?」。その1人に尋ねると、「本調子ではなかったと思う」とコメント。その返答を受けて坂本に「次の試合はもっとやれる?」と聞くと、即座に「はい」と答えた。
「次の試合」の相手は、優勝候補筆頭の東山高校(高校総体2/京都府)。サイズや能力は間違いなく東山に分があるが、磨きあげてきたディフェンスで下馬評を覆す好ゲームを期待したい。
文・写真=青木美帆