Bリーグ2シーズン目を迎えた男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(アルバルク東京/筑波大学4年)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第19回は多くのBリーガーを輩出している名門、北陸高校の二上耀。昨年の冬にその存在を知らしめ、U19日本代表候補にも名を連ねた。今年度は“全国区の選手”の選手としてウインターカップに挑む。
北陸高校(福井県)は新潟県出身の五十嵐圭(新潟アルビレックスBB)、神奈川県出身の篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、北海道出身の多嶋朝飛(レバンガ北海道)など福井県外から多くの有望選手が集うチーム。その中で二上耀は石崎巧(琉球ゴールデンキングス)に次ぐ福井出身のスター選手になりうる存在だ。
全国的な脚光を浴びたのは昨年のJX-ENEOSウインターカップ2016 平成28年度 第47回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ2016)。初戦の福岡大学附属大濠高校(福岡県)戦で25得点、2回戦の育英高校(兵庫県)戦で26得点、準々決勝の東山高校(京都府)戦で27得点を稼ぎ、その後のU19日本代表候補にも追加招集された。
前回紹介した坂本聖芽(中部大学第一高校3年/愛知県)のドライブを、ディフェンスをこじ開けるような力強く荒々しいものと表現するならば、二上のドライブはわずかなスペースにスルリともぐりこむような、柔らかく流麗なもの。その滑らかさはシュートなど他のプレーでも同様だ。
ジュニアオールスターの福井県選抜に中学1年から選ばれ、2年次には主将を務めている。名門校でも入学時から将来を嘱望される存在だったが、1年次の秋にバセドウ病(甲状腺の病気。異常に疲れやすくなるなどの症状が出る)が発覚し、思うようにプレーできない日々が続いた。チーム練習から離脱し、別メニューを余儀なくされた時期もあったが、「とにかくウインターカップのメンバーに入りたかった。間に合うかどうかしか考えていなかった」と当時を振り返る。そんな1年間の思いが、昨年のウインターカップで結実した形だ。
晴れて“全国区の選手”として臨んだ今夏の平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)は、桜丘高校(愛知県)に敗れ2回戦で姿を消すこととなった。「大事な場面でしっかり守ったり、走ったり、シュートを決められなかった。それが負けた理由だと思います」と悔しそうな表情で話し、「冬は自分がエースなんだと思い直して、自分がしっかり周りを引っ張っていけるような選手になりたいです」と続けた。
北陸は11月5日に福井県大会を制し、ウインターカップへの出場権を手に入れた。二上がこの冬、真のエースとしてどれだけ真価を発揮できるかに期待したい。
文・写真=青木美帆