12月26日に行われた「ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会」男子3回戦、福岡第一(福岡)は土浦日本大学(茨城)と対戦、85-83で難敵を振り切った。
この試合、エースの松崎裕樹と並んでフル出場、福岡第一を勝利に導いたのが168センチの1年生、河村勇輝だ。
相手の厳しいディフェンスを左右にかわし、その流麗な動きは“牛若丸”さながら。強気のドライブでゴールへ迫ったかと思えば、広い視野でバムアンゲイ・ジョナサン(3年)へ鋭いパスを供給。1年生らしからぬ堂々としたプレイぶりを披露した。
大接戦を制した井手口孝コーチは疲労困憊の表情を浮かべながら囲み取材に対応すると、大接戦を振り返り「ちょっと(リードをとって)抜けたかなと思ったけど、どうでもいいミスをして…。気の緩みじゃないけどね。いい勉強にはなったかな」と語ると、続けて「(試合の最終盤に)河村が疲れていて、余裕がないから自分で決めたくなっちゃって。バムにボールを入れろって言ったのに、ヒーローになりたがってね」と苦笑した。
このウインターカップからスターティングポイントガードを任せる河村については、「昨日の試合(正智深谷高校戦)は出来がよすぎたので、今日くらいなもんでしょう。1年生だから」と及第点を与えつつ、「元々できる子だったし、U-16日本代表にも選ばれていて、色々と経験があったけど、守りとか身体がまだ1年生だから怖いなというのもあって」と今大会前から、その素質を高く評価していることを明かした。
ウインターカップからスタートで使ってみようと井手口コーチが決断したのは、天皇杯の予選や練習試合を通して、大学生や社会人との試合においても飄々とプレイする姿を見てからだという。並里成(現滋賀レイクスターズ)をはじめ、多くの名選手を育て上げた歴戦の名将は、初めて40分間出場した1年生の司令塔に対し、「まあ経験。こういうゲームをたくさん経験して、自分の判断力を磨いてほしい」とさらなる成長を期待した。
文=村上成