12月27日、東京体育館にて『ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会』女子準決勝が行われ、22回目の優勝を目指す桜花学園高校(高校総体2位/愛知県)と初の決勝進出を目指した大阪桐蔭高校(大阪府)が対戦した。
先手を取ったのは大阪桐蔭だった。試合前の練習でシュートが入らず焦っていたという大阪桐蔭のエース竹原レイラ(3年)だが、「初めのドライブが切れて、これは攻められるな、って思いました」と落ち着きを取り戻す。すると、竹原は第1クォーターだけで10得点をあげる活躍を見せ、スタートダッシュの原動力となった。
追い上げを図りたい桜花学園だが、「ゾーンを敷かれる前にどんどん走ってブレイクを出そうと言っていたのですが、全員の足が止まってしまって。今まで準備していたことが全然出させませんでした」と、藤本愛瑚が振り返ったが、この試合で気になったのが桜花学園の元気のなさだ。「私たちはチャレンジャー」と気合いが入る大阪桐蔭に対し、桜花学園はその勢いを完全に受けてしまったようだ。
後半に入っても大阪桐蔭のペースは崩れない。「自分のところにパスが入ってディフェンスが寄ってきても周りが合わせてくれたし、外からのドライブも出ましたので、全員のいいところが活きたと思います。全員で攻めることができました」と、この試合で両チーム最多の35得点をあげた竹原はチームで挙げた勝利を強調。結局、大阪桐蔭が79-54で桜花学園に勝利し、初めて決勝にコマを進めた。
「桜花学園は能力が高い選手が多く、様々なプレーで振り回されると考えて、ゾーンディフェンスで入りました」と、大阪桐蔭の指揮を執る永井雅彦アシスタントコーチが振り返ったように、まず守りで桜花学園の勢いを止めたのが勝因と言えるだろう。さらに「(これだけの点差で勝つことは)想像はしていませんでした。むしろ逆のことを思っていました。最初からゾーンを敷きましたが、逆にあれを破られたときにはビハインドを予測していました」と永井コーチは語ったが、それは杞憂に終わった。
「去年までは、桜花は手の届かない存在だったんですけど、今日の試合の入りは『絶対に勝つ』とみんなで思っていましたので、本当に勝てて良かったと思います。自信になります」と、竹原は胸を張る。大阪桐蔭が決勝で対戦する安城学園高校(愛知県)とは、去年の冬に練習試合で対戦したことがあるという。その時とは比べ物にならないかぎり成長している両チームなだけに、28日に行われる決勝戦は好ゲームが予想される。
文=入江美紀雄