「平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」男子は8月5日からのFIBA U18 アジア選手権と大会日程が重複し、FIBAの発表によると以下の選手が不参加となる。
中村拓人(3年/中部大学第一高校/愛知県)
富永啓生(3年/桜丘高校/愛知県)
中田嵩基(3年/福岡大学附属大濠高校/福岡県)
浅井修伍(3年/福岡大学附属大濠高校/福岡県)
横地聖真(2年/福岡大学附属大濠高校/福岡県)
松崎裕樹(3年/福岡第一高校/福岡県)
河村勇輝(2年/福岡第一高校/福岡県)
結城智史(2年/土浦日本大学高校/茨城県)
三谷桂司朗(2年/県立広島皆実高校/広島県)
いずれも上位進出が期待される強豪校のエースプレーヤーばかり。彼らの大会不参加を受けて、今年のインターハイの戦力図は大混乱の様相を呈しそうだ。
左上のブロックは主力を欠いてもなお、福岡第一と中部大学第一が優勢か。福岡第一は3月のKAZU CUPで、2選手不在ながら優勝。明成高校(宮城県)、開志国際高校(新潟県)、八王子学園八王子高校(東京都)らにも大差で勝利し、その力は圧倒的なものだった。本来の力を発揮できれば優勝に最も近い存在と言えるだろう。中部大第一は走力とバトゥマニ・クリバリ(2年)のゴール下での存在感、そして何より地元チームの意地を見せて、福岡第一との“第一対決”に勝利したい。
初戦で面白そうなのは、ハイレベルな留学生センターを擁する東山高校(京都府)vs高知中央高校(高知県)と、小兵ながら練られた組織力が強みの八千代松陰高校(千葉県)vs北陸学院高校(石川県)。九州大会で最も福岡第一を苦しめた県立小林高校(宮崎県)も、ダークホースになる可能性は十分にある。
その下のブロックでは関東大会王者の八王子を、県立豊浦高校(山口県)、東海大学付属諏訪高校(長野県)らが追いかける形となりそうだ。全国屈指の得点力を誇る木村圭吾と鴇田風真(ともに3年)のシューターコンビはツボにハマると手がつけられない存在。派手さはないが、役割に徹することができる留学生センター2人も侮れない。
そんな彼らが準々決勝での対戦を予想しているのが、静かな実力校、東海大諏訪。毎年好チームを作っているものの、なかなか思いきった成績を挙げられていない。この夏こそ「いいチーム」で終わらない結果を残せるか。東海大諏訪と3回戦で当たることが予想される豊浦は、喜志永修斗(3年)を中心によくまとまった好チーム。桜丘は富永の抜けたあまりにも大きい穴を、いかにカバーするか。県立能代工業高校(秋田県)と藤枝明誠高校(静岡県)の初戦にも注目したい。
右上のブロックは開志国際、福大大濠、飛龍高校(静岡県)、北陸高校(福井県)、土浦日大と好チームがひしめき合い、どこが抜けだすか全く読めないブロックだ。混戦ブロックの中で頭一つ抜けた印象があるのは北信越王者の開志国際。何が起こるかわからない夏のトーナメント戦において、10人の選手を安心してコートに送りだせる層の厚さは何よりの強みだろう。富樫英樹コーチと福岡第一の井手口孝コーチは大学時代の同級生。「決勝で会おう」という約束を果たせるか。
出場チーム最多となる3選手を欠くことが濃厚な福大大濠は、6月の九州大会を3人抜きで挑み、U18に選手を送りだすチームの中ではいち早く今大会への準備を進めてきた。スタメンで3年生が土家大輝1人という若さは、吉と出るか凶と出るか。大会連覇をかけて1戦1戦を戦いたい。
昨年のウインターカップ覇者、明成が大本命の第2シードブロック。昨年からスタメンがガラリと入れ代わり1、2年生の主力も多い。新人戦やプレシーズンマッチでは苦戦したが、東北大会は優勝を飾り、しっかりと今大会に向けて調子を上げてきている。初戦となる2回戦での対戦が予想される尽誠学園高校(香川県)は、“明成キラー”の異名を取りつつある実力校。名勝負に期待したい。
明成への挑戦権を獲得しそうなのが、桐光学園高校(神奈川県)か。八王子相手に関東新人で1点差、関東大会で5点差と善戦し、留学生との対戦にストレスがないのが強み。斉藤智海コーチを新たに迎え入れた市立船橋高校(千葉県)、全国中学校大会を賑わせたデイビッド・コンゴロー(1年)を擁する報徳学園高校(兵庫県)の戦いぶりにも注目したい。
“本命不在の夏”であることは間違いないが、“主役不在の夏”ではない。新たなヒーローが覚醒する瞬間を、ぜひ多くの人に見届けてほしい。
文=青木美帆