2019年の男子注目選手(10)黒川虎徹(東海大諏訪)「淡々とコートを支配するチームの心臓」

全国屈指のポイントガードである黒川[写真]=三上太

4月から新学期がスタートし、高校バスケ界では各チームにルーキーたちが加入。昨年の1、2年生も学年が1つ上がり、ここから本格的なチームづくりを図っていく。今回、バスケットボールキングでは2019年に注目すべき選手を独自にピックアップした。

■男子注目選手(10)黒川虎徹(3年/東海大学付属諏訪高校/長野県)

 どれだけプレッシャーをかけられようとも、冷静にその場を脱する判断力と高いスキルを持ち合わせている。東海大学付属諏訪高校(長野県)のポイントガード、黒川虎徹を簡潔に説明しようとすれば、そうなるだろうか。

 1年生の時からスタメンに起用され、入野貴幸コーチの期待に応え続けてきた。昨年はインターハイでベスト4、ウインターカップでベスト8と、チームを全国の上位に引っ張りあげた立役者の1人である。最上級生となる今年、黒川は自ら名乗り出て、キャプテンに就任した。

「1年生からずっと同学年をまとめる役割をやらせてもらっていて、3年生になった今年、昨年のキャプテンである(北村)孝太さん(現・中央大学1年)の意志を受け継いでキャプテンになりました。でも孝太さんのリーダーシップには全然及ばなくて、これからもっとリーダーシップを持ってやっていかなければいけないと思っています」

 むろん熱い気持ちを前面に押しだす北村と、冷静に、淡々とプレーをする黒川とではタイプが異なる。黒川の言葉を借りれば「いるだけでチームがまとまる感じだった」北村のキャプテンシーはないが、その分キャプテンとしても、ポイントガードとしても声掛けを以前にも増して大切にしている。2019年は黒川が精神的にステップアップするシーズンになりそうだ。

今年はこれまで以上にリーダーシップが問われる[写真]=三上太

 スキル面では昨年から挙げている得点力をいかに上げるかが課題。ドリブルとパスのスキルは、視野の広さや決断力を含めて、高校バスケット界のトップレベルにある。それらをより活かすためにも、自らが得点を取ることでディフェンスの目をさらに自分に向けさせたい。

「自分が確率よくシュートを決めることができれば、チームはよりリズムよくプレーができると思っています。得意とするアシストも、チームメートが難しい体勢で打つのではなく、楽な体勢で打てるようにパスの精度を上げたいと思っています」

 今年の東海大諏訪は、サイズのある選手こそいるものの、まだまだそこに不安定さが残る。その分、スモールラインアップで戦うシーンも出てくるし、ビッグマンが成長すれば彼らを活かすことも考えられる。チームとしての伸びしろが大きい分、チームメートの力を引きだす黒川のゲーム支配力がこれまで以上に求められそうだ。

写真・文=三上太

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