土浦日大の猛追をかわした実践学園、関東大会初優勝を飾る…インターハイ予選へ弾み

計4試合を戦い抜き、関東を制した実践学園

第3クォーターに抜けだし、関東新人大会のリベンジ達成

 6月1日と2日の2日間、山梨県にて「令和元年度関東高等学校男子バスケットボール大会 兼 第73回関東高等学校バスケットボール選手権大会」が開催。全32チームがAとB、2つのブロックに分かれて行われたトーナメント戦は、Aブロックが実践学園高校(東京都)、Bブロックは東海大学付属相模高校 (神奈川県)の優勝で幕を閉じた。

 各地区のインターハイ予選が間近に迫る中だが、Aブロック決勝へ進めば、地元に今年度開催のウインターカップ出場枠をもう1枠増やすことができる同大会。その権利を手にしたのは、実践学園と土浦日本大学高校(茨城県)の2校だ。両者による決勝戦は、最後まで手に汗握る好ゲームとなった。

 試合は土浦日大が6-0と先手を取ったが、「落ち着いて追いつけたので、これは勝負になるかなと思いました」(高瀨俊也コーチ)と、2月の関東新人大会では17点差をつけられて敗れた雪辱を果たすべく、実践学園も譲らず。前半を終えてのスコアは37-35と、実践学園2点リードで試合を折り返した。

 第3クォーター、試合は大きく動く。立ちあがりから実践学園が相手ディフェンスを攻略し、開始約3分間で点差を10点に拡大。その間、無得点の土浦日大はタイムアウトで立て直しを図るも、シュートがリングに嫌われ思うように得点が伸ばせない。対する実践学園は井川広登のバスケットカウント、五島大成の3ポイントが飛びだして54-38。終盤、土浦日大は陳岡燈生、鍋田亜廉の連続得点が決まるも、57-43で第4クォーターへ。

攻撃にアクセントを加えたルーキーの新井

 劣勢に立たされた土浦日大だったが、試合終盤にはオールコートプレスを仕掛けて猛追を見せる。試合終了残り2分44秒、2つのオフェンスリバウンドから結城智史がゴール下のシュートをねじこんで67-59。直後には相手エースの江原信太朗が5ファウルでコートを去り、残り1分の時点で4点差まで詰め寄った。しかし最後は、実践学園の家永淳之介がジャンプショットを決めきり、最終スコア69-63でタイムアップ。実践学園が粘る土浦日大から逃げきって初優勝を成し遂げた。

 実践学園はルーキーの新井翔太、家永が早くも「戦力」(高瀨コーチ)として出場機会を得ている。試合を決める得点を挙げた家永に加え、新井も決勝戦の第4クォーターに点差を2ケタに戻す貴重な3ポイントを沈めた。この場面について、本人は「あんまり覚えていないです……」と試合後に口にしたが、土浦日大の佐藤豊文コーチは「あれが痛かったです。1年生なのによく決めましたね」と、唇を噛みながらも相手を称えた。

 一方、敗れた土浦日大は、佐藤コーチが「柱として考えている」という2年生の松村竜吾が初戦で負傷。松村とともにインサイドを担う吉田凜も左肩のケガでプレータイムを制限した中で計4試合を戦った。その分、192センチの結城にかかる負担は大きく、決勝戦では「(第3クォーターに)足が止まってしまった」。結城はこの2日間をとおして、オフェンスに課題を残した。

「ディフェンスはできなかったわけではないですけど、後悔としてはオフェンス。(周りに頼らず)自分も攻めないとチームのリズムが生まれないので、オフェンスが止まった時に自分で点数を取れる得点力をもっと身につけたいです」

インサイドで体を張り続けた結城。佐藤コーチは「ちょっと可哀想でしたけど、彼はもっともっとできる」と期待を寄せる

インターハイ予選を勝ち抜くのはどのチームか

 Aブロック3位に入ったのは、法政大学第二高校 (神奈川県)と市立船橋高校 (千葉県)。高さがない分、ガード選手を中心に型にはまらないバスケットを展開する法政第二は、2回戦で留学生を擁する八王子学園八王子高校(東京都)に逆転勝利を収めた。

 前回大会覇者を退け、大会をとおしても一定の手応えをつかんだ法政第二の鈴木恭平コーチだが、2つの枠を争うインターハイ予選へ向けては「やっぱりインサイドの子がもう少し活躍しないと。ただ体を張ってるだけという状況では厳しいので、そこを強化したい」と気を引き締めた。

 市立船橋の斉藤智海コーチも言う。「今回、Bブロックにいる日体さん(日本体育大学柏高校)は留学生がいますし、県内はどこも気を抜けない」。千葉県に与えられたインターハイ出場枠は「1」。同校は15日からスタートする予選までに、攻守の切り返しの速さ、ルーズボールに飛びこむ人数で負けない“市船らしさ”の精度を高めていく。

3位の市立船橋。実践学園との準決勝では、第2Qで背負ったビハインドが最後まで響いた

 今大会で得た課題や収穫を見つめ直し、インターハイへ進むのはどのチームか。関東地区の戦いは、ここからさらに激しさを増す。

【大会結果】
・Aブロック
優勝:実践学園(東京都)
準優勝:土浦日大 (茨城県)
第3位:法政第二(神奈川県) 、市立船橋(千葉県)

・Bブロック
優勝:東海大相模(神奈川県)
準優勝:文星芸大附(栃木県)
3位:つくば秀英(茨城県)、市川(山梨県)

取材・文=小沼克年

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