初のインターハイに臨んだ大阪府代表の関西大学北陽高校は、84-75で別府溝部学園高校(大分県)を破り大きな1勝を手にした。しかし、同校が誇る195センチのオールラウンダー・金近廉(2年)にとってのインターハイ初戦は、不完全燃焼に終わった。
チームでは主にパワーフォワードを務める金近だが、ドライブや3ポイントなどアウトサイドでのプレーが得意。しなやかな身のこなしも特徴の1つだ。しかしこの日は、自身が強みと語る3ポイントは4本中0本、約33分間コートに立ったものの、得点ではフィールドゴール2本の9得点にとどまった。
「今日の朝のミーティングで、(渡辺真二)監督から『初戦は緊張するぞ』と言われて案の定緊張してしまいました……」
緊張したのは金近だけではない。チームを引っ張る3年生たちも試合開始から硬さが見られた。渡辺コーチの言葉を借りれば「体が慣れてきて、そこから3回くらい離すチャンスがありましたけど、そこで無理をして流れが止まってしまった」。それでも試合は、「3年生たちが前半からきっちりシュートを決めてくれた」(金近)と、安岡崇大が11本中7本の3ポイントを沈め、新谷亮も4本の3ポイントを含む24得点の活躍で競り勝った。
サイズで劣る関西大北陽にとって、チームで唯一190センチ台の金近は「欠かせない存在」と渡辺コーチも認める。別府溝部戦では計6ブロックを挙げ、留学生相手にもブロックショットを浴びせたが、指揮官は「機動力の面では、まだ3年生の速い動きについていけない」と指摘し、さらには「『僕がエースなんや』という自覚を持って、もっとチームを引っ張ってほしい」と大きな期待を寄せる。
それもそのはず、金近はU16日本代表候補にも選出され将来を嘱望される逸材だからだ。代表ではシューティングガードやスモールフォワードでプレーしている金近自身も、「まだまだ全国で通用するのは厳しいと思っている」と自覚はある。“全国で通用する選手”になるには、チームを全国で勝たせられる選手にならなければならない。
関西大北陽の今大会の合言葉は『勝って強くなる』。
「今日は入らなかったけど、明日はもっと積極的にシュートを打っていきます」と気合を入れ直した金近が、チームをどこまで強くできるか注目だ。
文=小沼克年