土浦日大、福岡第一のゾーンプレスに「面食らった」…「成熟度が全然違う」

土浦日大に襲いかかった福岡第一のディフェンス[写真]=佐々木啓次

 7月30日、サンアリーナせんだいで行われた「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の3回戦。今大会の優勝候補・福岡第一高校(福岡県)に挑んだ土浦日本大学高校(茨城県)は、最終スコア62-91で完敗を喫した。

 第1クォーターから相手に主導権を握られ、「負ける時はこんなもんです」と試合後に佐藤豊文コーチは肩を落としたが、第2クォーター終盤の時点では13点ビハインド。まだまだ十分に巻き返せる点差だった。

 しかし同クォーター残り1分を切った時、福岡第一が突如襲いかかった。オールコートのゾーンプレスを仕掛けてきたのだ。

「あのプレスがどこかで来るのはわかっていたので徹底的に練習はしていたんですよ」と佐藤コーチは言うが、コート上の選手たちは突然の出来事に「面食らった」。

 佐藤コーチ、選手たちも「練習してきただろ!」と落ち着きを取り戻そうと必死に声を掛け合う。それでも、攻めるような福岡第一のディフェンスは恐怖心を与えるほど完璧に近かった。わずか15秒の間に4失点。前半終了時点でのスコアは、28-46に広がっていた。

「その前にタイムアウトを2回使ってしまった僕の責任なんですけど、取りたいところで2回とったので。だからせめてあのミスが1本で抑えられれば……。あそこで1本やられた時点で『来たぞ。あの練習を出せばいいんだ』という考えにパッと切り替われないというか、そこの疎通がまだ甘いんですよね。僕も選手も」

最終的には29点差をつけられた[写真]=佐々木啓次

 第3クォーターは落ち着きを取り戻し、キャプテンの陳岡燈生(3年)を中心に一時11点差まで詰め寄った土浦日大。「正直、選手個々の能力を比べるとそこまで負けていないと思います」と、指揮官は自軍の選手たちに誇りを持つ。一方で、「やっぱりチームとして戦うスタイルの確立とか成熟度みたいなのが全然違います」と福岡第一との差を肌で感じたようだ。

 佐藤コーチは4月に土浦日大の指揮官に就任したばかりであり、新体制で臨んだ初のインターハイであった。百戦錬磨の福岡第一を倒すには、「まだまだ徹底しきれていない」と課題だらけだが、「ウインターカップの12月末までにはいくらでも修正できる」と前を向く。

今年の福岡第一を象徴する小川と河村(左から)[写真]=佐々木啓次

 試合を見る限り、福岡第一は今大会でもまだまだ余力を残している。果たして、インターハイで福岡第一を追い詰めるチームは現れるのか。土浦日大の次に挑戦権を得たのは、31日の準々決勝で対戦する東山高校(京都府)だ。

文=小沼克年

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