第74回国民体育大会は5日目、バスケットボール競技の最終日となり、リリーアリーナMITOでは少年女子の決勝が行われた。
決勝のカードは愛知と大阪。愛知は桜花学園高校の選手が主体で、182㎝の朝比奈あずさに174㎝の前田心咲、172㎝の安田明生といった高身長の選手がスターターに名を連ねる。一方の大阪は、中村真湖、安田茉耶、木下風奏(大阪薫英女学院高校)大崎莉瑚(大阪桐蔭高校)とスターター4人が2年生。絶対的な高さこそないが、キャリアのある選手たちを中心に決勝まで勝ち上がってきた。
迎えた決勝、大阪は序盤から積極的な攻めを見せるが「高さが気になっていた」(安藤香織監督)というように、相手ブロックをかわしてのシュートがポロリとリングからこぼれてしまう。逆に第1クォーター中盤からは愛知の伊波美空や平下裕貴らのシュートを沈められ、リードを許す展開となった。
第2クォーターでも流れをつかんだのは愛知。朝比奈の速攻やリバウンドシュートなどで加点すると一時は2桁のリードを奪う。しかし大阪も愛知にしっかりと付いていき大崎の速攻や宮城楽子のドライブなどで点差を縮め、前半は8点ビハインドで折り返した。
追いかける大阪は後半、木下、佐藤双羽で幸先良く連続得点を挙げると、前から激しく当たるディフェンスでも愛知のミスを誘発。約4分の間で愛知を捉えることに成功した。しかし、愛知はタイムアウト明けにエースの朝比奈が得点を挙げると、その後も朝比奈の高さを生かして得点。平下結貴もドライブや速攻で続き、第3クォーターを終えて再びリードを8点とした。
第4クォーター、愛知は大阪のファウルで得たフリースローを確実に決めてリードを守る。途中、中村ら大阪の“3ポイント攻勢”に遭ったものの、最後は62―56で大阪を振り切った。
「大阪はもともと3ポイントシュートのチーム。第3クォーターまで思うように入らなかったのはこちらは助かりましたが、大阪としては誤算だったと思います。令和元年は3冠獲得したいと思っていました」と試合を振り返ったのは愛知の井上眞一監督。一方、準優勝となった大阪の安藤監督は「最後の決定力。愛知の選手たちの意地、そこの差が出たと思います」と語った。
また、今年から選手の参加資格が16歳以下となった国体を経験し、安藤監督は「普段はあまり試合に出られない1年生たちがこの大会を経験して自信を付けて強くなっていく。チームの厚みが出ると思います」とも語ってくれた。
■試合結果
愛知 62-56 大阪(@リリーアリーナMITO)
愛知|19|13|14|16|=62
大阪|10|14|14|18|=56
取材・文・写真=田島早苗