エース兼司令塔への階段を登り始めた桐生商業1年・堀越梨々夏「チームを勝たせる選手に」

桐生商業を中心で引っ張る1年生の堀越[写真]=Basketball King

 桐⽣市⽴商業高校(群馬県)の1年生・堀越梨々夏。今後の成長がすごく楽しみな選手だ。

 昨年から3年生4人とともにスターティングファイブに名を連ねていた彼女は、2019年のウインターカップ初戦で計27得点10リバウンド6アシストに加え、5スティールという活躍でチームに全国初勝利をもたらした。

「得点が取れてドリブル、パスもできる。ある程度ディフェンスもできます。そのユーティリティさが3年生たちに足りない部分でしたが、堀越が入ったことで足りなかったところを埋めてくれました」

 そう西條佑治コーチが舌を巻くように、堀越はオールラウンドにプレーできる点取り屋。ずば抜けたスピードやテクニックがあるわけではない。だが、クロスオーバーから相手をスルッとかわして得意のストップジャンプシュートで得点を奪い、ディフェンスが寄ってくれば冷静にアシストをさばく。3年生が引退した今年からは「自分がチームを引っ張って、チームを勝たせられる選手になりたい」と意気込んでおり、2月の「令和元年度 第30回関東高等学校バスケットボール新人大会」では、桐生商業を初の同大会ベスト4へと導いた。

 中学時代から名の通った選手だったこともあり、西條コーチは「高校は県外に出ていくと思っていた」という。堀越自身も高校進学の際には、県内はもちろん県外からもいくつか誘いがあったと明かす。それでも、「練習に行った時に先輩方や先生がすごい優しくて、丁寧に教えてくれたので、ここだったら3年間頑張れるなと思いました」と、最終的には“キリショウ”の門を叩いた。

関東新人の初戦では31得点、2回戦では33得点をマークした[写真]=Basketball King

「彼女の得点は少し減るかもしれませんが、今の時期からポイントガードをやらせていけば、彼女の将来につながると思っています」

 167センチながら得点力が一番の魅力である堀越だが、新チームがスタートすると、「ポイントガードとして育てていく」という指揮官の考えのもと、新たな挑戦をスタートさせた。

 西條コーチは「私が育てなければいけない」と少し責任を感じているようだが、その言葉とは裏腹に嬉しそうな表情で堀越のことを話す。“エース兼ポイントガード”を託された堀越も、気持ちは前向き。現在は、「周りが見えなくなる時がある。競った時にどういうプレーを選択すればいいか、時間の使い方もまだわからない」と新たな課題に直面しているようだ。

 これからは抜群の得点力でチームを引っ張っるだけでなく、司令塔として声で仲間に指示を与え、時には鼓舞することも必要になってくる。「声をかけるのは苦手ですけど、積極的にかけるようにはしています」と、堀越にも新たな意識が芽生えた。

 エースとして得点源となり、司令塔としては試合をコントロールしてチームを勝利へ導く——。

 決して容易なことではないが、堀越梨々夏ならやってくれそうだ。期待の1年生はそれを可能にする非凡なセンスに加え、自分を支えてくれる指導者、そしてチームメートに恵まれているのだから。

文=小沼克年

モバイルバージョンを終了