「教えて、先輩!」OG&現役高校生対談~桜花学園高校~渡嘉敷来夢×江村優有(前編)

日本代表でも主力を担う渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)と桜花学園高校3年生でキャプテンの江村優有

 日本バスケット界でトップを走る選手たち。彼ら、彼女たちの今の活躍の礎となっているのが『高校時代』と言っても過言ではないだろう。そんなトッププレーヤーたちが母校の高校生プレーヤーと対談し、アドバイスを送るとともに交流を深める企画。第1弾はENEOSサンフラワーズの一員として、また日本代表のエースとしても奮闘する渡嘉敷来夢と桜花学園高校のキャプテン江村優有との対談をお届けする。

取材・文=田島早苗

大先輩の渡嘉敷を前に緊張気味の江村

バスケットボールキング編集部(以下BBK) 2人が桜花学園高校に入学した理由は何だったのでしょうか。

渡嘉敷 私は卒業して11年経つのですが、桜花学園の井上(眞一)先生が私を見つけてくれて。熱烈なオファーをいただいたので『親元を離れてバスケットを真剣に取り組んでみたい』と思い、桜花学園に行きました。

江村 井上先生に呼んでもらって、高いレベルでバスケットをして日本一を目指したかったので、桜花学園に行きました。

BBK 井上コーチのすごいなと思うところは?

江村 寮と体育館での切り替えがすごくあって、体育館では厳しく、寮の中では優しく。バスケットでは基礎からしっかり教えてもらい、集中して取り組めるので、すごくいい環境でバスケットをさせてもらえていると思っています。
渡嘉敷 もしかして江村さん、真面目? コメントもGOODじゃん。真面目な方?

江村 うーん…、まあまあです。

渡嘉敷 自分でも言うのもあれだよね、コメントすごくしっかりしているなと思って。

江村 あ…、ありがとうございます…。

渡嘉敷 堅いよ!(笑)

BBK 江村さんが渡嘉敷さんを前に緊張しているので、互いにニックネームを付けるのはどうでしょう?

渡嘉敷 いいですよ。(江村に向かって)なんて呼ばれてます?コートネーム。

江村 えむ、です。

渡嘉敷 え、江村からのえむ?

江村 はい。

渡嘉敷 じゃあ、『えむっち』ね。私のことは『らむっち』って呼んでね。

江村 はい(笑)

BBK では、江村さん、質問してみましょうか。

江村 え、あ、WNBAで…

渡嘉敷 あ、違う違う。「らむっちは~」から言って。「らむっちはWNBAで~」とかにして。

江村 はい(笑)。えっと、らむっちは、WNBAに行かれたじゃないですか、その時に感じたこととか、あと、マッチアップしてこの人すごかったのというのはありますか?

渡嘉敷 そうだね、らむっちね、4年前くらいかな、もう。WNBAに挑戦して、日本では経験できない高さとか強さ、それこそ試合に出られない悔しさや難しさをすごく学んだというか、みんな自分よりも大きいし。そこで何が通用するかというのをアメリカで見付けられたのは収穫だったとは思っています。それ(通用するもの)は、スピードとディフェンス。日本人選手が全体的にしっかり基礎としてやっていることなので、そこはアメリカでも通用したところかな。

 やってみて、「やっぱすごいな」と思ったのは、アメリカ代表クラスの選手はみんなすごくて。私はフェニックス・マーキュリーのダイアナ(・タウラシ)がすごく好きで、その選手と対戦した時は個人的にすごくうれしくなったかな。

 あと一番はチームメイトでブリアナ・スチュワート(シアトル・ストーム)という人がいるんですけど、その人は身長も私と同じぐらいで、プレースタイルも似ているところがある。彼女は3ポイントシュートが打てて、(当時の)私は3ポイントシュートがなかった。でも、ジャンプ力は私の方があるみたいな。そういう選手が一番、ライバル的な存在でした。多分、(東京)オリンピックにも来る選手です。ちょっと真面目に答えすぎちゃった、らむっち(笑)。

江村 ありがとうございます(笑)

 

2015年にWNBAデビューを飾り、その年には高校時代の恩師・井上眞一コーチも現地観戦をした[写真]=チーム提供

「センターが走れるというのはチームの強み。どんどん走らせた方がいいよ」(渡嘉敷)

BBK 江村さん、他に質問はありますか?

渡嘉敷 えむっち、どんどん行こうよ。

江村 えっと、らむっちは…

渡嘉敷 あ、いいよいいよ学習してるよ。

江村 何でそんなに背が高いんですか。

渡嘉敷 普通のことだな、これ(笑)

江村 何を食べたらそんなに大きく…。

渡嘉敷 お父さんがでかい! お母さんも女性だったら大きい。あとは表向きは『好き嫌いなくご飯をしっかり食べて、たくさん寝ること』と言ってる。

 でも、私は中学生の時、その時が一番体ができる時期なのに、ご飯よりも睡眠だったから。ご飯食べてる途中に寝ちゃったりとか、ご飯食べずに寝たりしたので、それが後悔しているところ。体の中身って、若いうちにできるというし、だから高校生の時に疲労骨折したのかなって思ってる。

江村 え、そうなんですか。

渡嘉敷 うん。だから、えむっちも好き嫌いなくしっかり食べてたくさん寝るんだよ。まだ身長伸びるから。

江村 はい(笑)

渡嘉敷 高校卒業してから、2、3㎝ぐらい伸びたよ。

江村 えっ。

渡嘉敷 やばいよね、だからまだ伸びるよ。

江村 頑張ります(笑)

BBK 江村さん好き嫌いは?

江村 ないです。

渡嘉敷 ほんとに?

江村 はい。なくなりました

渡嘉敷 (高校の)寮に入ってから?

江村 はい。

渡嘉敷 分かるー。全部食べないといけないしね。

江村 絶対に残しちゃいけないので、それで食べていたら嫌いなものが、逆に好きになりました。(寮の)ご飯も美味しいので。

渡嘉敷 何が嫌いだったの?

江村 トマトとか玉ねぎとかネギとか…です。

渡嘉敷 王道のやつだね、小さい子が嫌いになるやつね。

江村 …はい(笑)

渡嘉敷 私もトマトはあまり好きではないので、自ら進んで食べないかな。出てきたら食べる感じ。

江村 今は大好物というか、好きになって、逆に『食べたい』って。

渡嘉敷 それは本当にいいことだと思う。嫌いなものを食べれるようになるのっていうのは。

江村は渡嘉敷も高校の3年間を過ごした寮から対談に参加

BBK 江村さんが渡嘉敷さんの存在を知ったのはいつ頃ですか?

江村 小学校の時から知っていて。

渡嘉敷 うそ!

江村 長崎で試合あった時に見に行って、すごいなと思って見ていました。

渡嘉敷 ありがとうございます。恥ずかしいな。私がたまご(若い)の時から見ていたっていうことね。

BBK その時、渡嘉敷さんの何がすごいなと思いました?

江村 一番印象に残ったのは…

渡嘉敷 あ、待って、“身長”以外で言って、絶対。

江村 一番印象に残ったのはリバウンドです。

渡嘉敷 ありがとうございます。あとは、あとは?

江村 ブレイクで絶対に先頭を走っているところとか。あとはポストプレー。…結構、全部印象に残っているので。

渡嘉敷 ありがとうございます。明日頑張れるわ、もう。

BBK ブレイクの先頭を走っているところを見てくれていたのはうれしいですね。

渡嘉敷 それですよ!そこが一番うれしいですね。身長大きいと、もちろんリバウンドもそうだし、ポストプレーも仕事の一つじゃないですか。その中でも私は高さだけに頼らず、トランジションとかで先頭を走りたいといつも思って練習も試合もやってるので、そこを褒められると、よく見てんじゃん!とか思っちゃう(笑)

江村 (笑)

渡嘉敷 だから、同じ(チームで)、一緒にやっている大きい身長の子いるじゃん。そういう子とかにはどんどん走らせた方がいいよ、絶対。ガードが言ったら絶対に走るから。私も10年くらい吉田(亜沙美)さんとずっとやっていて、走ればパスをくれると思っていたから、結構走っていて、センターが走れるというのはチームの強みだと思うから、ぜひそこはセンターの子に伝えてほしいです。

江村 はい、分かりました。

渡嘉敷 そこに、えむっちがピシッといいパスを出す。

江村 はい。

渡嘉敷 で、桜花優勝。はい、もう決まりました。

【プロフィール】
渡嘉敷来夢(とかしき・らむ)
1991年6月11日生まれ/埼玉県出身/193センチ
桜花学園高校時代は1年生から主力を担い、3年間での全国大会優勝は8回。高さに加え、強さと走力を兼ね備え、ENEOSサンフラワーズでも幾多の優勝をけん引。シュートエリアも拡大し、日本代表でもエースとして活躍を見せている。2015年から3シーズン、WNBAでプレーした。
【プロフィール】
江村優有(えむら・ゆうあ)
2002年12月4日生まれ/長崎県出身/160センチ
中学時代はジュニアオールスターで2年連続の準優勝。抜群の得点力でチームをけん引した。桜花学園高校入学後も、1年生からスターターを担い、得点を量産。またポイントガードとしてもゲームを組み立てる存在で、3年生となった今年はキャプテンの責務も担っている。

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