決勝戦の勝敗を分けたのは第1クォーター
女子の2枠とは違い、千葉県男子に与えられたウインターカップ2020の出場枠はわずか「1」。本戦出場を懸けて10月24日の「令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2020)千葉県予選会」の2次ラウンド決勝に進んだのは、船橋市立船橋高校と八千代松陰高校だ。
市立船橋は、同ラウンド初戦こそ東海大学付属浦安高校相手に10点差勝利となったが、準々決勝の日本体育大学柏高校、準決勝の松戸市立松戸高校戦では100点ゲームの快勝。一方の八千代松陰は習志野市立習志野高校との準決勝、8点ビハインドで試合を折り返したが、最終クォーターに逆転し最終スコア80-73で決勝へ駒を進めた。
迎えた決勝戦、スタートダッシュに成功したのは市立船橋だった。試合序盤からキャプテンの田中晴瑛がバスケットカウントと3ポイントシュートをマークすると、天野皓介、市場脩斗(いずれも3年)ら周りの選手も高確率でシュートを射抜く。守っては196センチの小河原幹太(3年)を擁し、高さで勝る相手をスピードと制空権を取って翻弄。第1クォーターで36-20と大きく差をつけた。
第2クォーターに入ってもペースは変わらず、市立船橋は走りに走って主導権を渡さない。一時20点差がついたが、八千代松陰は残り1分を切った時点から大橋英輝、都築凌治(ともに3年)の連続得点で巻き返し、53-40でハーフタイムへ。これには堀田貴司コーチも「うちのペースだぞ!」と選手たちを鼓舞し、後半へ向けチームの士気を高めた。
第3クォーターは八千代松陰の得点でスタート。逆転勝利へこのまま点差を詰めておきたいところだったが、フロントコートから激しくプレッシャーをかけてきた相手の網にかかり、思うように得点が伸びない。逆に市立船橋は、落ち着いてパスを回してノーマークを作り、着実に加点していった。
市立船橋13点リードのままスタートした最後の10分間、八千代松陰は27得点を積み上げるも、市立船橋も要所での3ポイントや速攻が決まり計25得点で対抗。第1クォーターでの差は最後まで埋まらず、市立船橋が追いすがる八千代松陰を96-85で振り切った。
八千代松陰、惜しくも敗れるが「今シーズンのベストゲーム」
市立船橋は最長身が下川拓海(3年)の187センチとサイズで劣ったものの、強みであるディフェンスからの速攻から流れを掴んで通算19回目のウインターカップ出場権を獲得。斉藤智海コーチは試合直後のインタビューにて「やはりサイズがないチームですので『ルーズボール、リバウンド、(攻守での)切り替えて走る回数では絶対に負けないようにしよう』と試合前から言っていましたので、その部分の差だと思います」と勝利のポイントを挙げ、自軍の戦いぶりを評価した。
「そこまで悪かったわけではないですけど、それ以上に相手がシュートを決めてきました。インサイドは相手より勝っていると思いましたので、その強みを生かして中を使うことを意識して準備してきましたが、リバウンドを取られてしまいました」
第1クォーターの出来が悔やまれる敗戦となった八千代松陰。堀田コーチは、そう敗因を分析したが、「今シーズンのベストゲーム」と総括した。「3年生中心によく頑張ったと思います。優勝云々よりもこの試合にベストゲームを持ってこれるかどうかが大事だと思っていました。習志野戦もポイントになりましたけど、今日の試合が今シーズンの中ではベストゲームでした」。
千葉県男子は2年連続で市立船橋が制した。これから約2カ月間、チームは「千葉県を代表して出場するという重み」(斉藤コーチ)をもう一度確認し、来るべきウインターカップに備える。
文・写真=小沼克年