ポジションアップと育成を兼ねたチーム作り
5月18日~20日にわたり、大学生の”日韓戦”である『李相佰(リ・ソウハク)盃日韓学生バスケットボール競技大会』が開催される。この大会は日韓両国のバスケットボールの普及・育成において尽力した李相佰(韓国読みでイ・サンベク)博士の功績をたたえて設立された。毎年、日韓交互に開催され、今年は韓国の仁川市で行われる。ここでは男子学生選抜について紹介しよう。
選手選考は、日本が中長期強化として掲げる「サイズアップ、ポジションアップ」を目指した中で、数回の合宿や春先の韓国遠征によって進められた。
ポジションアップという点で成長を見せているのは、関東大学選手権(スプリングトーナメント)で筑波大の優勝に貢献した増田啓介(筑波大3年、191センチ)。下級生時やU19代表ではパワーフォワードを務めることもあったが、現在はアウトサイドでの勝負強さが光る。初の学生選抜に選ばれた吉井裕鷹(大阪学院大2年、195センチ)は自チームではインサイドを務めながらも、体の強さとシュート力を発揮してフォワードにコンバートした選手。国際大会の経験は浅いが、韓国遠征で台頭してきた成長株だ。
また、関東大学選手権でMVPを獲得した牧隼利(筑波大3年、187センチ)はシューティングガードとポイントガードを兼ねるコンボガードとしてプレーの幅を広げ、インサイドを務めるナナ―ダニエル弾(青山学院大3年、197センチ)は走力がついてきたところだ。
そうしたポジションアップを図る中にも、チームを機能させる選手が必要となる。ゲームメイクが得意な熊谷航(大東文化大4年、172センチ)、3ポイントを中心に得点に絡む西田優大(東海大2年、189センチ)、インサイドで体を張る平岩玄(東海大3年、199センチ)は本来のポジションで選出され、チームの軸となる選手として期待されている。
現在の平岩は、代表合宿や東海大ではパワーフォワードにもチャレンジしているため、迷いが生じることもあるという。だが、Bリーグの特別指定選手として入団した琉球での戦いで体を張ったプレーが通用した場面もあり、心を決めたという。
「外のプレーを覚えることも大切ですが、自分がもともと持っているフィジカルの強さやピックプレーなど、今は武器を磨いて自分の売りとするプレーを作っていきたい。李相佰盃では韓国の強い当たりに負けないように、ぶつかってきます」
昨年に続いて3連勝を目指す日本。雪辱に燃える韓国
前回は27年ぶりに3連勝を飾った日本。今年のチーム作りについて比嘉靖ヘッドコーチは「男子も女子代表がやっているように、今まで以上に速い展開を追求したい。40分間プレッシャーディフェンスをして、アウトナンバー(数的優位)を作ってしっかりとフィニッシュまで持っていく。ポジションアップした選手を育成しながらも、勝利にこだわりたい」と目標を語る。
昨年3連敗を喫した韓国も巻き返しを狙ってくるだろう。韓国では5月はリーグ中であることから、例年、李相佰盃に向けては直前に集合し、数日練習をするだけだった。だが、雪辱に燃える今年はすでに数回の合宿を重ねて準備をしているという。そんな熱い決戦が予想される中で残念なのは、大会直前にケガ人が多発したことだ。
井上宗一郎(筑波大1年、200センチ)はケガから復帰したものの万全ではなく、ナナ―ダニエル弾と赤穂雷太(青山学院大2年、197センチ)が出発直前の練習で負傷。赤穂は治療に専念することとなり、今大会は11人で戦うことになった。
※5月17日時点では赤穂雷太選手が負傷のため離脱との情報だったが、最終的にはナナーダニエル弾選手も治療のため離脱することになり、10人のエントリーで戦うことになった。(5月18日、14時30分、全日本大学バスケットボール連盟発表)
キャプテンの熊谷は「ケガ人が出てしまったのは残念ですが、全員でディフェンスをして、ハーフコートの戦いになる前に、走って勝利をつかみにいく」と抱負を語る。なお、試合は全日本大学バスケットボール連盟公式ツイッター(@jubf2014)にてライブ配信される予定だ。
◆全日本大学連盟 李相佰盃公式ページ
http://www.jubf.jp/game/index/type/risohaku