女子バスケのコートネームって何? JX-ENEOSの山﨑総括マネージャーに教えてもらった

JX-ENEOS所属選手のコートネームについて話を聞いた [写真]=山口剛生

女子バスケットボールの試合を見に行くと聞き慣れない名前が飛びかい、選手のSNSでも本名とは異なる見慣れない名前が見受けられる。「リュウ」、「タク」、「メイ」……それは「コートネーム」と言われる一種のあだ名のようなものだ。どうしてそういったコートネームに決まったのか、その由来は選手それぞれで異なる。今回はJX-ENEOSサンフラワーズの山﨑舞子総括マネージャーに各選手のコートネームの由来や意味を聞いた。

インタビュー=酒井伸

――コートネームはいつ頃から付けられるんですか?
山﨑 高校時代に決まることが大半だと思います。入学時に先輩や先生から「あなたのコートネームはこれね」と与えられます。大学に進学して変わる選手もいますし、その後のクラブでもまた新しいコートネームに変わる選手もいます。サンフラワーズは本人が変えたいと言えば、先輩がその選手に合ったコートネームの候補を出します。その中から本人が決めることが多いですね。

――高校時代のコートネームはどのようにして決まるのですか?
山﨑 入ってすぐに決まるので、「こういう選手になってほしい」という願いが込められています。

――普段の生活の中でもコートネームで呼び合うのですか?
山﨑 コート外でも使います。だから私は普段から「ダン」と呼ばれています。高校時代からずっと同じで、他の部活の子からも「ダン」と呼ばれていました。私の高校には女子ソフト、女子サッカー、女子野球、女子バレーボール、駅伝など多くの部活がありましたが、女子バスケ部だけコートネームがありましたね。

――「ダン」はどんな意味ですか?
山﨑 口にするのが申し訳ないほどの由来なのですが、バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ)が由来です……。マイケルって英語で言うと「マイコー」に近い発音をするじゃないですか。私の名前が舞子で、それがきっかけで高校入学時に先生から「『ジョー』か『ダン』のどちらかだ」と言われ、「ダン」にしました。よく聞かれるのですがあまりにも恥ずかしいので「団子のダンです」と言ってごまかしていました……。

――同じマネージャーの藤田愛奈さんは?
山﨑 「ヨリ」と言います。JXに入部時に“頼りになるマネージャーになれるように”という願いを込めて付けられています。

――いろいろな付け方があるんですね。
山﨑 日本代表の合宿などに参加すると、チームと違ったコートネームが与えられることがあります。様々なチームから選手が集まるので、どうしてもコートネームが被ることがあります。馬瓜エブリン(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)のコートネームは「ダン」で、私と同じなんです。アイシンでは「ダン」と呼んでいますが、日本代表に来たら「エブリン」と呼ばれていました。日本代表の時は日本代表歴の長い人に合わせます。例えば、大神雄子(トヨタ自動車アンテロープス)選手と宮元美智子(元三菱電機コアラーズ)さんが同じ「シン」だったのですが、大神選手の方が代表歴が長かったので、宮元さんは本名の「ミチ」で呼ばれていました。

JX-ENEOSサンフラワーズのコートネーム

■リュウ(吉田亜沙美
「リュウ」は勝利の流れを呼びこめるようにという願いが込められて12年前に先輩から付けてもらったコートネームです。ちなみに高校の時は「ヨシ」と呼ばれていたようです。リュウはウェアやスクイズボトルなどの自分の持ち物にも漢字で「流」と書いています。
 
■ネオ(藤岡麻菜美)
「ネオ」はギリシャ語で「新しい」という意味です。歴史あるサンフラワーズというチームに新しい風を呼びこめるようにという想いが込められています。このコートネームは、大学時代の「アス」から変えたいという相談があって、同期のリト(大沼美琴)が一生懸命調べて考えて決めたのです。
 
■リン(木林稚栄)
「リン」は臨機応変から採用したコートネームです。臨機応変にプレーできるようにという意味があります。サンフラワーズに入ってからこの名前が付きました。
 
■ウミ(山田愛)
「ウミ」はガードの選手で、視野の広さが求められているので、海のように広い視野でバスケットボールをプレーできるように、また海のように広い心を持ったプレーヤーになるように、といった願いが込められています。
 
■タク(渡嘉敷来夢)
高校時代は領域を支配するという意味の「リョウ」だったんです。サンフラワーズに加入した時に変えたいと言って、たくましさから取った「タク」になりました。また、チームの「勝利を託せる選手に」という意味もあります。先輩たちが何個かリストを出した中から本人が選んで「タク」に決まりました。今ではコートネーム以上にたくましい選手になってくれています。
 
■レア(岡本彩也花)
「レア」は高校入学時に先輩から付けられたもので、アグレッシブなプレーヤーになれるようにという想いが込められていて、アグレッシブの「レ」と「ア」を入れ替えています。彼女は161センチと小柄ですが、その名のとおり、3ポイントシュートだけでなく積極的にドライブインでインサイドに切れこみ得点も取れる選手です。
 
■リョク(西山詩乃)
3ポイントシューターの「リョク」は「魅力あるシューターになるように」という意味です。魅力的なシューターを目指して毎日がんばっています。
 
■メイ(大崎佑圭)
「メイ=明」は「常に明るい笑顔を絶やさない」、どんな時でも「明」るく笑顔でプレーできるようにという意味です。実際のプレースタイルもその名のとおり、明るくチームを引っ張り、どんな時も動じません。
 
■リト(大沼美琴)
「リト」は高校の恩師に付けてもらったコートネームで、本人もすごく気に入っています。何かと何かをつなぎ合わせるという意味の英単語「リガメント」から「リ」と「ト」を取ったものです。リトがチームメートを1つにまとめる、チームをつなぎ合わせるいう意味が込められたコートネームです。
 
■アコ(石原愛子)
「アコ」は名前の愛子からきています。コートで「アイコ」と呼ぶよりも「アコ」と呼んだ方が言いやすいですよね。あとコーチも指導する時に「アイコ!」と叫ぶより「アコ!」の方が良さそうですよ。笑
 
■ニニ(中村優花)
「ニニ」はハーフで、帰化する前の名前が「Uniqueka」なんです。アメリカでは小さい時から「ニニ」と呼ばれていて、それがコートネームになりました。名前は優花と書いて「ゆにか」と言います。
 
■ユラ(宮崎早織
「ユラ」はどんな状況でも揺らがない選手になれるように、という想いからこのコートネームになりました。けど、普通は揺らがないではなく揺るがないと言いますよね。なので、本当は「ユル」なんです。でも可愛いから「ユラ」でいいですね。笑
 
■アース(宮澤夕貴
「アース」は金沢総合高校時代の恩師、星澤純一先生に付けられたもので、宮澤の「宮」が神宮の「宮」なので、そこからつながり天照大御神(あまてらすおおみかみ)の「ア」と「ス」をとって「アース」です。よく地球の「EARTH」と間違われていますが、日本の神様の方です。すごい神々しいコートネームです。

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