3月24日、第19回Wリーグ プレーオフ・セミファイナルが丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われた。第2試合はシーズン1位のJX-ENEOSサンフラワーズと同4位のシャンソン化粧品 シャンソンVマジックが対戦。今シーズンの対戦成績はJX-ENEOSの3勝0敗だ。
第1クォーター、JX-ENEOSの出鼻をくじいたのがシャンソンのチェンジングディフェンス。3-2のゾーンディフェンスを軸に、マンツーマンディフェンスを交えたディフェンスでペースをつかんでいく。リズムを作れないJX-ENEOSは強引なシュートも目立ち、リードを広げられない。シャンソンは要所で速攻も出て、JX-ENEOSに食らいついた。最後は落合里泉がジャンプシュートを沈め、22-22のスコアで第2クォーターに入っていった。
しかし、JX-ENEOSは第2クォーターに入るとシャンソンのディフェンスにも慣れ、次第に本来の力を発揮していく。開始早々、ゾーンに対して岡本彩也花が3ポイントシュートを決めると、ここから一気に加速していった。さらにベンチメンバーの大沼美琴がスティールを決めると、自身でも3ポイントシュートを決めてチームに勢いをもたらせた。さらに岡本に代わってコートに入った宮崎早織がディフェンスでシャンソンのガード陣にプレッシャーをかけるとミスを誘発させ、それを次々と得点につなげ、13点リードで前半を折り返した。
後半に入ると、JX-ENEOSがジリジリと点差を広げていく。シャンソンは若手の成長株、谷村里佳がチーム最多の14得点、そして内野智香英が13得点と抵抗を試みるが、内外を制圧したJX-ENEOSに対抗する力は残っていなかった。JX-ENEOSは第4クォーターの終盤、若手をコートに送り出す余裕の試合運びで、決勝進出を果たした。
試合後の記者会見でシャンソンの丁海鎰ヘッドコーチは「第1クォーターは準備してきたディフェンスが機能した。試合前には試合開始から勝負しないとダメだと選手には言ってあったが、それはできたと思う。しかし、第2クォーター以降はいい流れができてもすぐにミスが出る。力不足」と試合を振り返った。敗れはしたが、「選手たちはこの1週間で練習してきたリバウンドやルーズボールへの対応をやってくれた。うれしい。いつかはJX-ENEOSに勝てるようになりたい」と、選手たちの成長を感じ取ったようだ。
一方、JX-ENEOSの佐藤清美HCは「オフェンス力の高いシャンソンを50点台で抑えたのは収穫。さらにベンチメンバーの大沼や宮崎が仕事をしてくれた」とセミファイナルの手応えを語った。さらに「ここまで来たら明日の決勝は自分たちのバスケをやりきるだけ」と自信を口にする。キャプテンの吉田亜沙美は「毎年目標は皇后杯とリーグの2冠。選手はそれにモチベーションを上げてきた。あまり10連覇は意識していません」と、大記録達成を目の前にしても、これまでどおりの戦い方を変えようとはしない。佐藤HCと同様に「自分たちのバスケをやりきるだけ」と、自信に満ちた表情で明日への抱負を語った。
【試合結果】
JX-ENEOSサンフラワーズ 78-56 シャンソン シャンソンVマジック(@丸善インテックアリーナ大阪)
JX-ENEOS|22|25|16|15|=78
シャンソン|22|12|11|11|=56
文=入江美紀雄