Wリーグ デンソー所属の日本代表候補がメディア対応

メディア対応を行ったデンソーの4選手、左から髙田真希、オコエ桃仁花、赤穂さくら、赤穂ひまわり

企業から地域貢献、さらに日本のスポーツ界を支える存在に

 7月23日、デンソー東京支社において、同チーム所属の日本代表候補選手、髙田真希、赤穂さくら、赤穂ひまわり、オコエ桃仁花の4名が「デンソーアイリス選手との座談会」に参加して、メディア対応を行った。

 デンソーは1949年にトヨタ自動車から独立し、日本電装株式会社を設立。トヨタグループの親睦を目的とした「全豊田総合競技大会」への参加をきっかけに、社内運動部である「電友会」を1958年に発足させ、企業としてスポーツに注力するようになっていった。1990年代は92年に起きたバブル崩壊もあり、多くの企業がスポーツから撤退していく中、「スポーツは職場の元気の源であり、続けることに意味がある」と継続。2001年からは社内運動部を「日本のトップレベルで戦い強化クラブ」と、「社員の健康増進・福利厚生を目的にする一般部」に再編した。

 この時強化クラブに選ばれたのが、女子のバレーボール「デンソーエアリービーズ」、バスケットボール「デンソーアイリス」、ソフトボール「デンソーブライトペガサス」、そして陸上長距離「デンソーフリートセローズ」。現在はデンソー女子卓球部が強化クラブに加わり、5つの競技がトップリーグの上位に位置し、ここから日本代表選手を輩出するに至った。

 そして、同社はデンソーは、これまで社員の福利厚生や社威発揚としてきて強化クラブを地域貢献、さらには日本のスポーツ界を引っ張る存在になっていきたいと、スポーツ活動の目的を拡大。企業チームだけでなく、個人選手の所属契約やスポンサードなどを行い、サポートの輪を広げており、日本のスポーツ界を支える存在となっている。

FIBA女子ワールドカップのロースターに残り、活躍を目指す

 4選手はメディアの控える4つのテーブルにそれぞれが着席して、記者からの質問に答えた。約10分ずつの短い時間だったがそれぞれが質問に丁寧に答え、各自のキャラクターも垣間見えるものとなった。

 デンソーでキャプテンを務める髙田真希は今シーズンから日本代表チームでも同じ重責を担う存在に。「各自の個性、プレースタイルを生かすようにしたいと考えています」と、チームをまとめるコツを明かした。「自身としては常に声を出すことを大事にしています。コミュニケーションの声でもあり、時には厳しい指摘の場合もありますが、個性を大事にして、それぞれの選手がより力を発揮するようにしています」と語った。元々はキャプテンキャラではなかったという髙田だが、「声をかけるのも恥ずかしい性格でした。でも、チームの目標である優勝を目指すには、自分が変わらなければいけない。おとなしい選手が多いので、自分から変わろうと意識しました。デンソーの経験から代表でもキャプテンに指名されましたが、キャプテンになったことで自分のプレーもメンタルも成長できたと思っています」と、その過程を振り返った。

 昨シーズンのWリーグ新人王であり、代表では過去の日本にはいない身長184センチのガードとしても期待される赤穂ひまわり。「今はケガもなく体調は万全です。でも代表活動は長いので何が起こるかわかりません。ワールドカップのメンバーに選ばれるように最高のパフォーマンスを見せたい」と近況を語った。バスケットボールの魅力について聞かれた赤穂ひまわりは、「選手と観客の距離が近く、攻防の切り替えが早いのがバスケットボールです。ファンの方の声援もよく聞こえます。デンソーの社員に皆さんの声も聞こえるので、試合に向けたモチベーションになっています」と語った。試合前のルーティンを聞かれると「自分は音楽も聞かないし、テーピングも巻かないので特にありません。することもないので、先にコートに入って、『今日の会場は大きいなあ』などと見回したりしています」と笑わせた。

 恵まれた身体能力を武器に、女子代表のトム・ホーバスヘッドコーチが注視するオコエ桃仁花。「代表として活動することは楽しいですし、ここまで来たら(ワールドカップに出られる)12名に残りたいです。コーチから求められているのは、元々インサイドのプレーヤーですけど、3ポイントシュートやドライブです。キャリアも一番短いので怒られ役でもあるのですが、求められることができるようになるとうれしいです」と目を輝かせながら語った。これまでのバスケ人生に関して聞かれると、「家族や友達が自分を応援してくれます。バスケを辞めたいと思ったこともあるけど、応援してくれる人がいるから頑張れます。逆に辛かったのがケガをしてチームに迷惑をかけた時です」と、周囲への気遣いを見せた。兄でありプロ野球選手である楽天ゴールデンイーグルスのオコエ瑠偉と何かと比較されることに関しては、「最初はどうしてかなと思った時もありましたが、兄が何かの番組で『妹の活躍が刺激になっている』という言葉を聞いて吹っ切れました。『オコエの妹』ではなく、いつかは『オコエの兄』と言わせるようになりたい」と、力を込めた。

 22歳という若さながらすでにリオデジャネイロオリンピックも経験している赤穂さくら。それでも「まずは12名に選ばれることが先決です。そのためにもしっかりアピールしていきたい。自分の持ち味である体の強さやリバウンドで頑張ります」と、代表活動に向けて抱負を語った。デンソーでは5シーズン目を迎えるが、髙田と並んでチームの大黒柱という存在だ。昨シーズンはJX-ENEOSサンフラワーズに皇后杯、Wリーグと準優勝に終わったが、優勝のためには何が必要かと聞かれると、「JX(-ENEOS)の皆さんは試合後のインタビューで『負けず嫌い』とおっしゃっていました。それが自分たちには足りないものかなと思います。なので、練習への取り組み方から変えていこうと思っています。『これぐらいでいいのでは』と思うのではなく、試合のことをイメージしてどん欲に練習に打ち込むつもりです」と強調。「個人的には悪い流れの時は自分のプレーを徹底したいと思っています。バスケは点数の多く入るスポーツなので、20点離されても逆転可能です。なので、慌てずに1プレーを大事にしたいと思っています」と、代表やデンソーでの心持を語ってくれた。

 4名が出場を目標にするFIBA女子ワールドカップは9月末にスペインで開催されることになっている。女子の活動は合宿が終わり、いったん休みに入る。デンソーもWJBLのサマーキャンプが終わって休暇に入っており、各自はそれぞれの実家に帰っていった。そこで英気を養い、8月5日、7日に予定されている『女子日本代表国際強化試合2018 三井不動産カップ』に備えることとなる。

メディア対応を終え、4名はそれぞれ帰省していった


文=入江美紀雄
モバイルバージョンを終了