昨年の12月29日以降、1月の「第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」や2月の日本代表活動(FIBA 東京 2020 オリンピック予選大会=以下OQT)などで一時中断していた第21回Wリーグが2月22日に再開した。
すでにレギュラーシーズンの後半戦へと突入しているWリーグ。プレイオフ進出に向けてどのチームも負けられない状態のため、各地で熱戦が繰り広げられた。
2月22、23日に東京都の大田区総合体育館で行われたデンソーアイリスと東京羽田ヴィッキーズも同様。予想にたがわぬ激しいものとなった。
初戦は、前半からリードを奪う展開でデンソーが勝利。だが、翌日の第2戦は前半を終えてデンソーが9点のビハインドを負う展開に。第3クォーターでも点差は縮まらず、デンソーにとっては苦しい状況となった。
しかし、第4クォーターでは東京羽田を引き離して81―78と逆転勝ち。東京羽田の15本の3ポイントシュートに苦しんだが、デンソーはエースの髙田真希が奮闘。リング下でのシュートに3ポイントシュートと幅広い攻撃で得点を奪い、ここぞの場面では連続得点で一気に流れを引き寄せた。
髙田は第1戦の29得点に続いて第2戦では31得点12リバウンドを奪取。さすがの活躍となった。
実は髙田、2月6日~9日の間に行われたOQTに日本代表のキャプテンとして参戦したのだが、開催地であるベルギー・オステンドに着いてからギックリ腰となり、試合の出場はならなかった。
そのため、ファンにとっても関係者にとっても髙田の状況は心配ではあったのだが、それを払拭するようなスタッツを残しての2連勝。それでも「良くはなっていますが、試合の中で『もう少しここで踏ん張れたらな』と思う場面はあったので、本調子ではないです」と本人は言う。
とはいえ、彼女のプレーを見てホッと胸をなで下ろしたファンも多いだろう。
「そうですね、スタッツ通りではあると思います。だけどまだまだスタッツ以上に自分の調子が出せていないなという思いが自分の中にはありますね」と、やはり自身のプレーには納得がいっていないようだ。
それを踏まえた上で「もっともっとレベルアップすることもそうですし、バスケットの技術だけでなく、トレーニングも含めてもう一度基礎を見つめ直していきたいです。しっかりと試合に向けての調整をしながら、でも焦らずに。自分の体は自分が一番分かっているので、ペースは乱さないようにしながらやっていきたいです」と今後に向けての思いも語った。
「何かがあってそうなったんだと思う」と振り返る今回のケガ。「チームに迷惑をかけてしまったという思いが一番。でも、その中で自分に何ができるのかを考え、(OQTでは)声を掛けたり自分ができることをやろうと思っていました。今までなかった分、こういった機会も必要だったのかなと。あまりマイナスに捉えないようにしていました」と髙田。
コート上でも的確に現状を見極め、必要とされるプレーを遂行する冷静沈着なベテラン。「ぶっちゃけ歳も歳になってきたので、若くはないんだと実感しました(笑)。でも、一度こういう経験をして、オリンピックの本番で自分のパフォーマンスを出すためには、ストレッチなどから改めてしっかりとやることが大事だということを知る機会だったんだとプラスに考えています」とにこやかな表情を見せる。
チーム史上初のWリーグ制覇に向けて。そしてその先に待つ夏の祭典へ。デンソーと日本代表とでキャプテンを担う髙田は、これからも自分のペースを保ちながらしっかりと歩を進めていく。
写真・文=田島早苗