3月14日、第22回Wリーグ プレーオフセミファイナルが代々木第2体育館でスタート。第2試合では、リーグ12連覇を目指すENEOSサンフラワーズとデンソーアイリスが登場した。
前半を36−36で折り返した両チーム、勝負のかかった後半にデンソーのオールコートのプレッシャーディフェンスが奏功し、ジリジリとリードを広げてく。この試合、絶好調の髙田真希を中心に、さくら、ひまわりの赤穂姉妹も要所にシュートを決め、第4クォーターの残り6分3秒には15点ものリードを奪った。
しかし、試合はここから大きく動いていく。ENEOSはオールコートのディフェンスで反撃を開始。
ENEOSは2分26秒間0点に抑え、その間に1点差まで追いつく展開となる。さらに残り5秒、ゴール下に潜り込んだ岡本彩也花が髙田のファウルを誘い、フリースローを得る。そして、岡本がきっちりと2本を決めると、デンソーの最後のシュートが外れ、ENEOSが大逆転をつかんだのだ。
試合後、記者会見に臨んだ宮崎は「岡本(彩也花)さんも宮澤(夕貴)さんが『まだ全然行けるよ』と声をかけてくれました。ベンチでも渡嘉敷(来夢)さんが『まだまだ行ける』と言ってくれたので、自分自身もそう思うことができました」と、誰も諦めていなかったという。
コートに立っていた岡本はさらに冷静だった。「点差を広げられたときは『やばいな』という気持ちになりましたが、石原(愛子)がバスカンなどでつなげてくれていたし、うちは足のある選手が多いから」と逆転のチャンスをかがっていたという。
“たられば”の話はたくさんできそうだ。当然、デンソーがどこかで点を入れていれば、ENEOSの粘りも届かなかったかもしれない。しかし信じられない逆転劇を演じたのは女王のプライドであり、そのプライドをかなぐり捨てた捨て身のプレーだったことに違いない。
そして、「今日勝てば、どんな形でも明日につながると思いながらプレーしていた」という岡本は、「今までで一番緊張というか、今までにない感情……もう無心で打ちました」というフリースローを2本決めたのだ。
第2戦はどのような展開となるのか? 勝ったとはいえENEOSの梅嵜英毅HCは「デンソーの激しいディフェンスはこれまでと全然違いました。最後はなんとなく対応していましたが、同じことをされないように準備したいです」と警戒を深めている。岡本も宮崎もそのディフェンスに思いどおりのプレーができなかったと反省しきりだった。デンソーにしても、敗れはしたが手応えを感じたのも事実だろう。第2戦も最後まで勝負の行方がわからない熱戦を期待したい。
文=入江美紀雄