「FIBA 東京 2020 オリンピック予選大会」(以下OQT)の初戦(対スウェーデン)、日本は前半こそ堅さからか重い展開となる。
しかし、「ディフェンスは良かった」(トム・ホーバスヘッドコーチ)というように、内容が良くないなりにも前半を5点リードで折り返すと、後半は本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)や本川紗奈生(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)らの3ポイントシュートがさく裂。最後は75―54で勝利した。
この試合、「みんな日本のバスケットをやっていなかったが、彼女だけは前半からオフェンスもディフェンスも頑張っていた」(ホーバスHC)と指揮官が手放しで称えたのが渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)だ。
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— FIBA (@FIBA) February 7, 2020
「チャンスがあれば自分でも狙っていこう、後悔したくないと思っていました。パスも来たし、1対1で行けるタイミングでも行けました」という渡嘉敷は、21得点11リバウンドとダブルダブルの数字をマーク。それだけでなく、「相手のセンターがスコアラーだったので、中ではやられないようにとしっかりアジャストもしてきました。そういった面ではよく守れたのかなと思います」とディフェンスでも奮闘。WNBAでもプレーするポイントゲッターの得点を12点に留め、得意とする3ポイントシュートも1本しか許さなかった。
「今、やらないと。もうオリンピックまで(海外の強豪チームと)やる時が少ないので、何が通用するのかというのをまずは今日の相手でやってみようと思っていました」と今大会に懸ける思いを語る渡嘉敷。現地入りしてからキャプテン髙田真希がケガをしたことにより、今はゲームキャプテンも務める。
「チームの流れが悪い時にしっかり声を出して引っ張ることもできたと思いますが、流れが悪い時にどうやって断ち切るかは修正したいです」
あらゆる面でチームをけん引する日本のエース。『この試合で日本の渡嘉敷をアピールできたのではないか』と問うと、「少しは。カナダとベルギーも試合を見ていたので、ちょっとでも意識してくれたらうれしいですね」と目を輝かせた。
明日のベルギー戦はWNBAでファイナルMVPに輝いたエマ・メセマン(ワシントン・ミスティックス)とのマッチアップが予想される。渡嘉敷がWNBAに参戦していた時代に苦しめられたという相手だ。今回のOQTに向けて常々「何が通用するのか何が通用しないのかを明確にしたい」と抱負を語っていた渡嘉敷。2019年の世界No.1プレーヤーともいえるベルギーとの“エース対決”は彼女にとって、そして東京オリンピックで金メダルを目指す日本にとっても大事な一戦となる。
取材・文=田島早苗