5月10日に開幕した車いすバスケットボールのクラブチーム日本一決定戦「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」。1回戦の第3試合では、東日本第2次予選2位の千葉ホークス(関東ブロック)と西日本第2次予選トップ通過のワールドバスケットボールクラブ(東海北陸ブロック)が対戦した。
ベテラン勢が多く在籍する東西の強豪チーム同士の戦い。果たして軍配はどちらに? 大会前、「うちは第1クォーターの入りが悪いことが多いので集中して臨みたい」とワールドの大島朋彦ヘッドコーチ兼選手が指摘していた通り、試合序盤の流れをつかんだのは千葉ホークスだった。
ワールドが竹内厚志(以下持ち点:3.0)にボールを集める一方で、千葉ホークスは、高さで国内トップクラスを誇るハイポインターの山口健二がインサイドに切り込みゴール下からのシュートで点を重ねたほか、キャプテンの伊東容臣(4.0)、持ち味のディフェンスに加え得点力に磨きがかかったローポインターの川原凜が次々と得点していった。
第2クォーターでワールドが徐々にアジャストすると、一進一退の攻防が続き、前半は30-29と千葉がわずかにリードしたものの、ほぼ互角の戦い。試合が動いたのは、第3クォーターだった。ワールドは、セカンドリバウンドから失点するケースが多かった前半の反省点をハーフタイムでしっかり共有し、ディフェンスからの速い攻めで流れをつかんでいった。
すると、加藤和徳(3.0)や冨永文明(3.5)のシュートがバランスよく決まりだす。ディフェンスでは、ハーフコートの意識を高め、ボールプレッシャーをどんどんかけていったことで、千葉ホークスは前半の勢いを封じこめられてしまう。第3クォーター、千葉は残り3分で植木隆人が挙げたわずか1得点に留まった。流れを変えたい千葉ホークスに対して、ワールドは第4クォーターも集中力を切らすことなく継続し、67-40と大差をつけ勝利を手にした。
ワールドの登録選手の平均年齢は37.7歳。どうしても他のチームに比べ体力的に劣ってしまう部分については、「ゲームに集中することを意識して、チームで声をかけあって仲間を鼓舞した」と話す竹内。
ベテラン力で大きな1勝を挙げたワールドは、11日の準決勝で、大会11連覇を目指す絶対王者・宮城MAXと対戦する。
文・写真=張理恵