大会2日目を迎えた5月11日、「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」準決勝が行われた。第1試合は、1回戦で苦戦を強いられつつも絶対王者の底力を見せつけた宮城MAX(東北ブロック)とベテランの経験を生かした粘り強いバスケで勝ち上がってきたワールドバスケットクラブ(東海北陸ブロック)の対戦。
藤本怜央と土子大輔、国内屈指のビッグマン擁する宮城MAXの高さに、ワールドはどう挑むのか。決勝進出をかけ、40分間の真剣勝負が始まった。
両者探り合いのなか始まった第1クォーター。ペイントエリア内に相手を入れさせない宮城MAXの堅いディフェンスで、外からのシュートに頼らざるを得ないワールドは、ペースを握らせまいと積極的に攻め続ける。お互い一歩も譲らない静かな攻防が繰り広げられる。
アウトサイドで点を取りにくるワールドに対し、ディフェンスラインを高めにしてコンタクトをとる宮城MAX。空中戦への対策としてボールから遠ざけるように車いすを置くなど工夫をしながらシュートを狙うワールドだったが、ことごとくリングに嫌われ続け思うように得点することができない。
一方で、宮城MAXは、スペースを広くとりながら、藤本・土子・藤井郁美が長いパス、短く速いパスを巧みに使い分ける連携プレーで着実に点を重ねていく。
37-25、前半を宮城MAXの12点リードで折り返す。
しかしここでワールドは、1回戦の千葉ホークス戦でも光った高い修正能力を見せる。
「誰でも点を取れるというのがワールドの強み。的をしぼりづらい」と宮城MAX・藤井新悟ヘッドコーチ兼選手が警戒したように、第3クォーターに入ると、キャプテン・竹内厚志の3Pシュートが立て続けに決まる。
「これ以上点差が離れるときつくなってくるので、どうにか1桁台に持っていって最終クォーターを迎えようと話していました。なので、自分が3ポイントエリアの外でボールを持って(宮城MAXの)ディフェンスが出てくるのかを見ながら、来なければ積極的に狙っていきました」
竹内のシュートで勢いを得たワールドは、加藤和徳、冨永文明のシュートも決まり、第4クォーター開始3分でついに逆転に成功。
ただ、ここでずるずると負けていかないのが絶対王者の貫禄。宮城MAX・土子がインサイドに切り込み次々とシュートを決め、再びワールドを引き離す。最後は藤本がダメ押しの1本。67-57で試合を終え、宮城MAXが大会11連覇に王手をかけた。
前人未到の栄光に向かって、宮城MAXは12日、決勝の舞台に上がる!
文・写真=張理恵