「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」準決勝・第2試合は、因縁のライバル対決となった。日本トップレベルのスピードが武器のパラ神奈川スポーツクラブ(関東ブロック)とディフェンスのチームへと生まれ変わった埼玉ライオンズ(関東ブロック)。ここ最近の公式戦では1勝1敗の両者。プライドをかけたデッドヒートが繰り広げられた。
ティップオフの笛で両チームのエネルギーが一気に放出されると、壮絶なバトルが始まった。
試合開始早々、ベテランの園田康典、日本若手のエース・鳥海連志のシュートで勢いに乗るかと思われたパラ神奈川。しかし、ライオンズが今年強化してきたディフェンスに阻まれてしまう。
「ウィングとトップに持ち点2.0と2.5のスピードのある選手が揃っているのがライオンズの強み。ボールプレッシャーをかけていきながらインサイドをしっかり守り、リバウンドを拾ってトランジションに持っていくところを特に強化してきた」
今年からライオンズに加入した中井健豪ヘッドコーチがそう語るように、スピードで鳥海(2.5)に劣ることのない18歳・赤石竜我(2.5)の走力を生かした速い展開で、主導権を握っていく。
順調にライオンズがリードを広げるなか、選手交代でリズムを引き寄せたいパラ神奈川。しかし、両チームともにシュートミスで流れを作れず、20-27というライオンズリードのロースコアで第3クォーターを迎える。
ライオンズはディフェンスとともに取り組んできたハーフコートオフェンスでもパラ神奈川を苦しめる。激しいプレッシャーに、日本のエース・古澤拓也のシュートは精彩を欠き、リングにも嫌われ続け、彼本来のプレーは影をひそめた。
力強い応援団の声援も味方にして、最後まで気持ちを切らすことのなかったライオンズが48-59で勝利をおさめ、4大会ぶりの決勝進出を決めた。
この試合にかける気持ちは一際大きかったパラ神奈川。試合後、鳥海は「お互い手の内はわかっていて自分にプレッシャーくるのもわかっていた。その中で決められなかったことが悔しい。何が一番いいシュートセレクトなのかということを常に考えながらプレーしたが、自分がシュートを打つことへの迷いだったり、周りを見ながらシュート打つことの精度の部分で足らなかった」と肩を落とした。
天皇杯、決勝は5月12日。埼玉ライオンズは初優勝を目指して、絶対王者・宮城MAXとの頂上決戦に挑む!
文・写真=張理恵