6月15、16日の2日間にわたって昭和電工武道スポーツセンター(大分市)で開催された車いすバスケットボール男子の国際親善試合「アジアドリームカップ2019」。初日の予選リーグを1位で通過した日本は、大会2日目の16日、準決勝に臨み、中国を88-37で撃破。続く決勝では韓国を74-62で破り、4戦全勝での完全優勝を達成した。
韓国との決勝は「別次元」の接戦に
「韓国との試合は、これまでの3試合とは別次元の試合になると思います」
試合前に指揮官の及川晋平ヘッドコーチがそう語っていた通り、決勝は激しい攻防戦が繰り広げられた。
今大会、韓国は代表チームではなくソウルを拠点とするクラブチームが参加していた。だが、昨年の世界選手権メンバー7人を擁する強豪だけに、厳しい試合になることが予想された。
前半、日本はリードを奪うも、韓国も3Pを高確率に決めるなどして、しっかりと食らいついてきていた。第1クォーターは、24-18と6点差をつけた日本だったが、決して完全に主導権を握るまでには至っていなかった。
すると第2クォーターの終盤、日本のシュートの確率が悪くなったところで韓国が連続得点を奪い、ついに37-37と並ばれてしまう。しかし、秋田啓のシュートで再びリードした日本。前半終了間際には韓国のゴール下のシュートを村上直広と鳥海連志が必死にブロックにいき、なんとかリードしたまま試合を折り返した。
確かに、いつどちらに試合の流れがいってもおかしくない手に汗握る展開だった。だが、この日の日本には崩れる危うさは見られなかった。強いディフェンスから素早い切り替えしで攻撃につなげるバスケを遂行していく姿があった。
韓国戦勝利はチーム強化の成果
後半になると、さらに日本のディフェンスが機能した。ボールが展開されるサイドだけでなく、その逆側のオフサイドにもしっかりとケアされた鉄壁な日本のディフェンスを前に、韓国は攻めあぐねた。
逆に日本は、アウトサイドとインサイドの出し入れをバランスよく、かつスピーディに行う攻撃で得点を重ねていった。そして第4クォーターでは、それまでどちらかというとボール運びやアシストの場面が多かった鳥海が、立て続けにシュートを決め、韓国を引き離した。最後は粘る韓国を退け、日本が2ケタ差で快勝した。
今年1月から合宿や遠征で強化を図ってきたディフェンスに成果を感じたという及川HC。「得点力のある世界の強豪に勝つためには、やはり強いディフェンスが不可欠。そういった意味で、今大会でチームがちゃんと強くなっていることを確認することができた」と手応えを口にした。
予選リーグから4戦全勝で完全優勝を達成した日本。さまざまな課題も浮上したが、決勝という最も高いステージで今大会最高の試合ができたことは、チームにとっても、選手一人ひとりにとっても、今後への大きな一歩となったはずだ。
文・写真=斎藤寿子