プロバスケ選手を兄に持つタレント中村昌也「NBAで活躍する日本人選手を見たい」

俳優やタレントとして活躍中の中村昌也は「どっぷりハマっている」というほどのNBAファンで、中でもオクラホマシティ・サンダーを応援している。サンダーは近年、ケビン・デュラント(現ゴールデンステート・ウォリアーズ)、サージ・イバーカ(現トロント・ラプターズ)、ジェームズ・ハーデン(現ヒューストン・ロケッツ)ら主力がチームを去り、今季プレーオフはラッセル・ウェストブルックの活躍も実らず初戦敗退。「逃した魚は大きい」と笑いながらも、デュラントには「移籍したからにはチャンピオンリングを取ってほしい」とエールを送る。また、自身も選手としてプレーした経験から日本バスケへの想いも強い。そんな彼にNBAの魅力と日本バスケについて話をうかがった。

インタビュー=酒井伸
写真=、Getty Images

――ご自身もバスケをしていたと聞きました。
中村 小学校の4年生か5年生くらいから学校のバスケクラブに入りました。部活動として始めたのは中学校からなのですが、4歳年上の兄の影響もあって小学校の時から毎日のようにバスケをしていました。

――B2リーグのアースフレンズ東京Zでプレーしている中村友也選手の影響もあったのですね。
中村 兄の存在だけでなく、漫画の『SLAM DUNK』の影響も大きかったです。また、小学6年生の時には身長が160センチくらいあり、ダンクシュートの気持ち良さにハマりました。

――ご両親も背が高いのですか?
中村 父親が183センチ、母親が168センチくらいあるので遺伝ですね。兄も198センチなので。

――バスケの成績はいかがでしたか?
中村 中学時代は大阪府の代表チームでキャプテンをやっていて、岩手ビックブルズでアシスタントコーチを務めている高田(紘久)、現役選手だと京都ハンナリーズの(村上)直や名古屋ダイヤモンドドルフィンズの中務(敏宏)と一緒にプレーしました。中学の時は兄よりもうまかったと思いますが、今では到底敵いません(笑)。

兄の中村友也はB2リーグのアースフレンズ東京Zでプレー [写真]=B.LEAGUE

――その後は東住吉工業高校に進学しました。
中村 兄と同じ高校に推薦で入りました。1年次にインターハイに出ましたが、その後、練習中にひざのケガをして部活動を辞め、17歳で中退して東京に出てきました。

――部活を辞める時に悔いはありませんでしたか?
中村 その時は東京に出て芸能活動をしたいという欲が強く、この世界で結果を残すまではバスケのことを考えないようにしようと決断しました。今はWOWOWさんでバスケに関わることができてとてもうれしいですし、2014年にはあるドラマでプロバスケ選手の役を担当させていただきました。

――何というドラマですか?
中村 永井大さん主演で、NHK秋田放送局の『ザ・ラスト・ショット』というドラマです。能代工業高校でロケをしたのですが、体育館には数々のトロフィーが飾ってあって、「さすが伝統校だな」と感動しました。でも、その時に能代工業が強い理由もわかったんです。撮影の休憩中にリングに向かってシュートを打ったら、周りで見学している1年生がすぐにそのボールを拾ってくれて、均一の回転で打ちやすいボールをパスしてくれるんです。ある意味カルチャーショックでしたよ。これが伝統であって、能代工業の強さなんだなと。

――どういった撮影をしたんですか?
中村 監督がこだわっていたので、秋田ノーザンハピネッツのプロ選手も参加してかなり凝った撮影でした。自分がシュートを打つシーンの時、真剣にディフェンスされるからシュートを外してしまうんです。なのに監督は「それでも決めてください」と(笑)。あの時はかなり練習して、ハピネッツの監督に「1年の準備期間をあげるから体重を10キロ増やしてうちと契約しないか」と誘われました。ドラマの技術指導を担当していた人は能代工業の元4番で、田臥(勇太/栃木ブレックス)さんの先輩なのですが、その人からも「昌也君のシュートタッチってあんまりいないタイプだよね」と褒められました。また、あるテレビ番組で(渡嘉敷)来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)ちゃんと勝負した時も「シュートフォームがキレイですね」と言われて、もう1回バスケ選手目指そうかなと思ったり(笑)。

――(笑)。ちなみにNBAはいつから見ていますか?
中村 しっかりと見るようになったのは、ここ4、5年です。WOWOWさんの仕事をいただいてから選手の名前やチームを覚えるようになって、今ではどっぷりハマっています。また、『NBA 2K17』というバスケゲームをやりこんでいますし、サッカー好きのスタイリストをバスケ好きに変えてしまうぐらいです(笑)。

――その時からオクラホマシティ・サンダーを応援していたのですか?
中村 たまたま出演した試合がサンダーだったんです。当時はケビン・デュラントジェームズ・ハーデンが所属していて、ラッセル・ウェストブルックが活躍しだした頃です。「KDっていう選手、手足が長いし、柔らかいプレーするな。ウェストブルックは暴走小僧やな。この選手たちとバスケをしたらおもろいやろうな」と感じたのがきっかけです。

――デュラントやハーデンは今も応援していますか?
中村 失恋に近い気持ちですね(笑)。大好きな選手がチームを去るけど、ずっと見ていたから応援してあげたい。だけど残された俺たちファンはどうすればいいのかと(笑)。

――深いですね(笑)。
中村 NBAって深いですよ。最初は「KDが移籍かよ!」と思うこともありましたが、そういうことも含めてNBAにハマっているんでしょうね。ウォリアーズの試合を見ると「がんばっているな」と感じますが、「ウェストブルックはまた“トリプルダブル”を達成したよ。やっぱりこいつの方がすごいな」と、サンダーひいきになってしまいます(笑)。

――ウェストブルックについてはどのように感じますか?
中村 自分と同じ身長なのに規格外の選手です(笑)。ウェストブルックを超える選手は当分現れないと思いますし、シーズン42回の“トリプルダブル”は更新されないでしょう。批判も多かった選手ですが、実力で示すのはカッコいいですよね。試合に対するモチベーションもすごいと思います。また、チームメートの(エネス)カンター、(スティーブン)アダムス、(ビクター)オラディポが、ウェストブルックの活躍を支えたところも見逃せません。

――ウェストブルック以外に好きな選手はいますか?
中村 長い期間在籍しているのがスティーブン・アダムズぐらいなので、移籍した選手の方が気になります。KD、サージ・イバーカ、ハーデン、レジー・ジャクソン(デトロイト・ピストンズ)は活き活きとプレーしていますよね。

――移籍した選手が気になって仕方がないんですね。
中村 そうですね。逃した魚は大きいですよ。ディオン・ウェイターズは昨季、クリーブランド・キャバリアーズから獲得して、1年でマイアミ・ヒートに移籍しましたが、かなり活躍してますもん。

――サンダー以外に気になるチームはありますか?
中村 ベタですが、ウォリアーズ、(サンアントニオ)スパーズです。ロケッツ、クリッパーズ、ジャズも気になっています。

――他チームで注目している選手はいますか?
中村 スパーズは(カワイ)レナードのチームになりつつありますよね。今季は一皮むけたと思っていますし、本気のレナードを見たいです。あとはKDです。優勝するためにウォリアーズへ移籍したので、チャンピオンリングを取ってほしいですし、プレッシャーの中でどれだけできるか期待したいです。

――現地でNBAを見たことはありますか?
中村 仕事でアメリカに行った際、見に行く機会はあったのですが、ロケの終わり時間が合わなくなり行けませんでした。次の日にウォリアーズの試合もあったのですが、日本に帰る日だったので断念しました。

――やっぱり見に行くならサンダーですか?
中村 メジャーじゃないけどオクラホマに行きたいです。WOWOWさんでNBAの仕事をやらせていただいているので、最大限のコネを使いたいです(笑)。試合だけではなく、普段の練習も見てみたいです。トッププレーヤー同士が練習からどれくらい激しくやっているのか、どういう練習をしているのか興味があります。

――兄の友也選手が東京Zでプレーしていますが、Bリーグも見に行きますか?
中村 兄の試合はあまり行けませんでしたが、B1リーグの試合は見に行ってます。アルバルク東京伊藤大司選手はWOWOWさんの仕事で一緒になってから仲良くなりましたし、そこから毎日のように連絡を取っています。

――ここ最近の出来事なんですね。
中村 そうですね。徐々に打ち解けていって、今では自分の家に遊びに来るくらいです。最近引っ越したばかりなのですが、大司が1番最初に来ましたから(笑)。

――見に行くならA東京なんですね。
中村 あとは、先輩の弟が川崎ブレイブサンダース辻直人選手なので、川崎の試合も見に行ったことがあります。京都の佐藤託矢さん、籔内幸樹さんは高校の先輩なので、関東で試合をする時には見に行きました。

――A東京にはスパーズからジェフ・エアーズ選手が加入しましたね。
中村 大司はかなり面白い選手だと言っていましたし、スパーズ時代の話も聞かせてもらいました。

――日本のバスケに期待することはありますか?
中村 将来的にはNBAで活躍する日本人選手を見たいです。渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)選手や八村塁(ゴンザガ大学)選手がアメリカの大学でがんばっていますが、もっと多くの選手に挑戦してもらいたいです。また、Bリーグの盛りあがりが日本バスケの底上げにつながりますし、それが一番の近道だと思っています。そのためにはバスケの面白さを知ってもらいたいですし、自分に協力できることがあればやっていこうと思います。開幕戦やオールスターといったビックイベントだけでなく、1万人規模での試合がもっと増えたらいいですよね。

ゴンザガ大学に在籍する八村塁 [写真]=Getty Images

――今は目に触れる機会が少ないですからね。
中村 試合を見に行ったら絶対に面白いんですけどね。男前な選手を探すことや元NBA選手を見ることから始めてもいいと思います。A東京の(ディアンテ)ギャレットを見て「こんなうまい選手でも通用しなかったリーグがNBAなんや。相当高いレベルなんだな」と知れますし、それだけでもプラスになると思います。

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■WOWOW NBA
①5/10(水)午前9:00 西準決勝ロケッツvsスパーズ第5戦
②5/11(木)午前9:00 東準決勝ウィザーズvsセルティックス第5戦
③5/12(金)午前9:00 西準決勝スパーズvsロケッツ第6戦
④5/13(土)午前9:00 東準決勝セルティックスvsウィザーズ第6戦

・5/17(火)プレーオフ東西決勝を生中継! ゲスト:松田丈志(元競泳選手)

・東西決勝、6/2(金)からのNBAファイナルは全試合おとどけ!
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