今季のクリーブランド・キャバリアーズは、まるでジェットコースターのように波の激しいシーズンを過ごしている。シーズン序盤に5勝7敗と負け越したものの、11月中旬からチーム記録タイの13連勝と勝ち星を量産。一気に貯金を殖やし、その後も5連勝したのだが、ここ9試合で6敗と、再び調子を落としてしまった。
1月11日(現地時間10日)終了時点で、キャブスの大黒柱レブロン・ジェームズは平均27.2得点8.2リバウンド9.0アシスト1.7スティール1,1ブロックと文句なしの個人成績で、ケビン・ラブも平均19.4得点9.6リバウンドと平均ダブルダブルに迫る活躍を見せている。
しかしながら、この2選手を除いた、昨季からチームに残っている選手たちはシューターのカイル・コーバーを除くとケガ、もしくは不振に陥っており、新加入選手も開幕から安定してプレーできているのはドウェイン・ウェイド、ジェイ・クラウダー、ホセ・カルデロンくらい。既存戦力と新加入選手たちがかみ合っているとはいいがたい。
指揮官のタロン・ルーはこの日、チーム練習でフィルムセッションを長めにとるなど“弱点強化”に向けて策を講じた。その弱点とは、ディフェンスである。今季のキャブスはオフェンシブ・レーティング(100回の攻撃機会における平均得点)こそリーグ3位の110.8なのだが、ディフェンシブ・レーティング(100回のディフェンス機会における平均失点)ではリーグワースト2位となる108.8と低迷している。デリック・ローズやアイザイア・トーマスがケガなどもあり本調子ではないとはいえ、この数字は改善する必要があったのである。
1月9日(同8日)のミネソタ・ティンバーウルブズ戦で、キャブスは99-127と惨敗。第1クォーターから18-32と14点のビハインドとなったこともあり、ルーHCは試合中のプレー映像を選手たちへ見せたという。同クォーターのディフェンスも取り上げ、チームとして努力が不足している点を指摘した。
「俺たちはもっとハードにプレーしていかなければダメ」と語るのはアイザイア・トーマス。「コートの両エンドでハードにプレーする必要がある。オフェンス面ではもっとボールをプッシュして、ディフェンス面では相手チームへのプレッシャーを強めていくこと、そしてチームとして何がしたいのかを明確にしなければならない」と語る。そして「(ルー)コーチは俺たちに対して、特に何かを言ったわけじゃない。『ひとまずこの映像を見るんだ』と言わんばかりにフィルムを見させられたんだ。『フィルムは嘘をつかない。これこそが現実なんだ。もっとフィジカル面も強化しないと』って思ったよ」と続けた。
過去3季連続でNBAファイナルに進出したキャブスだが、ルーHCは一種の危機感を感じている。「我々は多くの新加入選手がおり、彼らはキャブスのことをまだそれほど理解しきれていない」とルーHC。「ダメな夜もあるのさ、と言って片付けるのは簡単なことだけど、我々は多くの面でもっともっと良くなることができると思う」とラブは言う。
来週以降にゴールデンステート・ウォリアーズやオクラホマシティ・サンダー、サンアントニオ・スパーズといったウエストの上位チームと戦うため、この時期にチーム全体を引き締めることは、良い判断だったのではないだろうか。
「私はこのチームに対して、特に心配はしていない。我々はIT(トーマスの愛称)とD-Rose(ローズの愛称)が戦列を離れていて、T-Top(トリスタン・トンプソン)もいなかった中で、イーストの第3シードという好位置にいる。これからオフェンス面でもディフェンス面でもより良くプレーできさえすれば、良くなるはずだ」とルーHCも楽観的だ。
はたして、今後キャブスはギアを上げることができるのか。レブロンにラブ、ウェイドに加えてトーマスやローズなど得点力と実績のある選手が豊富なため、ディフェンス面でよりアグレッシブにプレーできるのであれば、勝率は確実にアップすることができるはず。今後の戦いぶりに注目していきたい。