2月9日(現地時間8日)のトレードデッドラインで、イースト3位のクリーブランド・キャバリアーズが計6選手を放出し、新たに4選手を獲得する3つのトレードを行った。まずはそのトレード詳細を見てみよう。
OFFICIAL: Welcome to #TheLand, @rodneyhood & @George_Hill3!
DETAILS: https://t.co/hOHYQaqmOR#AllForOne pic.twitter.com/0DuSAgI7Fb
— Cleveland Cavaliers (@cavs) February 9, 2018
■ロサンゼルス・レイカーズとのトレード
キャブス獲得:ジョーダン・クラークソン、ラリー・ナンスJr.
レイカーズ獲得:アイザイア・トーマス、チャニング・フライ、条件付きの2018年ドラフト1巡目指名権
ロースターの若返りに成功
昨夏カイリー・アービングとのトレードでボストン・セルティックスから獲得したアイザイアと、3ポイントシュートに定評のあるビッグマン、フライをレイカーズへ放出し、クラークソンとナンスJr.を獲得。スコアリングガードのアイザイアはキャブスにフィットしていたとはいえず、フライは今季、出番が減少したことでアウトサイドシュートの精度が低かったことから、キャブスが彼らを手放したと言っていいだろう。
キャブスが獲得したクラークソンとナンスJr.は共にまだ25歳。今季限りで契約満了となるアイザイアとフライとは異なり、彼らは来季も契約を残しているものの、まだ成長の余地がある。クラークソンは今季、ここまでほとんどの試合でベンチ出場ながら平均23.7分14.5得点3.3アシストをマークしており、インスタント・スコアラーとして期待できる。196センチのため、コンボガードとして起用できる点も魅力。ナンスJr.は、父(ラリー・ナンス)がかつて主力としてプレーしたキャブスでプレーする機会を得た。キャブスのインサイドにおける選手層を厚くし、持ち前の豪快なダンクで観客から愛されることだろう。
■サクラメント・キングス、ユタ・ジャズとのトレード
キャブス獲得:ジョージ・ヒル、ロドニー・フッド
キングス獲得:ジョー・ジョンソン、イマン・シャンパート、2020年のドラフト2巡目指名権
ジャズ獲得:デリック・ローズ、ジェイ・クラウダー
アウトサイドシュートに秀でるスコアラーを獲得
昨夏に獲得したローズとクラウダー、今季はケガがちだったシャンパートを手放し、ヒルとフッドを獲得。ドライブ重視のローズはキャブスにフィットしておらず、3ポイントシュートとディフェンスに定評のある“3&D”として知られるクラウダーも、今季は3ポイントシュート成功率が32.8パーセントと不発だった。
その点で見ると、ヒルは今季を含めてここ3シーズン連続で3ポイントシュート成功率40パーセント以上を残しており、ミスの少ない堅実なポイントガードとして知られるベテラン。フッドは今季、ベンチ出場ながらキャリアベストとなる平均16.8得点をマークしており、3ポイントシュート成功率も38.9パーセントと高く、3試合で30得点以上を奪っている。
■ヒートとのトレード
キャブス獲得:2024年のドラフト2巡目指名権
ヒート獲得:ドウェイン・ウェイド
ベテランを古巣へとトレード
今季開幕4試合目からベンチ出場していたウェイドを、キャリア最初の13シーズンを過ごしたヒートに放出。これはキャブスがベテランのウェイドにリスペクトを表した動きだった。バイアウトや新天地へのトレードではなく、古巣へトレードしたことは、プレーオフでライバルになる可能性があるとはいえ、ウェイド本人にとっても決して悪い思いはしていないはず。キャブスは将来のドラフト指名権しか獲得していないため、このトレードは“ロースター整理”ということなのだろう。
現状打破したキャブス、即戦力として活躍が求められる新加入選手たち
2月8日(同7日)のミネソタ・ティンバーウルブズ戦。延長の末、レブロンのブザービーターで勝利したキャブスは、それから24時間以内に複数のトレードを成立させ、ローテーションしている選手を複数入れ替える決断を下した。年明け以降、キャブスはイーストの上位にいるボストン・セルティックスとトロント・ラプターズ、ウエストのトップ3チーム(ゴールデンステート・ウォリアーズ、ヒューストン・ロケッツ、サンアントニオ・スパーズ)に全敗しており、現有戦力の限界を感じていたのだろう。
1月中旬に現地メディア『ESPN』に対して「今季はチャレンジの年」とレブロンが語っていたが、2月に入ってもそのチャレンジは続き、勝ち星が伸び悩んでいたことから、「このままでは優勝することはできない」という危機感をあらわにしたのではないだろうか。今季終了後にプレーヤーオプションを行使して制限なしのフリーエージェント(FA)となるレブロンを引き留めるべく、ロースターにメスを入れざるを得なかったのかもしれない。
今後、キャブスはクラークソンとフッドをベンチの得点源として、ナンスJr.はベンチの起爆剤、そしてヒルは先発ポイントガードとして起用されることが予想される。1月末に左手を骨折したラブが復帰するのは3月中旬以降のため、新加入選手たちは即戦力として活躍することが求められる。特にヒルは球離れが良く、スポットアップやキャッチ&シュートでも得点できるため、レブロンとの連係もうまくいくのではないだろうか。インディアナ・ペイサーズ在籍時には、プレーオフで何度もレブロン率いるヒートと対決してきた経験もあるため、そう長い時間をかけずにキャブスへフィットできると期待したい。
ビジネスにおいて、より高みを目指すのであれば「現状維持は衰退だ」という言葉を用いることがある。新陳代謝の激しいNBAにおいても、キャブスのようにチャンピオンシップを目指すチームであれば、現状打破に向けてメスを入れることもいとわなかったはずだ。
キャブスが今季、どのような結末を迎えるのか。今後の戦いぶりには今まで以上に注目したいところだ。