新天地でキャリアベストの成績を記録中
3月27日(現地時間26日)終了時点で、イースタン・カンファレンス8位となる39勝35敗を記録しているマイアミ・ヒート。
昨季は41勝41敗ながら、同率だったシカゴ・ブルズとの直接対決で1勝2敗と負け越したため、惜しくもプレーオフ出場を逃しただけに、今季こそプレーオフに出場したいという思いは強いはず。
ディフェンス重視のヒートは、今季も平均失点でリーグ4位(103.1失点)、ディフェンシブ・レーティングでもリーグ9位(104.6失点)と、リーグ上位のディフェンス力を武器に、勝率5割以上を残している。
そんなヒートにおいて、オフェンス面で良い働きをしているのが213センチのビッグマン、ケリー・オリニクだ。
カナダ出身のオリニクは、ゴンザガ大で3年間プレーし、2013年ドラフト1巡目全体13位でダラス・マーベリックスに指名され、トレードでボストン・セルティックスへ加入。昨季までの4シーズンをセルティックスでプレーしたオリニクは、昨季プレーオフのカンファレンス・セミファイナルのワシントン・ウィザーズとのシリーズ第7戦で26得点を挙げて勝利に大きく貢献した。
昨年7月8日(同7日)、オリニクはヒートと複数年契約を結んだ。新天地ヒートでは主にベンチスタートながら、ここまで68試合(うち先発22試合)に出場し、いずれもキャリアベストとなる平均23.8分11.4得点5.7リバウンド2.8アシストを記録している。
昨年12月21日(同20日)には、古巣セルティックスを相手に8投中6本の3ポイントシュートを決めるなどキャリアハイの32得点と大暴れを見せた。今季オリニクが20得点以上を挙げた試合で、ヒートは4勝2敗と好成績を収めている点も注目すべきポイントだ。
コートに多才さを持ち込み、勝利に不可欠な存在へ
オリニクは決してディフェンス面で優れているわけではない。リバウンドやブロックショットを見ても、お世辞にもリーグ有数とは評価できないものの、ヒートにおいて“ディファレンス・メイカー”となりつつある。
というのも、『NBAWowy』によると、今季ここまでオリニクがコートにいた時間帯で、ヒートのオフェンシブ・レーティングは114.9点を記録しているという。この数字は、なんとリーグトップのヒューストン・ロケッツ(113.1点)をも上回っているのである。ヒートのシーズン全体のデータが104.8点(リーグ19位)ということを考えると、大幅に上昇していることがわかる。
今年1月下旬。ヒートのエリック・スポールストラHCは、現地メディア『The Spokesman-Review』へ、オリニクについてこのように語っていた。
「彼はフロントコートのポジションから、多才さを持ち込んでくれる。フロントコートでプレーする典型的なタイプとは異なる選手だ。彼にはスキルが備わっており、まるでペリメーターでプレーする選手のようだ。それに、とても競争心が強いから、第4クォーターのようなプレッシャーのかかる場面でステップアップする傾向がある」。
オリニクがコートにいることは、ヒートのオフェンス面において、非常に効果的と言っていいだろう。オリニク自身も「僕はどんな状況であろうと、このチームを手助けすることができる。チームが必要とするものを持ち込むことができると思う」と語っていた。
3月28日(同27日)のクリーブランド・キャバリアーズ戦で、ベンチから約25分のプレータイムでゲームハイの19得点を奪ったオリニク。4投中3本の3ポイントシュートを決めただけでなく、5リバウンド3アシスト3スティールと、マルチな活躍を見せて勝利に大きく貢献。
ヒートは今季、オリニクが欠場した6試合で2勝4敗と負け越している。オリニクはすでに、ヒートへ多くのものを持ち込み、勝利に不可欠な選手となっている。