終盤までもつれた接戦にロケッツが終止符を打つ
5月23日(現地時間22日)、ヒューストン・ロケッツ(1勝)とゴールデンステート・ウォリアーズ(2勝)によるウエスタン・カンファレンス・ファイナル第4戦が、ウォリアーズのホーム、オラクル・アリーナで行われた。
The @HoustonRockets & @warriors go down to the wire in a thrilling WCF Game 4 finish! #Rockets #DubNation #NBAPlayoffs pic.twitter.com/EqyFjL45ml
— NBA (@NBA) May 23, 2018
試合序盤。ウォリアーズはクレイ・トンプソンのジャンパー、ステフィン・カリーの3ポインター、ケボン・ルーニーとドレイモンド・グリーンのレイアップに、ケビン・デュラントの長距離砲が決まり、12-0でロケッツを圧倒。
ペイントエリア付近にロケッツの選手が入り込むと、ウォリアーズはカバーディフェンスでタフショットまたはターンオーバーを誘発し、5分間以上、ロケッツを無得点に抑え込む。
ロケッツはハーデンが2本のショットを決めて4点を返すと、グリーンとデュラントのショットに加え、カリーが3ポイントプレーで追加点を挙げ、第1クォーター残り3分24秒で19-7とする。するとロケッツはハーデン、エリック・ゴードン、クリント・カペラが加点し応戦。このクォーター残り0.4秒にゴードンがレイアップを放り込み、ウォリアーズのリードを9点(28-19)まで縮める。
第2クォーターに入ると、ロケッツはハーデンの猛追でウォリアーズを捕らえていく。残り5分6秒、カリーが3つ目のファウルを犯し、ベンチに下がると、ロケッツの勢いが加速。
クリス・ポールが前半終了までに3本の3ポインターを沈めるなどスコアを伸ばし、ハーデンらもショットを決めていき、最大10点をリード。前半終了時には53-46で、ロケッツが7点リードを得た。
ところが、第3クォーターに入り、ウォリアーズがロケッツを制圧。このクォーターにロケッツが挙げた得点(17)を、カリーが1人だけで荒稼ぎする爆発を見せる。このクォーターだけでカリーは8投中5本の3ポインターを決める活躍で、ウォリアーズが34-17とし、ロケッツを圧倒。80-70で逆転に成功し、最終クォーターを迎える。
第4クォーター。ロケッツはショーン・リビングストンにダンクを浴びるも、ポールのプルアップ・ジャンパー2本にカペラの3ポイントプレー、PJ・タッカーのフリースロー2本が成功し、9-0のランで79-82の3点差に詰め寄る。
ウォリアーズはデュラントのショットが決まるも、ポールの3ポインター、そしてポールが右コーナーから左コーナーへ弾丸パスを繰り出し、トレバー・アリーザの逆転3ポインターをアシスト。残り6分3秒でロケッツが85-84と逆転に持ち込んだ。
デュラントのフリースロー2本で逆転したウォリアーズだったが、ロケッツはアリーザのフリースロー2本、ハーデンのレイアップとゴードンのフリースロー2本で6連続得点。残り3分30秒で5点(91-86)をリード。
ホームで連勝し、シリーズ突破に王手をかけたいウォリアーズは、カリーが3ポイントプレーを決めて2点差まで追い上げるも、ポールのアシストからゴードンが値千金の3ポインターをヒット。ロケッツがリードを再び5点に引き戻す。
それでも、ウォリアーズはデュラントとグリーンのフリースローで3点を返し、ロケッツのオフェンスを防いだことで、残り11.6秒でラストチャンスを得る。2点ビハインドの中、タイムアウトを要求しなかったウォリアーズは、デュラントがボールをプッシュし、トンプソンへショットを託すも、これがリングに嫌われてしまう。
これでゲームオーバーかと思われたが、リバウンドをもぎ取ったポールにリビングストンがファウルしたことで、残り0.5秒にポールへフリースロー2本が与えられる。
ポールが1投目を外し、2本目を沈めるとウォリアーズがタイムアウト。同点を懸けたラストショットをカリーが放つも、リングを射抜くことができず、最終スコア95-92。ロケッツが激戦を制し、シリーズは2勝2敗のタイに。
大黒柱ハーデンはチームとしての勝利を誇張
勝利したロケッツでは、ハーデンがゲームハイとなる30得点に3スティール2ブロック、ポールが9投中5本の3ポイントシュート成功を含むシリーズベストの27得点、ベンチスタートのゴードンが14得点。また、タッカーがゲームハイの16リバウンドに2スティール、カペラが13リバウンド2ブロックと続いた。
一方のウォリアーズは、カリーが6本の3ポイントシュート成功を含む28得点に6リバウンド2スティール、デュラントが27得点12リバウンド、グリーンが11得点13リバウンド8アシスト、トンプソンが10得点を記録。
ウォリアーズとしては、チームきってのディフェンダー、アンドレ・イグダーラが膝の痛みにより欠場したことが響いた。リーグ屈指のディフェンダーとしてだけでなく、ゲームメイカーもこなすことができるベテランの不在は、ウォリアーズの戦力ダウンになってしまった。
この試合、第1クォーターはウォリアーズ、第2クォーターはロケッツ優勢で前半を終え、第3クォーターにウォリアーズが圧倒するも、第4クォーターをロケッツが制し、シリーズは2勝2敗。両チームのフィールドゴール成功率は40.0パーセント未満、3ポイントシュートも34.0パーセント未満となるほど、激しいディフェンスを展開。
試合後の会見で、「俺たちはチームだ。俺たちはチームとして本当に良いのさ」とチームとして勝利を手にしたと語ったハーデン。「ここまで来るまで、とてつもなく長い道のりを歩んできた。でも俺たちは今季をとおして、ずっとやってきたことなんだ」と続けた。
第3戦で足を痛めていたポールは、「たくさん治療を受けてきたから。でもチームとしてはあまり関係ない。(マッチアップ相手を)ストップし、必要とされるときにビッグプレーを決めるだけさ」とコメント。第2Q途中からエンジンがかかり、3ポイントシュートやフローター、レイアップにプルアップ・ジャンパーを決めただけでなく、第4クォーターに逆転となったアリーザの3ポインターや貴重な追加点となったゴードンの3ポインターをアシストする見事な働きを見せた。
ラストショットをミスし、NBA新記録となるホーム16連勝が途絶えたウォリアーズのカリーは「このアリーナの試合では、勝てるだろうと思っていた。でも今の僕らは、戦わなきゃいけない。このシリーズは“本物”のプレーオフと呼べる経験なんだと理解した」と、自分たちへ警告。
「俺たちにはこの試合に勝つことができるチャンスがあった。でも負けてしまったんだ。(ラストショットが原因かと聞かれて)この試合の敗因はそれじゃない」と語ったのはデュラント。ウォリアーズは10点前後のリードを奪った場面が何度もあったが、ホームで逃げ切ることができなかった。
両チームが2勝2敗で迎える第5戦。勝利したチームが王手をかける翌戦は、25日(同24日)に行われる。会場をロケッツのホーム、トヨタ・センターに移し、第4戦のような激しい展開になるのか。今後の展開から、ますます目が離せないシリーズとなった。