終盤にレブロンのフリースロー2本が決まり、レイカーズが逃げ切りに成功
12月11日(現地時間10日)、ロサンゼルス・レイカーズはホームのステープルズ・センターでマイアミ・ヒートとの試合に臨んだ。
このゲームは2003年のドラフト同期で、ライバルかつチームメートとしても競い合ってきたレジェンド2人による最後のマッチアップとして大きな注目を集めた。
レジェンド2人とは、もちろん同年のドラフト1位指名のレブロン・ジェームズ(レイカーズ)と5位指名のドウェイン・ウェイド(ヒート)。両者はドラフト前のドラフト・コンバイン(指名候補選手たちによる身体能力測定)で知り合ってからというもの、今季までの16シーズンにわたって常に互いを刺激し合い、高め合ってきたからである。
第1クォーター残り7分19秒にウェイドが登場すると、最初のタイムアウトでレイカーズがウェイドに敬意を表してハイライト映像を流すなどキャリアを祝福。ゲームは同クォーターこそレイカーズが試合を優位に進めていくも、第2クォーターでヒートが反撃。この試合でキャリアハイとなる28得点を挙げたジャスティス・ウィンズロウのドライブからケリー・オリニク、デリック・ジョーンズJr.のショットなどで追い上げ、残り9分39秒でウィンズロウの3ポイントが決まってヒートが逆転する。
その後レイカーズはジョシュ・ハートのショットで一度は同点としたものの、ヒートの勢いは止まらず、3点リード(58-55)で試合を折り返す。
後半開始早々、レブロンが3ポイントをねじ込んでレイカーズがタイスコアに持ち込むと、そこからシーソーゲームへと発展。点の取り合いとなる中、レイカーズが1点をリード(84-83)して第3クォーターを終える。
第4クォーター残り7分18秒。ウェイドのアシストからウィンズロウが3ポイントを成功させてヒートが96-90と6点リードを奪うも、レブロンが3ポイントとダンクを決めて1点差へ肉薄。さらにはカイル・クーズマの長距離砲も決まってレイカーズが逆転に成功。
緊迫した展開となったこのゲームは、残り2分53秒でヒートのジョシュ・リチャードソンの3ポイントが決まって103-103のタイスコアに。そこでレイカーズはクーズマのレイアップとレブロンのフリースロー1本で3点差を付けると、リチャードソンがフリースロー2本を決めて食らい付く。
ヒートはウェイドにジャンパーと3ポイントを託すもミス。そして残り22.5秒、レブロンにフリースロー2本のチャンスが訪れる。
1投目を決めたレブロンに対し、「(2投目を)ミスしろよ。そしたら俺がゲームウィナーのショットを放てるだろ。お前と俺で、1対1をしようぜ。俺に打たせてくれよ」とウェイドが言い放つも、レブロンは冷静に2投目も成功させてレイカーズが108-105と3点をリード。
最後の場面でウェイドはレブロン越しに3ポイントを放つもミス。ロドニー・マグルーダーがオフェンシブ・リバウンドをもぎ取り、ウィンズロウへラストチャンスを託すも決め切ることはできず、レイカーズが逃げ切った。
互いの癖を知り尽くしたレジェンドたちによる最終戦は世界中に感動を与えた
白熱の試合を終えたレブロンとウェイドは、互いの健闘を称え合い、熱いハグと言葉を交わし、互いのユニフォームを交換。大勢のカメラマンが集まる中、笑顔で写真に収まった。
レブロンとウェイドは、プレーオフで激突することはなかったが、レギュラーシーズンにおける戦績はこれまで15勝15敗。“ラストダンス”を制したことで、両者による直接対決の戦績はレブロンの16勝15敗となった。レブロンは『AP』へこう語っている。
「これが俺たちなのさ。競争者同士が友人関係になるべきではない、という人もいるけれど、俺達は互いに競い合いながらも、友人であり続けたんだ」。
親友とのラストマッチを終えたウェイドは、「これが俺にとって、彼(レブロン)をガードできる最後のチャンスだった。だから俺はそれを待ち望んでいたんだ。彼が俺のムーブを分かっているように、俺も彼のムーブを分かってる。俺はただ、彼との競争を楽しみたかったのさ」と振り返った。
勝利したレイカーズでは、クーズマがゲームハイの33得点に7リバウンド、レブロンが28得点9リバウンド12アシスト、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが11得点、ロンゾ・ボールが10得点7リバウンド4アシスト3スティール2ブロックをマーク。
ヒートではウィンズロウがキャリアハイの28得点に7リバウンド、ウェイドが15得点5リバウンド10アシスト、オリニクが15得点を挙げたほか、3選手が2ケタ得点を記録した。
この試合で、レブロンは連続2ケタ得点試合の記録を900(歴代最長)まで伸ばし、通算1,162試合へ到達。ポール・ピアース(元ボストン・セルティックスほか)を抜き、2ケタ得点の試合数合計で歴代10位へ浮上。
「俺は(今季限りで)現役を引退することになるけど、彼はまだまだプレーし続ける。皆は俺のことを忘れてしまうんじゃないかな」という言葉を残し、ウェイドは会場を去っていった。
レブロンとウェイドという、将来のバスケットボール殿堂入りがほぼ確実なスーパースターによる“最終戦”は、互いの意地がぶつかり合う、緊迫感のある幕切れとなった。両者からは互いにリスペクトを感じ取ることができ、感動的なラストシーンを世界中に見せつけたと言っていいはずだ。