サクラメントの功労者で恩師のアデルマンを心底尊敬するバイロン・スコット
現役時代にロサンゼルス・レイカーズ、インディアナ・ペイサーズ、バンクーバー(現メンフィス)・グリズリーズでプレーし、レイカーズ時代にはアービン“マジック”ジョンソン(元レイカーズ)やカリーム・アブドゥル・ジャバー(元レイカーズほか)らと共に3度の優勝を勝ち取ったバイロン・スコット。
1997年に現役を引退すると、スコットはコーチへの道を歩み始めた。サクラメント・キングスで98-99シーズンからアシスタントコーチ(AC)を2シーズン務めると、2000-01シーズンからニュージャージー(現ブルックリン)・ネッツ、ニューオーリンズ・ホーネッツ(現ペリカンズ)、クリーブランド・キャバリアーズ、そして15-16シーズンまではレイカーズの指揮官を2シーズン務めた。
スコットはネッツ在籍時にジェイソン・キッド(元ダラス・マーベリックスほか)を中心とした布陣で02、03年にNBAファイナルへ進出した経験を持つ。これまで通算1,101試合を指揮し、454勝647敗(勝率41.2パーセント)の戦績を残してきた。
12月24日(現地時間23日)、現在はアナリストを務めるスコットが『ESPN』内の“The Jump”という番組に出演。22日(同21日)にネイスミス・バスケットボール・ホール・オブ・フェイム(以降、殿堂)が発表した2019年の殿堂入りの有資格者について自身の見解を述べた。
「リック・アデルマンHCは私がこれまでコーチ経験を積んできた中でもベストコーチの1人。彼はコーチとしてあらゆることを達成してきた。彼がこれまでに指揮官を務めてきたチームを見てみてほしい。どのチームも勝利を挙げてきた。私は彼がコーチとして殿堂入りすべきだと考えている。彼はサクラメントを有名にした人物なんだ」。
今回初の有資格者となったアデルマンHCは、ポートランド・トレイルブレイザーズのACからHCへと昇格。その後ブレイザーズ、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、キングス、ヒューストン・ロケッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズで指揮官を務め、通算1,791試合で1,042勝749敗(勝率58.2パーセント)という戦績を残してきた。
ブレイザーズではクライド・ドレクスラー(元ブレイザーズほか)を中心にリーグトップレベルのチームへと引き上げ、90年と92年にはNBAファイナルへ進出。02年にはキングスをウエスタン・カンファレンス・ファイナルまで導き、レイカーズと最終戦の延長までもつれる歴史的なシリーズを指揮。優勝経験こそないものの、通算勝利数では歴代9位を誇る。
スコットにとって、アデルマンHCはACを務めたキングス時代の恩師ということもあり、初の有資格者となったため、殿堂入りにふさわしいという自身の見解を口にした。
全盛期のプレーを間近で見たスコットは、ウェバーの殿堂入りも猛烈にプッシュ
また、スコットは99年からプレーオフの常連チームとなったキングスの大黒柱クリス・ウェバー(元キングスほか)についてもこのように評している。
「(殿堂入り有資格者の)リストに載っている面々はすばらしい人たちばかりだが、ウェバーが殿堂入りにふさわしいと思う。私はキングスで、彼の全盛時にコーチする機会に恵まれた。彼はすべてをこなすことができたんだ。ポストですばらしい働きを見せただけでなく、ミドルポストでも優秀だった。ディフェンダーと正対した状態からでも得点できたし、信じられないほどパスがうまく、リバウンダーとしてもすばらしかった。それに彼はチームプレーヤーだったんだ」。
スコットが言うように、ウェバーは98年オフにキングスへ加入後、全盛期を迎えた。00-01シーズンにはキャリアハイの平均27.1得点に加えて11.1リバウンド4.2アシスト1.3スティール1.7ブロックをマーク。特に00年から02年にかけてレイカーズが達成した3連覇の期間中、ウェバー率いるキングスは最大のライバルとして立ちはだかった。キングス躍進の立て役者として、ウェバーが見事な活躍を見せたことは間違いない。
もっとも、ウェバーはここ数年、殿堂入りの候補としては名前が挙がるものの、まだ選ばれていない。昨年から現役引退後4シーズンでその資格を得ることができるようになったため、年々殿堂入りできる可能性が低くなっているというのが現状だ。
ただ、キングス時代の恩師アデルマンHCと共に、ウェバーが来年殿堂入りを果たすこととなれば、両者だけでなくスコットにとってもすばらしい瞬間となるに違いない。