オールスター出場選手紹介⑧/クリス・ミドルトン(バックス)

苦節7年。Gリーグからはい上がった初のオールスター選手となったミドルトン[写真]=Getty Images

2月18日(現地時間17日)に迫った「NBAオールスターゲーム2019」。今年もイースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスによるゲームではなく、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)がキャプテンを務める「TEAMヤニス」と、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)がキャプテンを務める「TEAMレブロン」というオリジナルチームの対決という形で行われる。そこでバスケットボールキングでは、今年のオールスター出場選手を紹介していく。
※チーム分けのドラフトは2月8日(同7日)のため、リザーブ選手を順に紹介

■オールスター出場選手⑧
クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)

フォワード/203センチ/100キロ/キャリア7年目
Twitterアカウント:@Khris22m
Instagramアカウント:@k_mid22

<NBAにおける主な記録・功績>
オールスター選出:1回(2019)

<2018-19シーズン 個人成績>
平均31.1分17.3得点5.8リバウンド4.2アシスト1.1スティール
※2月6日(現地時間5日)終了時点

Gリーグからはい上がり、リーグ屈指の評価を得る選手へと成長

 今年のオールスターに選出された選手の中で、最も喜んでいるのはミドルトンと言っても過言ではない。

 2012年ドラフト2巡目全体39位でNBA入りしたミドルトンは、デトロイト・ピストンズでプレーしたルーキーシーズンをGリーグとNBAを行き来しながら過ごし、13年夏にはバックスへとトレード。

 NBAドラフトにかかっても、2巡目指名の選手が長いキャリアを送ることは珍しい。だがミドルトンはバックスでチャンスをつかみ、徐々に活躍の場を広げていった。キャリア6シーズン目の昨季はキャリアハイとなる平均20.1得点に5.2リバウンド4.0アシスト1.5スティールを残し、バックスの2年連続プレーオフ出場を後押し。

ミドルトンの真骨頂はシュート力。無駄のない動きから放ち、リングを射抜く[写真]=Getty Images

 ボストン・セルティックスとのファーストラウンドではシリーズ初戦に延長へと持ち込むロング3を決めるなど絶好調。3勝4敗で敗れてしまったものの、ミドルトンは強固なディフェンスを誇るセルティックス相手に、シリーズ平均24.7得点5.1リバウンド3.1アシスト。フィールドゴール成功率59.8パーセント、3ポイント成功率61.0パーセントという驚異的な数字を残してみせた。

 マイク・ブーデンホルザーHCを新たな指揮官に迎えた今季も、ミドルトンはヤニス・アデトクンボに次ぐチーム2位の平均17.3得点5.8リバウンド、チーム3位の4.2アシスト1.1スティールを記録。リーグベストの39勝13敗を挙げるバックスにおいて、攻防両面で不可欠な存在となっている。

 選手とのコミュニケーションを大切にするブーデンホルザーHCは「このチームにおける重要な選手」とミドルトンを評価。昨年12月2日(同1日)の延長にもつれたニューヨーク・ニックス戦で、ミドルトンはスターターとして出場するも、第4クォーターと延長の間、ベンチを温めていた。ショットが不調で、第3クォーターで取るべきリバウンドを相手チームに奪われるシーンがあったことなどがその要因だった。

 試合後、指揮官とミドルトンは互いに時間をかけて話し合い、同じ考えを持つことで解決。ブーデンホルザーHCとの会話について「同じ考えを持って勝利をつかむ。それこそが最も重要なことなんだ」とミドルトンは地元メディア『Milwaukee Journal Sentinel』へ口にしており、指揮官とも円滑にコミュニケーションを取ることができている。

チームメートの得点機会を演出するミドルトン。直近4シーズンのうち、3シーズンで平均4本以上のアシストを記録している[写真]=Getty Images

 そして2月1日(同1月31日)、ミドルトンは自身初のオールスター選出、そしてGリーグ出身選手として初のオールスタープレーヤーとなった。ミドルトンは「これ以上に最高なことなんてないよね」と喜びを表した。バックスで確固たる地位を確立したミドルトンに対し、スティーブ・カーHC(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)はこう称賛している。

 「彼はあまり知られていない選手かもしれない。だが非常に優秀な選手だ。彼は現代のゲームに必要なシュート力と長さを活かしたディフェンス力も持ち合わせている。バックスというチームにおいて、彼はカギとなる役割を担っている選手だ」。

 昨年7月下旬には、アメリカ代表候補のミニキャンプに参加。同代表の指揮官を務めるグレッグ・ポポヴィッチHC(サンアントニオ・スパーズ)がミドルトンを高く評価していたことも印象的だ。NBA入りから長い時間を費やしたものの、ミドルトンへの評価はリーグの中で着々と高まっている。

 「(アメリカ代表のミニキャンプ参加は)僕にとてつもない自信を植え付けた。ベストプレーヤーたちがそろう中に加わることができたんだからね。そのお陰で僕はベストプレーヤーの1人なんだと自分を信じることができた。そう、僕はリーグでもベストプレーヤーの1人なんだ」。

 ミドルトンにはハイライトシーンを彩る派手なダンクや思わず見とれてしまうようなアシスト、電光石火のドライブがあるわけではない。それでも、攻防兼備の堅実な選手として、相手チームのヘッドコーチたちから高評価を得ていることは間違いない。

<オールスターモーメント>
3年前に球宴で語っていた目標を今年実現してみせた苦労人

 キャリア4年目となった2016年のオールスターで、3ポイントコンテストに出場したミドルトン。「いつかはオールスターゲームでプレーできたらいいな。僕が目指しているゴールの1つなんだ」と当時ミドルトンは語っていたが、3年後に有言実行してみせた。

 今年は念願のオールスター本戦と、3年ぶりの3ポイントコンテストに参加する。キャリア1、2年目はあまり目立たず、ライジングスターズでプレーする機会を得ることがなかった苦労人が、大舞台で躍動できるか注目したい。

今年は2016年以来となる3ポイントコンテストにも出場する[写真]=Getty Images

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