第3戦で6本の長距離砲を沈めたダニー・グリーン「僕らはまだ何も成し遂げていない」

ファイナルにおける3ポイント成功率で歴代5位を誇るグリーン[写真]=Getty Images

第3戦で複数の記録を樹立したラプターズ、グリーンは6本の3Pを決めて18得点

 ゴールデンステイト・ウォリアーズとの「NBAファイナル2019」第3戦。トロント・ラプターズは試合の大部分でリードを保持し、14点差で勝利。シリーズ戦績を2勝1敗とリードした。

 ウォリアーズはケビン・デュラント(右ふくらはぎの肉離れ)とクレイ・トンプソン(左ハムストリングの負傷)を欠いていたものの、ラプターズはアウェーのオラクル・アリーナで記録的なシューティングショーを開演。

 ラプターズは試合をとおして、チーム全体でフィールドゴール成功率52.4パーセント、3ポイント成功率44.7パーセント、フリースロー成功率95.2パーセントをマーク。『ESPN Stats & Info』‏によると、この日のラプターズはNBAファイナル史上3チーム目となるフィールドゴール成功率50パーセント以上、3ポイント成功率40パーセント以上、フリースロー成功率90パーセント以上を記録。

 これまでにこの快挙を達成したのは、2017年のファイナル第2戦(対クリーブランド・キャバリアーズ)におけるウォリアーズと、1986年のファイナル第2戦(対ヒューストン・ロケッツ)におけるボストン・セルティックスのみ。両チームはこの記録を達成した年のファイナルを制している。

 また、この試合でラプターズはカワイ・レナードパスカル・シアカムマルク・ガソルカイル・ラウリーダニー・グリーンというスターター全員が17得点以上を奪取。過去20年間のファイナルにおいて、1チームのスターター全員が15得点以上を挙げたのは13年のファイナル第5戦(対マイアミ・ヒート)のサンアントニオ・スパーズ以来、2チーム目となったことを同メディアが報じている。

ラプターズは第3戦で驚異的なシュート成功率を残した[写真]=Getty Images

 グリーンは13年にレナードと共にファイナルでプレーしているため、両選手は非常にレアなチームでプレーしていたこととなる。レナードはラプターズでトップとなる平均29.0得点に加えて9.7リバウンド4.7アシスト1.3スティール1.0ブロックと、攻防両面において大活躍を見せているのだが、グリーンの活躍も見逃せない。

 第3戦で10投中6本の3ポイントを放り込んでシリーズ最多の18得点を挙げたことに加え、5リバウンド1スティール1ブロック。ファウルトラブルに苦しんだとはいえ、重要な場面でウォリアーズを突き離す3ポイントを決めて勝利に大きく貢献。

 ここまでのシリーズ3戦で平均27.5分12.3得点4.0リバウンド1.0アシスト1.0ブロックを記録中のグリーンは、3ポイント成功率50.0パーセントと驚異的な数字を残している。スパーズの一員として出場した13、14年のファイナルも合わせると、グリーンのファイナルにおける3ポイント成功率はNBA歴代5位の51.7パーセント。

 『NBA Soundsystem』のホストを務めるマイカー・アダムズによると、これまでのNBAファイナルにおいて、35選手が通算50本以上の3ポイントを放ってきたのだが、成功率で50パーセント以上を残しているのはグリーンだけ。頂上決戦という大舞台で、グリーンは好調を維持していると言っていいだろう。

いいペースでプレーできていたことを第3戦で活躍した要因に挙げたグリーン

 6月7日(現地時間6日)のチーム練習後、メディア対応をこなしたグリーンは、自身2度目の優勝まであと2勝に迫ったことで、今後この立ち位置を最大限に活用するためには何が必要かと聞かれ、こう切り返していた。

「どのゲームも異なった展開になっていると思う。すごい流れがあったとも思えないしね。でも僕らとしては、(第3戦の流れを)このまま持ち込みたいね。もしこのままショットを決め続けることができれば最高さ。でもディフェンス面についてはもっといい仕事をしていかなきゃいけない」。

 ウォリアーズについては「現時点では僕らが1ゲームをリードしているけど、彼らはきわめて優れたバスケットボールチームだし、チャンピオンチームでもある。今後、さらに熱を入れてゲームに臨み、立ち直ってくるとチームの皆が理解してる。僕らとしては、できるかぎりベストを尽くすことができるよう、インテンシティー(激しさ)やエナジー、集中力の面で対抗できるようにしていかなければいけない」と決して浮かれてはいない。

 最初の2戦と第3戦との違いについても、「あの試合、僕らはすごくいいペースでプレーしていたからだと思う。いくつか違うセットを組んで、アクションもしてきたけど、ボールが良く回っていたことが大きいかな。チームメート皆が辛抱強くプレーして、すごくアグレッシブだった。つまり、皆があのペースでプレーして、アグレッシブになると全員にオープンでショットを放つ機会ができるんだ、特に僕がね」とグリーンは振り返っていた。

見事なチェイスダウンブロックをお見舞いしたグリーン[写真]=Getty Images

 第3戦で見せたパフォーマンスにより、自信はどれだけ高いレベルにあるかと聞かれると、「ゲームによって変わるもの」と開口一番に語ったグリーン。自身の現状について、このように答えている。

「僕らはまだ何も成し遂げてはいない。ただの1試合に過ぎないんだ。最初に決めた1本はリズムによって生まれたものだしね。だから次のゲームでも、1本目のショットをいいポジショニングから決めることができるといいね。カイル(・ラウリー)がコーナーにいる僕を見つけてくれると、すごくいい感じでショットを放つことができるんだ」。

 8日(同7日)に行われる第4戦で、ウォリアーズのトンプソンが復帰する見込みと報じられている。第3戦で計11本の3ポイントを沈めたグリーンとカイル・ラウリーには、厳しいチェックが入ることだろう。

 その中でグリーンとラウリーが高確率にショットを決めることができれば、ラプターズは優位に試合を進めることができるのではないだろうか。

第4戦以降もグリーンの長距離砲が効果的に決まると、ラプターズとしては心強い[写真]=Getty Images

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