最後まで気を抜かず戦ったラプターズ、エナジーを失ったウォリアーズ
6月8日(現地時間7日)、トロント・ラプターズ(2勝1敗)とゴールデンステイト・ウォリアーズ(1勝2敗)によるNBAファイナル第4戦が、ウォリアーズのホームであるオラクル・アリーナにて行われた。
ウォリアーズは右側の肋軟骨を骨折したケボン・ルーニーと、ファイナル第2戦にて左ハムストリングを痛めていたクレイ・トンプソンが復帰。右ふくらはぎの肉離れで、復帰が未だに決定していないケビン・デュラントを欠く中での朗報となった。
前半は序盤よりディフェンシブな展開。第1クォーター残り9分41秒にウォリアーズのステフィン・カリーがようやくアウトサイドからジャンパーを沈めると、スコアボードが徐々に動き始めた。
ラプターズのタフなディフェンスに苦しんだが、ケガから復帰したトンプソンがカイル・ラウリーに対してのミスマッチを利用し、ポストアップからのターンアラウンドジャンパーや、3ポイントシュートなどで得点を量産。またベテランのショーン・リビングストンもミドルレンジからジャンプシュートを連続して決めるなど、デマーカス・カズンズがターンオーバー、カリーがシューティングで苦しむ中で、チームを引っ張った。
一方でラプターズは自分たちのリズムが乗れない中、カワイ・レナードがプルアップ3などで得点を挙げ、存在感を示した。最初の12分間で14得点を稼ぎ、ラプターズは第2クォーターへの活路を見出していく。そして最初のスロースタートから打って変わって、マルク・ガソルのジャンパーやフレッド・バンブリートの3ポイントなどの援護もあり、前半は42-46とラプターズが4点ビハインドで終えた。
後半は立ち上がりからレナードが2連続で3ポイントを沈めるなど、ラプターズが少しずつ主導権を握る展開。第1戦で大活躍したパスカル・シアカムがバスケットカウントを決めて復調を見せるなど、いよいよチーム全体でエンジンがかかり始めた。ウォリアーズはトンプソンを中心になんとか得点をつなげるが、総合力で及ばず厳しい時間帯が続いていく。
第3クォーターを79-67と12点リードしたラプターズは、最終クォーターからさらに突き放しにかかる。トンプソンに続いて、この試合シューティングが不調だったカリーに3ポイントを許したが、ベテランのサージ・イバカが3ポイントにミドルレンジと抜群の安定感を放つ。また第3戦で6本もの3ポイントを沈めたダニー・グリーンが、追い打ちをかけるかのように3ポイントを決めれば、ウォリアーズは逆転の活路をとうとう見出せなかった。
そして最終的に105-92というスコアでラプターズが勝利を手にし、ファイナル制覇まであと1勝となった。
ラプターズは優勝に向けてあと一歩、ウォリアーズはシリーズ逆転になるか?
敵地で連勝を果たし、優勝に王手をかけたラプターズは、レナードが36得点12リバウンド4スティール、イバカが20得点4リバウンド2ブロック、シアカムが19得点5リバウンド、ラウリーが10得点7アシスト、ガソルが9得点7リバウンドを記録。
得点面で大きくチームに貢献したレナードが、試合終了後のインタビューにて以下のようにコメントした。
「すべての選手たちが毎晩全力を尽くしている。しっかりバスケットをプレーし、勝利に向けて戦った。スコアボードは関係ない。ラウリーは素晴らしい選手で、彼は今まさにこの舞台で活躍してくれている。そしてイバカはリムを守ってくれている。我々を助けてくれているよ。優勝に向けて、とにかく忍耐強くあること、準備をして集中することが重要だ」
ゲーム終盤に疲弊した表情で立ちすくみ、1勝3敗と後がない状況へと追い込まれたウォリアーズ。トンプソンが3ポイント6本を含む28得点、カリーが27得点4リバウンド6アシスト、ドレイモンド・グリーンが10得点9リバウンド12アシスト、ケボン・ルーニーが10得点6リバウンド、カズンズが6得点4リバウンド2ブロックをマークした。
カリーは試合後のコメントで、「まだ終わっていない。言うまでもないけれど、今はいい気分ではないよ。我々は両方の立場に立たされていて、このシリーズを逆転する機会に恵まれているんだ」と意思を固めた。
またウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はデュラントの回復経過について、「私たちは彼がゲーム5か6でプレーできることを望んでいる」とコメント。「(復帰に向けて)非常に多くのことが続いている。この場でこの話を続けるのは意味を成さない。彼がプレーするか否か。だから今夜は出場しなかった」とデュラントの明確な復帰時期の言及は避けた。だがシリーズ逆転に向けて、彼の復帰がいよいよ本格的に必要になっていることは事実かもしれない。
両チームによるファイナル第5戦は6月11日(同10日)に、スコシアバンク・アリーナにて行われる。