PO歴代3位の732得点、史上3人目となる異なる2チームでファイナルMVP獲得
6月14日(現地時間13日)に行われた「NBAファイナル2019」の第6戦。トロント・ラプターズは3勝2敗で初優勝に王手をかけてゴールデンステイト・ウォリアーズのホーム、オラクル・アリーナへと乗り込んだ。
試合は同点とリードチェンジを何度も繰り返す大激戦となる中、ラプターズは114-110で逃げ切りに成功。創設24年目でフランチャイズ史上初となるNBAチャンピオンに輝いた。
ラプターズの主役を務めたのは、最古参のカイル・ラウリーや見事な躍進を遂げたパスカル・シアカム、ブルーカラーに徹して攻防両面でチームを救ったサージ・イバカ、ベンチからスターター級の働きを見せたフレッド・バンブリートという昨季から所属している選手たち。
そして、昨夏サンアントニオ・スパーズとのトレードで加入したカワイ・レナードとダニー・グリーン、今年2月のトレードデッドラインにメンフィス・グリズリーズとのトレードで加入した元オールスターセンターのマルク・ガソルだった。
中でもレナードは、シリーズ平均28.5得点で2014年以来となる自身2度目のファイナルMVPを獲得し、優勝の立て役者となった。NBA史上、異なる2チームでファイナルMVPに輝いた3人目の選手になっただけでなく、プレーオフ全体でNBA史上3位となる732得点(平均30.5得点)をたたき出し、ラプターズを優勝へと導く原動力に。
「僕はこのためにバスケットボールをプレーしている。優勝するために自分自身を磨いてきたんだ」と喜びを口にしたレナード。
4月中旬にプレーオフが幕を開けてからというもの、約2か月間にわたって、レナードは驚異的なプレーの数々を披露し、イースタン・カンファレンスを勝ち上がり、3連覇を狙う王者ウォリアーズ相手にも決して物おじすることなく冷静沈着にプレーしてきた。
「ハードワークが報われて本当にうれしい」と喜びをかみしめたレナード
今年のプレーオフにおいて、レナードは得点、リバウンド、スティールでいずれもリーグトップとなる成績を残したのだが、これは1984年のラリー・バード(元ボストン・セルティックス)以来初の快挙。この3項目でリーグベストの数字を残したことは、レナードがコートを縦横無尽に暴れ回り、攻防両面において支配的な活躍をしてきたことを端的に表していると言っていいだろう。
ラプターズ在籍7シーズン目のリーダー、カイル・ラウリーはレナードをこのように絶賛している。
「彼はNBAでベストな(オフェンスとディフェンスの両面で優れた)2wayプレーヤーだと思う。今シーズン、僕は彼のありとあらゆるプレーを見てきた。彼はとてつもないほどハードに自身のゲームをこなしてきたし、自身の身体を十分にいじめ抜いてきた。彼はこういったバスケットボールに関することが大好きなのさ」。
スパーズに在籍していた昨季、レナードはケガに悩まされてわずか9試合の出場に終わっていた。「このチームに来てからというもの、自分の考えは変わらなかった。チャンピオンシップトロフィーを手にするべく、プレーしてきたんだ。これこそ僕がバスケットボールをプレーしている理由なんだ。このために僕は夏の間ずっと、そして今シーズンを通して自分自身を磨いてきた。これまでのハードワークが報われることになって、本当にうれしいよ」とレナードは自らの努力を称えつつ、優勝という選手として最高の喜びをかみしめた。
今夏、プレーヤーオプションを破棄して制限なしフリーエージェント(FA)になることができる権利を持つレナードは、ラプターズに残留するか、他チームへ移籍するかどうかは不透明ながら、世界中から注目を集めることは間違いない。
「僕はチームメートたちやコーチたちとこの戦いを楽しんでいる。そのこと(去就)についてはまた後で考えることにするよ」と語ったレナード。
今季の最後に選手として最高の栄誉に輝いたレナードはまだ27歳。誰もが求めるエースとして王者となったことで、ますます自信を深めたことだろう。来季以降のパフォーマンスにも、大いに期待したい。