2019.05.14

劇的な決勝弾を沈めたレナード「僕のキャリアの中でも回想できるプレーになった」

ラプターズをイースト決勝へと導いたレナード[写真]=Getty Images
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「あの瞬間を味わうことができて本当にありがたいと思ってる」と喜びを爆発

 5月13日(現地時間12日)に行われたフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦。トロント・ラプターズカワイ・レナードは、ゲームハイの41得点に加え、シリーズを締めくくる劇的なブザービーターを決めてみせた。

 後半だけで26得点を挙げたレナードだが、残り約4分半から4点差以内の接戦の中、ジャンパーを4投中3本ミス、残り10秒で獲得したフリースローも2投中1本の成功に終わり、残り4.2秒にジミー・バトラーのレイアップを許してしまい、ラプターズはシクサーズに90-90の同点に追い付かれてしまう。

 残り4.2秒で迎えたラプターズ最後のポゼッション。レナードはベン・シモンズのガードを振り切り、右コーナーへとドリブルしていく。目の前にはシモンズ(208センチ)よりも背の高い、ジョエル・エンビード(213センチ)がいた。レナードはこの場面について『ESPN』へこう振り返っていた。

「エンビードが僕をガードしていたんだ。彼は僕よりも背が高く、長さもあるから、なんとか(ショットを放てる)スポットを見つけようとしていた。そして高くショットを放たないといけないと思ってた」。

試合終了間際、レナードの右腕から決勝弾となるショットが放たれた[写真]=Getty Images

 試合終了のブザーとほぼ同時にレナードの右腕から放たれたショットは、一度リムの手前に当たると、世界中のバスケットボールファンをもてあそぶかのようにリムの上をぐるりと回り、ゆっくりとくぐり抜けた。これにより、ラプターズは2016年以来初のカンファレンス・ファイナル進出が決定。普段は冷静沈着で、寡黙なレナードも表情が一変し、チームメートたちとこの劇的な勝利を喜んだ。

「最高だったよ。第7戦でブザービーターを決めることができるなんて、これまで経験したことがなかったからね。あの場面でショットを決めて、この瞬間を味わうことができて本当にありがたいと思ってる。僕のキャリアの中でも回想することができるプレーだと思う」。

MJ以来の快記録を残したレナード、第7戦ではチーム総得点の約半分を記録

 『ESPN Stats & Info』によると、プレーオフのシリーズ最終戦でブザービーターを沈めた選手はレナードが史上2人目。1989年のファーストラウンドでクリーブランド・キャバリアーズとの第5戦(当時は3戦先勝)に“The Shot”を決めたMJことマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)以来の快挙だという。

 また、シクサーズとのシリーズで両チームトップの平均34.7得点9.9リバウンドに4.0アシスト1.3スティールを挙げたレナードは、シリーズ7戦で計243得点をマーク。『Stat Muse』によると、この数字は93年のNBAファイナルでフェニックス・サンズ相手にジョーダンがたたき出した246得点以来の好記録。

 ブルズはこのシリーズを6戦で制し、90年代前期の3連覇を達成。ジョーダンはシリーズ平均41.0得点というとてつもないパフォーマンスを見せていた。

ジョーダンはこのシリーズで、6試合のうち4試合で40得点以上をマーク[写真]=Getty Images

 平均得点ではジョーダンと差があったことは否めないが、第7戦におけるレナードのパフォーマンスは歴史的な高水準だった。というのも、レナードはプレーオフにおける第7戦で、チーム総得点の44.6パーセントを1人でたたき出していた。この割合は第7戦としては歴代最高の数字になったと『Stat Muse』が報じている。

 シリーズをとおして攻防両面で申し分ないパフォーマンスを見せたレナード。シクサーズの選手たちが口をそろえて「信じられない」と話したように、驚異的な活躍を見せたことは疑いようのない事実。

 16日(同15日)から幕を開けるミルウォーキー・バックスとのカンファレンス・ファイナルで、レナード率いるラプターズは難敵を下し、フランチャイズ史上初となるNBAファイナルへと駆け上がることができるのか。是非とも注目していただきたい。

ドラマティックな形でイースト決勝へと駒を進めたラプターズ。バックスとも互角に渡り合えるか?[写真]=Getty Images

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