2019.05.20
5月13日(現地時間12日)に行われたフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦。トロント・ラプターズのカワイ・レナードは、ゲームハイの41得点に加え、シリーズを締めくくる劇的なブザービーターを決めてみせた。
後半だけで26得点を挙げたレナードだが、残り約4分半から4点差以内の接戦の中、ジャンパーを4投中3本ミス、残り10秒で獲得したフリースローも2投中1本の成功に終わり、残り4.2秒にジミー・バトラーのレイアップを許してしまい、ラプターズはシクサーズに90-90の同点に追い付かれてしまう。
残り4.2秒で迎えたラプターズ最後のポゼッション。レナードはベン・シモンズのガードを振り切り、右コーナーへとドリブルしていく。目の前にはシモンズ(208センチ)よりも背の高い、ジョエル・エンビード(213センチ)がいた。レナードはこの場面について『ESPN』へこう振り返っていた。
「エンビードが僕をガードしていたんだ。彼は僕よりも背が高く、長さもあるから、なんとか(ショットを放てる)スポットを見つけようとしていた。そして高くショットを放たないといけないと思ってた」。
試合終了のブザーとほぼ同時にレナードの右腕から放たれたショットは、一度リムの手前に当たると、世界中のバスケットボールファンをもてあそぶかのようにリムの上をぐるりと回り、ゆっくりとくぐり抜けた。これにより、ラプターズは2016年以来初のカンファレンス・ファイナル進出が決定。普段は冷静沈着で、寡黙なレナードも表情が一変し、チームメートたちとこの劇的な勝利を喜んだ。
「最高だったよ。第7戦でブザービーターを決めることができるなんて、これまで経験したことがなかったからね。あの場面でショットを決めて、この瞬間を味わうことができて本当にありがたいと思ってる。僕のキャリアの中でも回想することができるプレーだと思う」。
『ESPN Stats & Info』によると、プレーオフのシリーズ最終戦でブザービーターを沈めた選手はレナードが史上2人目。1989年のファーストラウンドでクリーブランド・キャバリアーズとの第5戦(当時は3戦先勝)に“The Shot”を決めたMJことマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)以来の快挙だという。
また、シクサーズとのシリーズで両チームトップの平均34.7得点9.9リバウンドに4.0アシスト1.3スティールを挙げたレナードは、シリーズ7戦で計243得点をマーク。『Stat Muse』によると、この数字は93年のNBAファイナルでフェニックス・サンズ相手にジョーダンがたたき出した246得点以来の好記録。
ブルズはこのシリーズを6戦で制し、90年代前期の3連覇を達成。ジョーダンはシリーズ平均41.0得点というとてつもないパフォーマンスを見せていた。
平均得点ではジョーダンと差があったことは否めないが、第7戦におけるレナードのパフォーマンスは歴史的な高水準だった。というのも、レナードはプレーオフにおける第7戦で、チーム総得点の44.6パーセントを1人でたたき出していた。この割合は第7戦としては歴代最高の数字になったと『Stat Muse』が報じている。
シリーズをとおして攻防両面で申し分ないパフォーマンスを見せたレナード。シクサーズの選手たちが口をそろえて「信じられない」と話したように、驚異的な活躍を見せたことは疑いようのない事実。
16日(同15日)から幕を開けるミルウォーキー・バックスとのカンファレンス・ファイナルで、レナード率いるラプターズは難敵を下し、フランチャイズ史上初となるNBAファイナルへと駆け上がることができるのか。是非とも注目していただきたい。
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