子どもたちと交流したウェストブルック「身体が覚え込むまで練習することが大事」

子どもたちとの交流を終え、「W」ポーズをしながら笑みを見せたウェストブルック(中央)

「“Why Not?”というモットーによって、今まで大きな成長をしてきました」

 8月6日、2年連続2度目の来日となったラッセル・ウェストブルック(ヒューストン・ロケッツ)が国内最大級のバスケットボールショップ「GALLERY・2渋谷店」に登場した。

 『RUSSELL WESTBROOK 2019 WHY NOT? TOUR』として、ウェストブルックはパリ(フランス)やポートランド(アメリカ)、ソウル(韓国)を訪れており、5日には東京医療保健大学の世田谷キャンパスで行われた「Why Not? Summer Camp」にサプライズで参加、その後「atmos sendagaya(アトモス センダガヤ)」(東京都渋谷区)でトークセッションを行っていた。

 会場となった「GALLERY・2渋谷店」では、大勢の子どもたちがNBAのスーパースターの登場を待ちわびていた。ウェストブルックが登場するまでの間、司会進行の佐々木クリス(バスケットボール解説者)が子どもたちを盛り上げるべく、ウェストブルックに関するクイズを出題したり、勝ち抜きのじゃんけん大会を実施。すると両手でピースサインをしてウェストブルックのイニシャル(W)マークを作り、本場アメリカの発音でラッセルを連呼して準備万端。

 そしてウェストブルックが登場すると、待ってましたとばかりに会場全体で“ラッセル コール”で大盛り上がり。昨年の初来日では1日の滞在となったウェストブルックだったが、今年は2日間滞在してイベントに登場したことで数多くのファンを喜ばせたことだろう。

大歓声の中でウェストブルックがトークセッションに登場

「皆さんと会うことで、皆さんに影響を与えたいと思っています。いつもサポートしていただき、ありがとうございます。ここに来てくれた方々に感謝しています」と開口一番に語ると、ウェストブルックのトークセッションがスタート。

 自身のモットーであり、ツアー名にもなっている“Why Not?”(なぜやらないの?)について、ウェストブルックは「このメッセージによって、僕は今まで大きな成長をしてきたと思います。2回も日本に来ることができましたし、このWhy Not?というマインドセットをもって、自分を信じてやりたいことをしっかりとやっていくことができました。皆さんにもぜひ、同じようなマインドをもってもらいたいと思っています」と子どもたちをはじめ、駆け付けた多くのファンへ語った。

ツアー用のTシャツにはウェストブルックのモットーである“Why Not?”と共に数々のメッセ―ジが入っていた[写真]=伊藤 大允

「小さなことからやっていくことが、かっこいいプレーをできるコツ」と助言

 この日はトークセッション後、ウェストブルックの印象的な3つのプレーを本人が解説。昨季まで所属していたオクラホマシティ・サンダー時代のハイライトともいえる3つの好プレーが会場で映し出された。

 1本目はファストブレイクからスピンして、頭の後ろからスティーブン・アダムズへ絶妙なパスをとおしてダンクでフィニッシュしたプレー。「本当にギリギリのタイミングで決めました。後ろから走ってきてくれることを祈りながら渡したんですけど、彼がちょうどいいタイミングで来てくれたことをうれしく思いました」とウェストブルック。

 続いて2本目は、ドライブから鮮やかに決めたレイアップ。ウェストブルックはこのプレーについて「リングへ速く到達するためにはどういうふうに動けばいいのか、そしてショットを放つポイントがどこかということをしっかり見極めながら、ドリブルで進んでいきました」と解説。特徴的な低めのドリブルについては「常にこのプレーのような練習をすることも大事。僕は長年やってきているので、身体にしみついていますけど、そうなるまでずっと練習をして、身体が覚え込むまでやるということが大事だと思っています」と会場に集まった子どもたちやファンへ語っていた。

 そして3本目は、キレ味抜群のシャムゴッド・ドリブルでディフェンダーを切り裂いてリング下へ突き進み、アダムズのダンクへとつなげたプレー。数年前のプレーだったとはいえ、これには集まったファンからわれんばかりの歓声が上がり、会場は大盛り上がり。

 ところが、「なんで自分があのプレーをやったか、覚えていないんです(笑)」とウェストブルックは意外な回答。それでも、「自然に出てきました。ディフェンスの位置や、ボールをスティールされないように、といったことを考えた時に、ああいう動きになったんだと思います」と振り返った。

 少年少女たちがこのプレーを見て沸く中、ウェストブルックは「やっぱり毎日の練習が大事。小さなスキルだとしても、コツコツと練習をすることが大事です。もちろん、今映像で見たようなかっこいいプレーをやりたいとは思いますが、本当に小さいところからコツコツやっていくことが、こういったプレーをできるようになるコツだと思います」とアドバイスを送っていた。

 その後、会場ではウェストブルックが見せたシャムゴッド・ドリブルに参加者3人が挑戦。まずはウェストブルックが実演し、「ボールを下へ落とすというよりも、手放すような感覚」「身体を傾けて、左側へ行くと見せておいて、ボールをつかんだら一気に右へ進むように」と佐々木クリスが子どもたちへ分かりやすく解説。

 すると子どもたちがシャムゴッド・ドリブルを実践。途中からウェストブルックがディフェンダー役に入り、スティールしようとする時にボールをつかんで突破できるようにと伝授した。

子どもたちのシャムゴッド・ドリブルを見守るウェストブルック

どんな状況であれ「常に平常心をもってやっていくこと」が一番大事と明言

 5年連続通算8度のオールスター選出経験を誇るウェストブルックは、NBAという世界最高のバスケットボールリーグにおいて、超一線級のプレーを見せ続けている。ベストでいるために一番大切にしていることは何かと聞かれ、こう答えていた。

「常に平常心を持って、いつも同じように練習や試合をすることです。中には良いことや悪いこと、できないことやできることもあります。それでも、いつも同じ思いをもってやることが大事だと思っています」。

日本でのツアーを終えたウェストブルック。今季はロケッツの一員としてキャリア12年目を迎えることとなる[写真]=伊藤 大允

 2年連続の来日を終えたウェストブルックは最後に「本当にありがとうございました。去年も今年も(日本へ)来ることができ、今日はたくさんの子どもたちとも会うことができて本当にうれしく思います」と口にし、『RUSSELL WESTBROOK 2019 WHY NOT? TOUR』を終えた。

 今夏ロケッツへと移籍したことで、ウェストブルックは10月8日と10日に「NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten」(ジャパンゲームズ)として再び来日し、プレシーズン期間にトロント・ラプターズとさいたまスーパーアリーナで激突する。約2か月後、ウェストブルックが日本で爆発的な身体能力と超人的な突破力を駆使して超絶パフォーマンスを見せてくれると期待したい。

文=秋山裕之

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